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70歳からの世界征服 中田 考(著) - 百万年書房
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70歳からの世界征服 (ナナジュッサイカラノセカイセイフク)

社会一般
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発行:百万年書房
四六変形判
縦180mm 横120mm 厚さ14mm
重さ 182g
184ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-910053-15-8   COPY
ISBN 13
9784910053158   COPY
ISBN 10h
4-910053-15-8   COPY
ISBN 10
4910053158   COPY
出版者記号
910053   COPY
Cコード
C0030  
0:一般 0:単行本 30:社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年8月8日
書店発売日
登録日
2020年6月8日
最終更新日
2020年9月14日
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紹介

人は死に、今生に意味はない。
老いを迎えるすべての人たちへ--イスラーム学者・中田考と仲間たちが贈る、身もふたもない人生の真実。

目次

はじめに 人は死に、今生に意味はない(中田考)

第1章 死に方入門(中田考)

第2章 老人と新型コロナウィルス(中田考×田中真知)

第3章 姥捨山から蜂起せよ(矢内東紀)

第4章 70歳からの世界征服(中田考×矢内東紀)

おわりに 生きがいという荷物を下ろす(田中真知)

前書きなど

【おわりに 生きがいという荷物を下ろす】
 
人生100年時代を迎えて、長い老後をどう生きるか、どのように生きがいを見つけるか。そういうことを指南する、いわゆる「老人生きがい本」がたくさん出ています。
本書もそうした本のひとつと見られるかもしれません。
しかし、説かれている内容は正反対といっていいでしょう。
ストレートに言うなら「老人は早く死んだほうがいい」というのがメイン・メッセージだからです。
ただ、これではけんもほろろ過ぎるかもしれません。
ややマイルドにいえば、「長生きに価値があるという認識は外しなさい」ということです。
これなら、少し納得いくのではないでしょうか。
では、長生きするからには、何か生きがいを持てばいいのか。
そうではありません。
「老人に生きがいなどいらない」のです。
これもにべもない言い方ですね。
マイルドに翻訳しますと、要するに「生きがいに縛られる生き方なんかやめなさい」ということです。
老人に生きがいなどないほうがいい。そう考えてみてはどうだろう、というのが本書の提言です。

もともと、この本は、イスラーム学者の中田考さん(60歳)の『13歳からの世界征服』の続編として発案されました。
『13歳からの世界征服』は、お仕着せの道徳やルールにがんじがらめになっている若い人たちへの痛烈なメッセージでした。しかし、そこにはまだ将来のある若者たちへの期待も込められていました。
けれども、中高年ともなると、もう先が見えています。
その歳になって、あいかわらず世間的な価値観にとらわれているとしたら、もう見込みはありません。
そうなると、ただでさえ容赦のない中田さんの舌鋒がもはや手に負えないものになりそうな予感があったからかどうか、百万年書房の北尾修一さんの発案で「えらいてんちょう」のハンドルネームで知られる若い起業家の矢内東紀さん(29歳)も著者のひとりとして加わりました。そこに私、田中真知(60歳)もまじって、老若併せた複眼的な視点から、高齢者の生き方を考えてみることにしました。

