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凶刃 矢野啓司(共著) - ロゼッタストーン
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凶刃 (キョウジン) ああ、我が子・真木人は精神障害者に刺し殺された!!

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四六判
224ページ
並製
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-947767-04-2   COPY
ISBN 13
9784947767042   COPY
ISBN 10h
4-947767-04-9   COPY
ISBN 10
4947767049   COPY
出版者記号
947767   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2006年2月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

昨年12月6日、矢野真木人(まきと)さん(28歳)は、見ず知らずの男に駐車場で刺し殺されました。加害者は精神科に入院中の患者で、社会復帰トレーニングのために一時外出中でした。一人で外出した後、わずか20分後の犯行でした。

最愛の息子を亡くした矢野さん夫婦のところへは、事件後2カ月たっても、病院からの説明も謝罪もなく、いまだに犯人の病名も病状も知らされていない状況が続いています。犯人は現在、精神鑑定中です。もし不起訴が決定すれば、加害者の情報を得る手段はなくなり、病院に対して責任追及をすることも難しくなります。

どんなに理不尽な犯行でも加害者だけが保護され被害者がおきざりになった現状、精神障害者というだけで安易に不起訴にする検察(「心神喪失者」による殺人は1年間に70~100人。その8割以上が「不起訴」になっています)。精神障害者相手の訴訟をいやがる弁護士…。矢野さん夫婦は悲しみに耐えながら、できるかぎり冷静に、自分の体験を通じて感じた矛盾をまとめています。なんとか息子の死を無駄にしたくないという親の思いがひしひしと伝わってきます。

目次

はじめに

序章   真木人の死

第1章  怒りと悲しみの四十九日
――12月6日(犯行当日)から1月23日までの経過

第2章  彼には殺人する意志があった

病院には謝られてない!
誰に謝る?
刑法第39条の壁
病院の責任
加害者の家族も被害者

第3章  真木人のはやすぎた28年

父が見た真木人の人生 
世界一幸せな母親だったのに 
兄の時間は止まってしまった 

第4章  社会的正義を求めて

完全犯罪が可能ではないか!
弁護士選定の困難
え!正当防衛で殺されたって?
報道機関はなぜ病院長の顔を出さない?
精神障害者の行政に関わる方々に
警察の皆様へ
検察の皆様へ

第5章  精神障害者を巡る環境

精神障害者のノーマライゼーション
司法精神鑑定の疑問
精神科治療への危惧
改正してほしいこと
真木人の死を礎に

■参考  新聞報道から見るいわき病院の責任 

あとがき

前書きなど

 むらさめの つゆもまだひぬ 真木の葉に
    霧たちのぼる 秋の夕暮れ

 矢野真木人(やのまきと)は昭和52年8月20日に英国で生まれました。息子の名前を考えていて、源氏物語(「真木柱」巻)と百人一首に出てくる「真木」という言葉がヒノキを意味することを知りました。真木人は日本人として誇りを持つように願って名付けたヒノキの君です。

 真木人は平成17年12月6日に、見ず知らずの通り魔的殺人にあい28歳で命を失いました。レストランで昼食後、スーパーマーケットの駐車場に出てきたところを、100円ショップで購入した包丁で一刺しされて死んでしまいました。
 犯人は近くの病院に入院している精神障害者で、社会再適応訓練のために一人で外出し、わずか20分後に凶行を犯しました。刑法第39条は心神喪失者は無罪と定めます。理不尽な殺人をしても心神喪失であれば無罪になります。何人に危害を加えても、常に前科が消える、無垢の人間となるのです。そしてこの日本では公の記録も報道も、殺人事件そのものがなかったかのような取扱いになります。

 人一人の命が失われたのに、全く完全な被害者であるのに、社会からはその貴重な命が失われた原因の記録が抹殺されるのです。殺人事件がなかったことになるのです。このため、何の保障も加害者や責任機関に請求できなくなります。これがこれまでの日本の現実です。社会正義に反するのです。
 私どもは真木人の死を「今の、日本はおかしい」という題材の一つの証にしたいと希望します。私たちは真木人には生き抜いて、ヒノキのような大木に成長して、香り豊かな社会貢献を果たすことを望んでおりました。残念ながら彼は命を失いました。しかし真木人が失った命が、日本の人権問題に一石を投じる証となれば、それも彼が成し得る社会貢献でしょう。真木人にはヒノキの香りで日本の正義に貢献してもらいたいのです。


版元から一言

犯行が行われたのが2005年12月6日。矢野さんが原稿を書き上げたのが2006年1月29日です。真木人(まきと)さんを失った悲しみのどん底で、矢野さん夫婦は必死で原稿を書き上げました。犯人が不起訴になってからでは何もできない、という思いからです。
この事件に関しては、読売新聞、高知新聞、読売ウィークリー、女性セブンなど、マスコミにも大きく取り上げられました。精神障害者の犯罪については、まだまだ検討しなければならないことがありそうです。ぜひ、お読みになって感想をお聞かせください。

著者プロフィール

矢野啓司  (やのけいじ)  (共著

1947年7月29日高知市生まれ。東京農工大学農学部(農芸化学)卒。英リバプール大学大学院(行政学)修士。農林水産省・在インド日本国大使館勤務を経て40歳前に独立。一時、中南米・中東・アフリカ諸国等のカントリーレポートを執筆。現在は、(有)リバプール企画代表取締役。地縁と血縁のない高松と松山で空港隣接駐車場を経営。

矢野千恵  (やのちえ)  (共著

1949年11月22日高知県吾川郡伊野町生まれ。静岡県立薬科大学卒。薬剤師。英国リバプール市ジョンモア大学留学。夫と共に英国とインドで生活した。日本語教師(文部科学大臣認定日本語教師検定試験合格)。JICE(財)日本国際協力センター・研修監理員。

上記内容は本書刊行時のものです。