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からだの病いとこころの痛み 村井 雅美(著) - 木立の文庫
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からだの病いとこころの痛み (カラダノヤマイトココロノイタミ) 苦しみをめぐる精神分析的アプローチ (クルシミヲメグルセイシンブンセキテキアプローチ)

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発行:木立の文庫
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ20mm
重さ 200g
248ページ
上製
価格 3,600円+税
ISBN
978-4-909862-06-8   COPY
ISBN 13
9784909862068   COPY
ISBN 10h
4-909862-06-4   COPY
ISBN 10
4909862064   COPY
出版者記号
909862   COPY
Cコード
C3011  
3:専門 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年10月25日
書店発売日
登録日
2019年8月8日
最終更新日
2019年10月10日
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紹介

私たちは人と出会うなか、いつしか“こころが通っている”感覚に包まれていることがあります。
「いつも微かに」あるいは「この瞬間とてつもなく」…… 

それは、相手に同調できて寄り添えたからでしょうか? 
自分を思いやって手を差し伸べてくれたからでしょうか?
 
じつは“こころが通った”という感覚は、そうした応報のなかにではなく、「自分のなかに相手のこころが贈り物のように宿って、その包みの紐をそっと解いて、相手を暖かく見つめ返す」、そんな響きあいの場面にこそあるのではないでしょうか。

○ 本書では、こうした “内面の響きあい”を見つめて、人の《苦しみ》にアプローチします。
それも、人間が避けてとおれない「病気に見舞われる」状況で「大切な他者」とのあいだに起きている“こころの動き”に、眼差を据えます。

○ 病気という体の故障は医療で改善できても、もつれてしまった不幸は、人と人の出会いのなか“こころが通う”感覚でしか、暖かく受け留められることはないのかもしれません。

目次

目  次

刊行に宛てて(東中園 聡)

まえがき
introduction 現代社会で見失われたもの


三つの視点  
関係とは? 相互性とは?

CHAPTER 1  臨床の知
その人らしく生きていくために
三つの視点そして
精神分析のまなざし
生きていくために欠かせないもの

CHAPTER 2  病むということ
病むこと 生きること
子どものこころ 大人のこころ
つらいこと 再演の場
内なる対話 ともに

CHAPTER 3  病むことへの関わり
周産期・乳幼児期の病い
周産期・乳幼児医療とこころ
新たな視点の導入


四つの出会い  
病むこととは? 生きることとは?

CHAPTER 1  阻まれた「つながり」そして孤独
名づけられなかった声
心象の住み家

CHAPTER 2  分断された「つながり」そして怯え
絶たれてしまった声
透明な壁で分かたれて

CHAPTER 3  傷つきと「つながり」のほころび
出てこない声
母親のナルシシズム

CHAPTER 4  病いと「つながり」の解体
乱れてしまった声
母親のまなざしに宿る病い


conclusion 身体の傷とこころの臨床
文  献

雪-寄草―幸福の追求、あるいは不幸(松木邦裕)

あとがき

前書きなど

【巻頭言】(東中園聡氏)より

 本書は、感動を禁じ得ない稀有な心理臨床の真実を綴る書です。
 ・・・・・・
 私は著者を初学の頃から知るひとりです。著者の精進に関わった助言者の一人であると思ってきました。けれども、本書を手にし、読み進めると、こころに熱い想いが湧き出でて止まりません。
 実践の地は別であっても、「痛みに応え、人生の道行きを支える志」を共有する同志が居る、ひとりではないという、日々の臨床に臨む勇気を戴くことができます。医療・福祉・教育・心理など対人援助の現場にこころを尽くす志を抱くすべての皆さまに、本書を推薦いたします。



【まえがき】より

 遭遇した不幸な出来事が、より複雑に増幅されて「こんがらがった不幸」となるのではなく、「ありふれた不幸」となり、さらには自らの成長のための軸となるために、人間に必要なものとは何か。特に身体の機能に直接影響する疾病は、程度の差はあれ、誰もが遭遇し体験する人生の出来事である。生後間もなくから疾病に苦しむ乳児。成人しても、複数の疾病を抱えながら生きる人びと。
・・・・・・
 現代社会に生きる人は、ますます疾病とともにどう生きていくか、そして疾病を抱える人とどう向き合っていくのかを考える必要に迫られている。
 私たちが疾病の身体的治療のみならず、病いとともに生きる人のこころを考えることは非常に緊迫した近年の問題である。疾病の体験を基に人生を豊かに生きていくには何が必要なのかを考えることは時代の要請である。



【あとがき】より

 中村雄二郎〔1992〕が『臨床の知とは何か』で、対象との《関係の相互性》の緊急の必要性を提言してから、四半世紀が経った。
 本書では、疾病によって対象との《関係の相互性》に何らかの亀裂が入った症例を用い、逆説的に人のこころに最も大切なものとして《関係の相互性》を描き出した。そして、セラピストとの関係の相互性に含まれる“原始的な心痛に触れ続けられる”こと、“愛しまれる”ことを通して、「理解すること/理解されること」という、その人の人生の基盤を支え直す可能性があることを描き出したかった。……

版元から一言

本書は心理臨床の専門書として上梓されますが、
そのエッセンスをさらに抽出し、とくに後半での四例を人間ドキュメンタリーとして描いた書籍が、
本書と同時に刊行されます。

『もの想うこころ ―― 生きづらさと共感 四つの物語』〔木立の文庫, 2019年〕

本書の【四つの出会い】に違った方向から光をあてることで、
新たな気づきが生まれ、「こころのつながり」の味わいが深まることを期した試みです。


そうしたことから本書の後半【四つの出会い】では、本文版面の傍らに〈参照註〉として、
そこでの記述が “同胞の書『もの想うこころ』ではどのように描かれているか” の一端が、案内されています。

著者プロフィール

村井 雅美  (ムライ マサミ)  (

村井雅美(むらい まさみ)
1993年、米国ニューハンプシャー大学大学院心理学部博士課程中途退学。
2018年、京都大学大学院教育学研究科博士後期課程(臨床実践指導学講座)単位取得退学。博士(教育学)。
臨床心理士。
日本精神分析学会認定心理療法士スーパーバイザー。

著書に『もの想うこころ――生きづらさと共感 四つの物語』〔木立の文庫, 2019年〕がある。

ほかに『対象の影――対象関係論の最前線』共訳〔館直彦監訳:岩崎学術出版社, 2009年〕、
『フロイト――視野の暗点』共訳〔後藤基規・弘田洋二監訳: 里文出版, 2007年〕、
『被虐待児の精神分析的心理療法』共訳〔平井正三・鵜飼奈津子・西村富士子監訳: 金剛出版, 2006年〕、
『精神分析という経験――事物のミステリー』共訳〔館直彦・横井公一監訳: 岩崎学術出版社, 2004年〕、
『パニック障害の心理的治療法――理論と実践』共著〔佐藤啓二・高橋徹編著: ブレーン出版, 1996年〕など。

上記内容は本書刊行時のものです。