書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
昭和生まれの女達
才女と熟女の契り
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年12月25日
- 書店発売日
- 2021年3月15日
- 登録日
- 2021年2月19日
- 最終更新日
- 2021年4月9日
紹介
これは、昭和21年福岡県飯塚市で、露天商山本組元締、山本権太の娘夫婦の次女として生まれた女性の逸話です。
「どじで不細工な女」と陰口を叩かれていた富士子は、クラブのホステスになって女を磨き、スーパーの経営者として腕をふるうようになります。殺人事件、詐欺、子供の死…数々の困難をくぐりぬけ、たくましく生き抜く富士子と、彼女をとりまく個性豊かな女たち。
「私が男に生まれちょったら爺ちゃんのような生き方がしたかった。炊事洗濯に子育ても出来ない駄目な女だけど、私は爺ちゃんが望んでいた女にされたんよね」(本文より)
目次
(1) 戦後の筑豊炭田
(2) ホステス稼業に憧れ
(3) 麻薬の怖さを知らされる
(4) 跡継ぎ
(5) 一目惚れ
(6) 復興支援
(7) 娯楽室完成
(8) 正太との別れ
(9) 男腹になった正江
前書きなど
明治から昭和にかけて、九州北部の地中には石炭の埋蔵量が無限にあると証明されると、高額な資金を投資出来る財閥や大手企業は遠賀川の上流に沿った土地や山林を強引に買収して、炭鉱の経営に乗り出した。各企業は炭坑の数を競り合うように各地に増やして、昼夜を問わず、三交代で石炭を掘り出していた。石炭は貴重な燃料資源で、炭鉱の繁栄で好景気になった。
江戸時代からの地名筑前と豊前の境界をいで開発が進み、この一帯は筑豊炭田と呼ばれた。炭鉱の景気は長年続いた。だが、石油の輸入によって石炭の需要は少なくなり、炭鉱は徐々に閉山した。その後社員達は関連会社に配属になった。
長年続いた強引な石炭の採掘の煽りで、各地で地盤沈下が発生した。道路や公共施設、一般住宅などの被害の復旧は、政府の鉱害復旧工事として国費で賄われたと言われている。炭鉱が引き揚げた後は廃墟の町みたいになった。
勤勉な市民の努力で現在は見事に復興したが、経済発展のために石炭を産出した「筑豊炭田」という地名は忘れられようとしていた。が、最近は、国交省の計らいで「筑豊」のナンバープレートを付けた車両を、全国津々浦々で頻繁に見かけるようになった。
著者は呆け防止のために、八十の手習いでペンを取る事を始めた。この道の奥の深さで何度もきそうになったが、原稿を書き上げた時の嬉しさは言葉には出来なかった。
この逸話の善し悪しの判断は読者であるが、同調する所があれば、一人の老人の戯言として読者の心の隅に残してもらいたい。
椿山 宏
版元から一言
たくましく美しい昭和生まれの女達を描いたのは、福岡県生まれで山口県下関市在住の80代の男性です。これまで文章を書くこととはまったく縁のない仕事をされていた著者が初めて書いた小説が、昭和の女の物語。80歳になってこんな小説が書けるというところに、人間の大きな可能性を感じます。
上記内容は本書刊行時のものです。