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山頭火の放浪・山頭火への旅 吉田 正孝(著/文) - 花乱社
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山頭火の放浪・山頭火への旅 (サントウカノホウロウサントウカヘノタビ)

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発行:花乱社
四六判
296ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-910038-05-6   COPY
ISBN 13
9784910038056   COPY
ISBN 10h
4-910038-05-1   COPY
ISBN 10
4910038051   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年8月30日
書店発売日
登録日
2019年8月22日
最終更新日
2019年9月10日
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紹介

「どうせ私は下らない人間だから、下らなさを発揮するのがよいと思ふけれど。」
その独自の句を産み出すために彼はどれほどの生命の燃焼を必要としたか──。
山頭火の放浪を福岡県糟屋郡・宗像市に辿り、山頭火の人生を熊本(日奈久・人吉)・山口(防府・岩国)・信州伊那にて追体験する。
山頭火へのオマージュにして、最良の案内書。

目次

はじめに
第一部:山頭火の放浪
 昭和五年 糟屋郡など
 昭和七年 宗像神湊など
第二部:山頭火への旅
 日奈久・人吉
 防府・岩国
 信州伊那
 山頭火ふるさと館と全国フォーラム
第三部:山頭火が飯塚を歩く
おわりに

前書きなど

 彼が自由律俳句を精力的に産み出したのは、主として大正から昭和十年代半ばにかけてです。特にその後半は、日中戦争が激しさを増し、日本中が文字通り一億総火の玉に向かっていった時代でした。山頭火のような「非生産的」な人間は、かなり生き辛い世の中となっていたはずです。
 山頭火はそれほど政治的な人間ではありませんでした。戦争に表立って反対はしませんでした。けれど、彼はそのような時代にあって、妻子を求め、心の友に必死ですがり、清と濁に分裂する自己に戸惑い、そして何よりも納得できる句を拾おうとしてもがき苦しんだのです。
 本文でも紹介した『種田山頭火』(村上護、ミネルヴァ書房)には、昭和十四年十月初旬に山頭火が四国に渡った際、二日間にわたり松山の新聞に掲載された、と書かれています。その際の山頭火は、袷を尻からげにして地下足袋、右手に杖をつき左手には鉦、首には頭陀袋という身なりなのです。往年の僧形を捨て去っています。記事には「人に迷惑をかけず隅の方で小さく呼吸してゐることが現在の私です。まあいはゞ『イボ』のやうな存在です。癌になれば大いに迷惑をかけるが小さな『イボ』なれば迷惑にならないと思ふ」とあるのです。記者のインタビューに答えたものだと推察されます。
 「イボ」=弱者と捉えるならば、まさに現代も、そのような人が生きていくことができにくい時代になっているのではないでしょうか。
 この十年、二十年、我が国はグローバル化、効率化を追い求め、様々な「改革」を推し進めてきました。しかし、その陰で多くの「非生産的」な人々が非難され無視され片隅に追いやられてきたように感じます。最近では「役立たず」だと攻撃までされているのです。
 種田山頭火は、八十年前に終わってしまった俳人ではありません。大正・昭和・平成から令和へと激動の時代を生命を燃やして生き続ける人間の姿なのです。 (「おわりに」より)

著者プロフィール

吉田 正孝  (ヨシダマサタカ)  (著/文

1950年、福岡県糟屋郡仲原村(現粕屋町)に生まれる。1974年、大学卒業後、2014年に至るまで国語科の教諭として福岡県内の七つの県立高校で勤務した。若い頃より山頭火への興味を抱くが、還暦前後から山頭火シンドロームに取り憑かれ現在に至る。また、おやじバンド「ザ・ベアーズ」(ほとんど知られていない)の一員として、老人施設訪問や近郊のイベントでの活動を行っている。現在も粕屋町在住。

上記内容は本書刊行時のものです。