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少年が見た戦争
私の戦中・戦後体験記
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年2月5日
- 書店発売日
- 2022年2月10日
- 登録日
- 2022年1月28日
- 最終更新日
- 2022年3月1日
紹介
小学1年で満州に渡り、14歳で敗戦。
「忠君愛国」教育、戦争の悲惨と残酷、旧植民地での難民生活、そして福岡引き揚げ後の苦難体験までをつぶさに記す。
戦争体験者が少なくなりつつある今、「戦争ができる国づくり」が進むことに危機感を抱いて綴られた、最後の戦争体験記。
目次
まえがき
第一部 私の戦中・戦後
はじめに
一 小学校入学前
二 「教育勅語」
三 「忠君愛国」
四 爆撃を受ける
五 国共内戦
六 戦争難民
七 引き揚げてから
八 生きるために
九 中学校教師になるまで
おわりに
第二部 戦後七十六年を考える
はじめに
一 戦後七十六年とは
二 満州での戦中体験
三 満州での戦後体験
四 戦争で命と暮らしは守れない
五 戦争は地獄
六 いじめと忖度
七 監視と統制
八 権力のおごり
九 噓と罪
十 戦争する国づくりの阻止
おわりに
プロフィール
前書きなど
「第一部 私の戦中・戦後」より抜粋
「教育勅語」の内容を簡単に言えば、「忠君愛国の人になれ」ということである。
家で拝まされるのは現人神という天皇の写真だが、学校では「教育勅語」という印刷物を拝まされた。小学生には、それがどのくらい大切なものか、有り難いのかよくわからないし、登下校の時、特に下校時はよくお辞儀をして帰るのを忘れることがあったが、誰それは奉安殿にお辞儀をしないで帰ったと、先生に告げ口されるようになって、だんだん忘れないようになったと思う。定着させるには、教師一人の眼だけでなく生徒同士で監督させると効果がでる。集団の眼で監視する方がよく定着するので、この方法は学校だけでなく広く社会でも使われていた。しかし、これはお互いに疑いの目で見るのだから、疑心暗鬼になってお互いの絆は切れてしまう。
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われわれは現人神(天皇)から生まれた子で、赤子(せきし)という。赤子が天皇のために死ぬのは大変名誉なことである、という教育を軍人だけでなく学校でも教育されてから、死を恐れない、殺すことをためらわない人間へと育っていった。死を恐れない人がいないと戦争には勝てないかもしれないが、あまりにも神話的で天皇の子であるとか赤子であるという話を本気で信じた人は少ないのではないだろか。
しかし、噓も百回言えば本物になるというから、信じた人は多かったのかもしれない。噓を信じ込ませるやり方は恐ろしい。考えてみると戦争中は噓ばっかりで、何一つ真実や事実は知らされなかった。
「愛国」とは文字通り国を愛することであるが、具体的には国を愛するとは、天皇や政府の言うことやすることに逆らわない、文句を言わないで協力すること。例えば、この戦争はおかしいと思っても、黙って戦争に協力することが愛国である。もし反対すれば、その人は「お上に楯突く不逞の輩、愛国心がない」として、逮捕・投獄され、拷問にかけられる。学校では逆らわない人づくりとして上意下達、「上官の命は天皇の命と心得よ」を徹底して教えられた。
上記内容は本書刊行時のものです。