とりあえず、中田さんと私で、巷でよく売れている「老人生きがい本」を何冊か読んでみました。具体的なタイトルは書きませんが、大企業のトップを務める80代経営者の人生論、100冊以上の生き方本を書いている80代の作家、それに断捨離生活を実践されている60代の女性の本などです。
本を読むのが早い中田さんから、すぐにメールが来ました。
「全部年寄りの過去の自慢、自己満足の価値観の押し付けで、読むに耐えませんね。私も昭和の老人ですから理解はできますが」とありました。
私はそこまでひどいとは思いませんでしたが、ある種の違和感は覚えました。
これらの本に共通するのは、著者がいわゆる成功者であること、必ずしも経済的な成功というわけではなく、趣味、勉強、交友、社会貢献などに生きがいを見出し、自分らしいライフスタイルで充実した高齢期を謳歌していることでした。
それだけ取り上げればいいことづくめです。
でも、まさにそのいいことづくめな点が違和感の元でした。
こういう人たちは、それまでボーッと生きていて、老人になってからいきなり充実した、自律的な生き方に目覚めたわけではありません。それまでの人生の中でも、失敗や挫折はありながらも、おおむね前向きで、充実した自分らしい生き方をすべく努めてきた人たちです。その延長線上に現在の充実した老後がある印象は否めません。
もちろん、こうした本を手にとる人たちの中には、そういう人もいるでしょう。けれども、多くは「自分はこれまでボーッと生きてきたのではないか、人生100年時代だというのに、このままじゃいけないのではないか」と感じている人なのではないでしょうか。
そんな人がこういう本を読むとどう感じるでしょう。
中には刺激を受けて「よし生きがいを持とう」「生活を変えよう」という人もいるかもしれません。
でも、半世紀以上続けてきた生活や思考の習慣をがらりと変えるのは容易ではありません。
他人の人生がどんなに充実して見えたとしても、それはあくまで「他人の人生」です。他人の「自分らしさ」と、自分の「自分らしさ」は違います。ボーッとしているのも、また自分らしさです。それを無理して「生きがいを持たなくてはいけない」という強迫観念に追い立てるのは、結果的に価値観の押しつけではないか。それが違和感の正体です。
いわば、こうした「老人生きがい本」は自己啓発本の延長線上にあるものだと言っていいと思います。老人生きがい本は、老人のための自己啓発本にほかなりません。
自己啓発本の多くは「自分らしさ」という謳い文句とは裏腹に、人を資本主義の枠組みに組み込んでいきます。それは効率や収益を優先し、経済を回す上で役立つ人材をつくりだすための洗脳ともいえます。
若いときならいざ知らず、歳を取ってまで「人は輝くべきだ」といって、そのままでいることを許さない。それは本人のためというより、超高齢化社会の中にあってなお老人を資本主義社会に組み込んでいく経済的要請にも見えます。

そんなことを感じていた矢先、新型コロナウィルス感染症の流行が始まりました。
周知のように、新型コロナウィルスは、高齢者であるほど重症化しやすく、致死率も高くなります。それは従来の「老人生きがい本」が提唱する世界とは裏腹に、老人が活動範囲を広げれば広げるほどリスクが高まる、という状況を作り出しました。
ここにおいて、あらためて私たちは「人は死ぬ」という当たり前の事実に直面することになりました。マスクをしようがしまいが、三密を避けようが避けまいが、新型コロナウィルスに感染しようがしまいが、人は死にます。しかし「老人生きがい本」はこの当たり前の事実にはふれず、輝くこと、活躍することにばかり人の目を向けようとします。
しかし、人は死ぬのです。
死ぬとはどういうことか。
それは、生きている間に手に入れたものの一切を手放すことです。財産も、家族も、地位も、名声も、人間関係も、知識も、経験も、記憶も、人生で背負ってきたあらゆる荷物をすべて下ろすことです。
つまり老人になるとは、本来そのような荷下ろしの準備に入ることにほかなりません。
背負っていたものを下ろすのですから身軽になれるはずです。
そして背負っていたもので、若い世代に役立つものがあれば、あげてしまう。そうやって裸に近づいていく。
「私は裸で母の胎を出た。裸でそこへ帰ろう」というヨブ記の言葉のように、手放し、施して、裸になっていく。それが伝統的な「老いる」ことの意味でした。
本文で中田さんがふれているヒンドゥー教でいう遊行期も、またそういう人生の時期とされていました。
ところが、現実には、老人になってなお何かを手に入れようと執着し、ますます多くの荷物を背負い込むことがよしとされています。それは老いることをかえって苦しいものにし、結果的に経済至上主義をますます煽ることになりかねないのではないでしょうか。
 
