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百年経ったら逢いましょう 髙野 吾朗(著/文) - 花乱社
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百年経ったら逢いましょう (ヒャクネンタッタラアイマショウ) 髙野吾朗詩集 (タカノゴロウシシュウ)

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発行:花乱社
B5変形判
縦235mm 横190mm 厚さ10mm
120ページ
小口折り
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-910038-27-8   COPY
ISBN 13
9784910038278   COPY
ISBN 10h
4-910038-27-2   COPY
ISBN 10
4910038272   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0092  
0:一般 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年3月15日
書店発売日
登録日
2021年2月24日
最終更新日
2021年3月9日
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紹介

混沌と騒然の中に
異形の無垢を探し求めていくが如き話法は
独自のフォルムの徹底と相俟って
現実のすぐ向こう、another skyへと我々を誘う─
『日曜日の心中』に続く第二詩集

装画:塩月 悠
   San Gertz Nigel Nina Ricciの肖像によるコンポジション

目次

芋虫
避難命令
三角関係
開花宣言
水盗人
対話なき世界
月と太陽の対話
ペンギン
エクソシズム
雨の誕生日に彼女は
杖の置き場所
いのちの階段
パレード
点と線
バリウムとともに去りぬ
ミスキャスト
出勤風景
霊獣
メタモルフォーゼ
足跡
ありきたりなオムレツ
この国のどこかで
白い火 青い火
選択肢だらけの夜
棒とマスク
慣れてしまえば
沈痛の市
鎮静の河
百貨店にて
ユニバーサルデザイン
ハッピーバースデイ
密の味
水を抜く
水仙の咲く街角
一分間の遠出
百年経ったら逢いましょう

前書きなど

あなたとわたしは 体に触れ合うことをもはや許されていない
触れ合えば お互いの肉体を破壊するどころか 社会に大きな
混乱を招きかねないと 権力者たちが一斉に禁じてきたからだ

そこで二人は 長らく「役に立たぬ」と言われ続けてきた力を
用いて 二人にしかできぬ秘密の密接行為を始めることにした
まず わたしの頭頂から どこにも実在しない一本の 巨樹が

伸び 緑の若葉を思い切り繁らせて 大地に大きな影をつくる
すると あなたの背中が縦に割れ そこから 毛がふさふさの
愛くるしい顔をした四足の獣が現れ のそのそと巨樹に近寄る

獣と巨樹の他には誰もおらぬ 水を飲む習性も汗をかく習慣も
ない この獣の唯一の食べ物は 猛毒を持つこの巨樹の若葉だ
幹にしがみつき 枝から枝へと這い 毒まみれの葉を貪る獣の

おかげで 巨樹はみるみる丸裸にされていく わたしにはその
姿こそが わたしだけの真実の言葉のごとく見えるのだ 一方
毒まみれになった獣は 消化のため そして体温を下げるため

死者のごとく冷たい巨樹の幹を 懸命に抱えたまま 半永久の
眠りにつく 食べる葉はここにはもう一枚もなく 他に頼れる
樹木はもはやどこにもなく あなたの体へ戻る術もないままに
 (下略)              ─「密の味」より  

著者プロフィール

髙野 吾朗  (タカノ ゴロウ)  (著/文

1966年,広島市に生まれる。現在,佐賀市に在住。
英語と日本語の両方で詩作を続けており,これまで英語詩集を3冊,日本語詩集を1冊出版している。
【著書】
Responsibilities of the Obsessed (BlazeVOX,2013年)
Silent Whistle-Blowers (BlazeVOX,2015年)
Non Sequitur Syndrome (BlazeVOX,2018年)
日曜日の心中(花乱社,2019年)

上記内容は本書刊行時のものです。