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長崎口と和華蘭文化
異文化のさざ波
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年9月1日
- 書店発売日
- 2021年9月15日
- 登録日
- 2021年9月2日
- 最終更新日
- 2021年9月22日
紹介
長崎は,1571(元亀2)年の開港からおよそ300年ものあいだ,日本史上において重要な地位を占めていた。近世にはオランダや中国との唯一の交易の場となり,その中心である出島と唐人屋敷は,文化流入の最前線となったのである。異文化のさざ波に洗われた長崎は,人々の営みの中に異文化を受容する土壌を培い,「和華蘭文化」と呼ばれる独自の文化を花開かせることとなった。その足跡を図版とともに紹介する。
★特別折込み「出島蘭館図巻」(西南学院大学博物館蔵)
目次
ご挨拶[西南学院大学博物館館長 伊藤慎二]
開催概要/凡例
第1章 四つの口と長崎
第2章 長崎における対外交流
第1節 出島
【コラム】オランダ製ワインボトルの流通について[大野城心のふるさと館運営事業学芸員 鬼束芽依]
第2節 唐人屋敷
【コラム】『清俗紀聞』に見る唐人の食生活[西南学院大学博物館学芸調査員 早田 萌]
第3章 国際都市・長崎
第1節 異文化との交流
第2節 丸山遊廓
【コラム】丸山遊女とオランダ人:「粧ひ」とフィッセルの子どもたち[西南学院大学博物館学芸研究員 迫田ひなの]
出品目録
論 考
日本を訪れた異国人:好奇心とその記憶[西南学院大学国際文化学部国際文化学科准教授 尹芝惠]
日本とヨーロッパを往復した「煙草入れ」:1830年,シーボルトと其扇の手紙[西南学院大学国際文化学部国際文化学科教授 宮崎克則]
長崎の「キリシタン神社」:宗教景観変遷過程の習合宗教施設[西南学院大学博物館館長 伊藤慎二]
参考文献
前書きなど
「ご挨拶」より
西南学院大学博物館の特色は,キリスト教文化に関連する資料を豊富に収集している点にあります。これらの資料の中には,キリスト教に直接の関連があるものだけでなく,その主要な窓口となった近世の長崎における対外交流に関する資料も多く含まれます。出島・唐人屋敷は,近世の日本を語る上で欠かすことのできない存在です。遥か海を隔てた異国から多くの文物がこの場所を通して日本へもたらされ,多彩な日本文化発展の礎を築きました。1571年に長崎が開港してからちょうど450年という節目の年に,このような展覧会を開催できますことを,非常に嬉しく思います。
本特別展「長崎口と和華蘭文化―異文化のさざ波―」は,「四つの口」と呼ばれる海外との交流の窓口が開かれていた近世の日本において,出島・唐人屋敷がどのような役割を果たしたのかを考えます。また,そこから流入した異国の文化が長崎の人々にどのように受容され,「和華蘭文化」と呼ばれる文化を花開かせるに至ったのかを紹介します。現在の長崎にも色濃く残る,異国情緒漂う雰囲気はいかにして生まれたのか。出島・唐人屋敷での交流に焦点を当て,その足跡をたどります。
本展覧会に足を運んでいただいた皆様,そして本図録を手に取っていただいた皆様にとって,寄せては返すさざ波のように,時折思い出していただける展覧会となることができたならば幸甚に存じます。
末筆ではございますが,本展覧会の開催にあたって,本学博物館の活動にご理解とご協力を賜りました関係各位に厚く御礼申し上げます。
2021年9月1日 西南学院大学博物館館長 伊藤慎二
上記内容は本書刊行時のものです。