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北原白秋
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2011年5月
- 書店発売日
- 2011年6月9日
- 登録日
- 2011年5月18日
- 最終更新日
- 2011年7月27日
書評掲載情報
2013-03-03 |
読売新聞
評者: 上野誠(万葉学者、奈良大学教授) |
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紹介
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第4回配本、北原白秋です。
茂吉も朔太郎も光太郎も啄木も迢空も、白秋のそばではマイナー・ポエットに過ぎないのではないかと言いたくなる。----山本健吉
北原白秋(きたはらはくしゅう)
明治末期から昭和にかけて活躍した詩人、歌人、童謡詩人。詩集『邪宗門』で鮮烈なデビューを飾った北原白秋は、明治末期の文壇で異彩をはなち、文学者や美術家の交友の場となった「パンの会」の耽美(たんび)趣味や異国趣味を背景に、第一歌集『桐の花』では、近代的で都会的な陰影のある感覚をきらびやかにうたった。その後実生活の変化に伴い歌風は変化し、東洋的な自然を象徴的世界として捉え、歌壇の主流となった「アララギ派」の写生とは一線を画す独特な歌境を確立した。大正中期以降は童謡詩人として知られ、「雨ふり」や「からたちの花」などは今も歌い継がれている。生涯にわたって幼少期を過ごした故郷の福岡県柳川に愛着を寄せ、童心を讃(たた)えた。
目次
01 春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外の面の草に日の入る夕
02 かなしげに春の小鳥も啼き過ぎぬ赤きセエリーを君と鳴らさむ
03 仏蘭西のみやび少女がさしかざす勿忘草の空いろの花
04 はるすぎてうらわかぐさのなやみより
もえいづるはなのあかきときめき
05 片恋のわれかな身かなやはらかにネルは着れども物おもへども
06 こころもち黄なる花粉のこぼれたる薄地のセルのなで肩のひと
07 君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ
08 桐の花ことにかはゆき半玉の泣かまほしさにあゆむ雨かな
09 歎けとていまはた目白僧園の夕の鐘もなりいでにけむ
10 病める児はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑の黄なる月の出
11 吾弟らは鳰のよき巣をかなしむと夕かたまけてさやぎいでつも
12 廃れたる園に踏み入りたんぽぽの白きを踏めば春たけにける
13 我つひに還り来にけり倉下や揺るる水照の影はありつつ
14 かいつぶり橋くぐり来ぬ街堀は夕凪水照けだしはげしき
15 雉子ぐるま雉子は啼かねど日もすがら父母恋し雉子の尾ぐるま
16 垂乳根の母にかしづき麻布やま詣でに来れば童のごと
17 いつまでか貧しき我ぞ三十路経て未だ泣かすかこの生みの親を
18 老いらくの父を思へばおのづから頭ふかく垂れ安き空しなし
19 垂乳根の母父ゆゑに身ひとつの命とたのむ妻を我が離る
20 かなしきは人間のみち牢獄みち馬車の軋みてゆく礫道
21 編笠をすこしかたむけよき君はなほ紅き花に見入るなりけり
22 ふたつなき阿古屋の玉をかき抱きわれ泣きほれて監獄に居たり
23 いと酢き赤き柘榴をひきちぎり日の光る海に投げつけにけり
24 煌々と光りて動く山ひとつ押し傾けて来る力はも
25 飛びあがり宙にためらふ雀の子羽たたきて見居りその揺るる枝を
26 昼ながら幽かに光る蛍一つ孟宗の藪を出でて消えたり
27 行く水の目にとどまらぬ青水沫鶺鴒の尾は触れにたりけり
28 白南風の光葉の野薔薇過ぎにけりかはづのこゑも田にしめりつつ
29 照る月の冷さだかなるあかり戸に眼は凝らしつつ盲ひてゆくなり
30 帰らなむ筑紫母国早や待つと今呼ぶ声の雲にこだます
歌人略伝
略年譜
解説「底の見えない人 北原白秋」(國生雅子)
読書案内
【付録エッセイ】童謡・童心・童子 白秋の詩の本質をなすもの(山本健吉)
上記内容は本書刊行時のものです。