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文法的詩学
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年11月
- 書店発売日
- 2012年11月19日
- 登録日
- 2012年10月19日
- 最終更新日
- 2015年11月12日
紹介
「物語を読む、うたに心を託す」ために必要な言語理論を案出する書。
「時枝、佐久間、三上、松下、三矢、そして折口、山田、大野、小松光三、あるいはチョムスキー......絢爛たる文法学説の近代に抗して、機能語群(助動辞、助辞)の連関構造を発見するまでの道程を、全22章(プラス終章、附一、附二)によって歩き通す」
物語や詩歌を読むことと、言語学のさまざまな学説たちとのあいだで本書は生まれた。
古典語界の言語を当時の現代語として探究する。
【 「物語を読む、うたに心を託す」という、私の研究の道のりのなかばで、物語を解読するために、また、うたに遊弋するために、必要な言語理論を案出したい。
教室では、既成の文法―学校文法を代表とする―を利用しながら、そして、それらが欠陥品であることを、だれもが知っていて、それらへの修復につぐ修復をみんなで試みながら、なんとか凌ぎ凌ぎして、物語やうたを読み、かつ味わい続ける。
それに飽き足らなかった自分だと思う。いつしか、文法理論の藪へ迷い込んで、「おまえは何をしているのか」と、友人たちの訝しみの視線が、背なかに突き刺さる歳月、それでも言語じたいへの関心(夢想のような)を抱き続けてきた
物語にしろ、うたにしろ、無数の文の集合であり、言い換えれば、テクストであって、それらが自然言語の在り方だとすると、文学だけの視野では足りないような気がする。言語活動じたいは、文学をはるかに超える規模での、人間的行為の中心部近くにある、複雑な精神の集積からなる。......はじめにより】
目次
一章 文法的詩学、その構築
二章 「は」の主格補語性(上)─「が」を押しのける
三章 「は」の主格補語性(下)─三上文法を視野に
四章 活用呼応の形成─係り結びの批判
五章 「アリ ar-i」「り」「なり」という非過去
六章 起源にひらく「き」の系譜
七章 伝来の助動辞「けり」─時間の経過
八章 「けり」に"詠嘆"はあるか
九章 助動辞「ぬ」の性格
十章 助動辞「つ」の性格
十一章 言文一致における時制の創発
─「たり」および「た」
十二章 推量とは何か(一)─む、けむ、らむ、まし
十三章 推量とは何か(二)─伝聞なり、めり
十四章 推量とは何か(三)─べし、まじ
十五章 らしさの助動辞
十六章 形容、否定、願望
十七章 時間域、推量域、形容域─krsm 立体
十八章 物語人称と語り─「若菜、柏木」
十九章 会話/消息の人称体系─「総角」巻
二十章 語り手人称、自然称
二十一章 敬称表示
二十二章 清、「濁」と懸け詞
終章 言語は復活するか
附一 補助動詞─『源氏物語』素描
附二 おもろさうしの助動辞、助辞
終わり書き
初出メモ
索引(文法事項、人名)
上記内容は本書刊行時のものです。