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薔薇はいいから議席をくれよ
原書: 곱게지지말기로해
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年5月26日
- 書店発売日
- 2022年5月20日
- 登録日
- 2022年1月23日
- 最終更新日
- 2022年9月16日
紹介
逆境にあるフェミニストたちを励まし女性連帯を呼びかける超絶かっこいい力強い言葉が詰まった本。2021年4月のソウル市長補欠選に男女平等を公約に「女性一人でも暮らしやすいソウル」を掲げ立候補した著者。目には目を! もう負けるわけにはいかないと女性の政治参加を呼びかけ鼓舞激励してくれる。同時代のすべての女性に伝える『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』著者キム・ジナ2冊目の待望のエッセイ。
世の中は変わらないかもしれない。けれどもあなたは変われます。人類に与えられた残り少ない時間を、数千年の慣性などものともせずに革命的に生きてしまいましょう。離婚とちがって人類滅亡は優雅でも爽快でもないのだから、「きれいでいなくちゃ」などというプレッシャーは捨てましょう。私たち、最善を尽くして戦って、尊厳をもって負けましょう。 キム・ジナ
目次
はじめに 私たちにどれほどの時間が残されているだろう
回避病
男というクライアント
女はなぜ簡単にあきらめるのか
コアのある人生
自分に失望しなくては
消滅の誘惑を前に
決定的瞬間に後ずさりしない
男性は失敗した
女性には自分だけの党が必要だ
データ外の女たち
同質婚もイカれている
マンゴーピンスが怖いのか?
匿名とクレジット
脇役なら断る
女一人でも住みやすいソウル
15・1パーセントの意味
今、ここでのバックラッシュ
おわりに
日本の読者のみなさんへ キム・ジナ
解説 北原みのり
訳者あとがき
前書きなど
はじめに
私たちにどれほどの時間が残されているだろう
さる世界的知識人が最近韓国メディアのインタビューに応じ、「人類の文明に残された時間は約30年である」と言った。昨今の急激な気候変動と感染症の拡大等を鑑みれば大げさではないと感じる。「母さんのようには生きない!」という少女時代の誓いが、まさか「母さんくらいに(長く)生きられたらいい」に変わってしまおうとは。
要するに私たちは世界の終わりを見通しているのだ。どれほど楽観的に考えても、アジアの一般人女性まで火星に移住などできそうにない。2015年以降にフェミニズムの大衆化が始まり、どうにか男性中心の家父長制に亀裂を入れられそうだと思っていたのに、時間はこちらの味方だと大口を叩いていたのに、その味方が無敵ではないという事実に向き合って恐ろしくなる。
折しもバックラッシュが強まっている。長年にわたる不況と就職難でまともな就職口は減ってゆき、覚醒した女たちがオン・オフラインで男性の実質的競争者となるや、20代男性たちはフェミニズムを不公正な脅威と受け止めだした。資源もチャンスも分かち合おうとしない上の世代の既得権や巨大資本に対して責任を問うべきなのに、「叩きやすい」女たちに矛先を向けているのだ。
いまだ成し遂げられぬ両性の平等を女性たちが求めるのを見て、自分たちが被害に遭っているかのような妄想に捕らわれるとは。教師がフェミニズムなどという危険思想(?)を生徒に吹き込んでいると国民請願まで起こすとは。アンチ・フェミニストたちは一体どんなニュースと情報のコンクリートに閉じ込められているのか。さらに呆れてしまうのは、彼らのナンセンスな駄々こねに企業がぞろぞろと謝罪をし、政界も青瓦台も真摯に対応している姿だ。
厳しい戦いだ。それだけに戦略と戦術が必要になる。限られた資源で、意味ある変化を、手遅れにならないうちに成し遂げるには、最大限効果的な方法をとらなくては。スポーツ競技ではリードしているチームが時間を稼ぐことで相手チームを負かそうとするものだ。その場合負けている側は何としても奇襲攻撃をかけてやろうとする。それまでのペースでやっていては勝算が見込めないから。相手の虚を突くスピーディーなプレイ。感動の逆転ドラマを生み出すのは決して諦めない闘争心、そして何といっても変則攻撃だ。
私たちにもそのタイミングが訪れた。今まで積極的に試してこなかったことをあえてやってみる、最後の時が来た。ひょっとすると女たちの本当の敵は、特別抵抗もせず今まで通りに生きてゆきたいという、数百年かけて培われていった慣性なのかもしれない。女の「運命」がなぜ「女」の運命でなければならないのか問わずに順応してきた結果が今日なのだとしたら、今日と違う明日を作り出すためには、私と女たちだけでなく人類と地球を救うためには、今まで通りに生きていてはいけない。
この原則は個人的な選択と政治的な選択の両方に適用される。ある者は急進的だとして、またある者は過激だと言ってブレーキを踏むことだろう。しかし現状のペースのままでは、勝っているチームの時間稼ぎによって攻撃のチャンスが奪われていく。その点は忘れないでほしい。私たちに残された時間は長くない。人生も地球も永遠のように思われるかもしれないが、本質的な問題から目をそらしている間にも時計の針は回ってゆく。覚えておこう。ポジティブなパワーは祈りからではなく、試みから生まれる。ゆえに人類の文明が、システムがまだ生きている今こそ勝負に出なくてはならないのだ。
もちろん全ての女性が男性中心社会に対して勝ちに行けるわけではないし、その必要もない。社会を変えるために必要な「ティッピング・ポイント」は25%だという。つまり新しいチャレンジ、日常における革命に参加する女性の数が4人に一人になれば、全体の勢力図を塗り替えるほどの変化を起こせるのだ。2021年4月7日のソウル市長補欠選挙で、二大政党の両候補ではなく、私のような少数政党の候補に投票した20代女性が15.1%にもなったことは、それゆえに意味がある。難しく考えることはない。もし20~30代女性の25%が一斉に、社会的な女らしさの象徴である「ロングヘア」をやめて「ショートカット」にしたら? 「ショートカット」と同時にフェミニスト宣言までしてしまったら? 驚くべきことだが、韓国はひっくり返されるだろう。意外と簡単では? 大転換のティッピング・ポイントは遠くない。ここに「ショートカット(近道)」があるのだから。
版元から一言
女性の権利を堂々と口にしよう!
『私は自分のパイを求めるだけであって人類を救いにきたわけじゃない』が大反響の著者キム・ジナ待望の新刊!
韓国で「20代フェミニストが女性が目指すロールモデル」にも選ばれ、フェミニスト政党をつくり、2021年ソウル市長選に出馬、12位中4位まで躍進!
作家でもあり、コピーライターでもあり、ソウルで有名なカフェオーナーの著者による女性への政治参加をうながす熱い言葉がつまった一冊。
女性たちの「精神的勝利」ではなく、「現実的勝利」のための17の必殺技に勇気と洞察力を得ることができるシスターフッド本!
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。