本書がこれから老いていくすべての人にとって、「生きがい」という荷物を下ろすためのヒントになれば、これにまさる喜びはありません。

版元から一言

●人生の意味に執着せず、老後を迎えるためのメソッド

「『70歳からの世界征服』を読ませていただき、感動のあまり思わずお手紙を書かずにはおられませんでした。私は人生というものに、心のどこかでやはり「意味」を求めていたのかもしれません。現在70歳ですので、やがて来るであろう終焉を意識しながら結局何事も成しえなかったことを悔いねばならないのかなぁ、と思う日々を過ごしておりましたが、人生に意味なんかない! ということをはっきりと断定される考え方に接し、いままで漠然と思っていた靄が晴れました。人が生きるなんてことは単にその人の自己満足にほかならない、という言い切りの潔さが本書の魅力です。(後略)」(東京都・70歳・Mさん)

おかげさまで、刊行以来、読者からたくさんの感動のお手紙をいただいています。

人生100年時代を迎えて、長い老後をどう生きるか、どのように生きがいを見つけるか。そういうことを指南する、いわゆる「老人生きがい本」はたくさん出ていますが、本書はそうしたジャンルの中でも最高傑作のひとつです。

「山登りしたって、ヨガやったって、美術館巡りをしたって、太極拳やったって、蕎麦を打ったって、どうせ死ぬんです。それを遅らせようとして、健康法だとか、スポーツだとかあれこれ手を出すのでしょうが、すべて無意味です」(「第一章 死に方入門」中田考)

資本主義は、私たちの老後すら食い物にするために、あの手この手で欲望を刺激してきます。それに対抗し、あらゆる執着をなくし、心の平安をもって老後を過ごすためにはどのような準備をすればよいのか。

イスラーム法学者の中田考さん、YouTuberのえらいてんちょう(矢内東紀)さん、作家の田中真知さんという、世代や立場の違う3名による「老後の時間を、自分の欲望のために使うのではなく、世界貢献のために使うことのすすめ」。
自分のためではなく世界のために残された時間を使うことが、心の平安につながると本書は説きます。他の「老人生き方本」と読み比べていただければ、メッセージの正しさは納得していただけるでしょう。

本シリーズには『13歳からの世界征服』(中田考)という作品もございます。
こちらはお子さんやお孫さんにプレゼントし、世代を超えて中田考さんの世界に触れるのもおすすめです。
両書とも、本文と挿絵のギャップもあわせてお楽しみください。

北尾修一(百万年書房)

著者プロフィール

中田 考  (ナカタ コウ)  (

イスラーム法学者。イブン・ハルドゥーン大学客員教授。1960年生まれ。灘中学校、灘高等学校卒業。早稲田大学政治経済学部中退。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。カイロ大学大学院文学部哲学科博士課程修了(Ph.D)。1983年にイスラーム入信、ムスリム名ハサン。『13歳からの世界征服』『みんなちがって、みんなダメ』『イスラーム学』『イスラーム入門』『帝国の復興と啓蒙の未来』『イスラーム法とは何か?』『カリフ制再興 』など著作多数。

田中 真知  (タナカ マチ)  (

作家、あひる商会CEO、2019年より立教大学講師。1960年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1990年より1997年までエジプトに在住し、カイロ大学留学中の中田考氏と知り合う。著書に『アフリカ旅物語』(北東部編・中南部編)、『ある夜、ピラミッドで』、『孤独な鳥はやさしくうたう』、『美しいをさがす旅にでよう』、『増補 へんな毒 すごい毒』『たまたまザイール、またコンゴ』など。中田考氏の『13歳からの世界征服』『私はなぜイスラーム教徒になったのか』『みんなちがって、みんなダメ』などの構成にも携わる。

矢内 東紀  (ヤウチ ハルキ)  (

作家、ユーチューバー、実業家、経営コンサルタント、投資家。1990年生まれ。慶応大学経済学部卒業。『しょぼい起業で生きていく』『しょぼ婚のすすめ』『静止力』『ビジネスで勝つネットゲリラ戦術』『「NHKから国民を守る党」の研究』『批評力 フェイクを見抜く最強の武器』など著作多数。

上記内容は本書刊行時のものです。