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幕末・明治期の巷談と俗文芸 神林 尚子(著) - 花鳥社
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幕末・明治期の巷談と俗文芸 (バクマツメイジキノコウダントゾクブンゲイ) 女盗賊・如来の化身・烈女 (オンナトウゾクニョライノケシンレツジョ)

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発行:花鳥社
A5判
712ページ
上製
定価 15,000円+税
ISBN
978-4-909832-73-3   COPY
ISBN 13
9784909832733   COPY
ISBN 10h
4-909832-73-4   COPY
ISBN 10
4909832734   COPY
出版者記号
909832   COPY
Cコード
C3095  
3:専門 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年2月25日
書店発売日
登録日
2023年1月28日
最終更新日
2023年8月30日
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紹介

伝承の起源と展開をたどる。

風聞や伝説から生じる巷談は、戯作や歌舞伎、講談、落語などの文芸・芸能とどのように関わり合っているのか。〈鬼神のお松〉〈お竹大日如来〉〈烈女おふじ〉……3つの題材から実例を丹念に検証。流動し変容を続ける巷談の実体に迫る!

2022年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)交付図書

目次

 凡例

序章 巷談研究という視点―問題設定と研究史の整理―
 はじめに
 一 「巷談」という分類指標―「実録」との共通点と相違点―
 二 「巷談」研究の出発点―近世文学領域での研究史―
 三 本書の研究対象と手法
 四 各部の概要
 五 各部の関連領域と研究史―近世文学以外の領域との接点―
 六 「孝」の表象と「列女伝」―近世・近代の「列女伝」の系譜―
 おわりに

第Ⅰ部 ちょんがれ「鬼神のお松」の展開
第一章 門付芸能「ちょんがれ」攷―芸態と内容の変遷―
 はじめに
 一 「ちょんがれ」の沿革―発生期から幕末まで―
 二 ちょんがれと歌舞伎―文化末年を焦点に―
 三 時事に関わる作例―「落書」としての仮託―
 四 小括・ちょんがれの内容分類―薄物唄本を手がかりに―
 五 補論・「くどき」唄本考―ちょんがれとの共通点・相違点を中心に―
 おわりに
第二章 「鬼神のお松」の原型―薄物唄本の諸本―
 はじめに
 一 伝本一覧と系統分類
 二 諸本の書誌と系統分類
 三 諸本の考証―内容面での推移―
 おわりに

第三章 歌舞伎への登場―部分的「趣向」から「世界」へ―
 はじめに
 一 歌舞伎における利用の端緒―上方における展開―
 二 「鬼神のお松」の定型の確立―江戸における展開―
 おわりに

第四章 合巻にみるお松の「後日」―歌舞伎からの影響とその変容―
 はじめに
 一 「鬼神のお松」合巻の嚆矢―『笠松峠雨夜菅簑』―
 二 人情本的世界との融合―『薊花恋苧車』―
 三 「鬼神のお松」と「明烏」の綯い交ぜ―『明鴉雪笠松』―
 おわりに

第五章 中本型読本『初緑黄金笠松』をめぐって―「神道徳次郎」との綯い交ぜ―
 はじめに
 一 『初緑黄金笠松』の概要
 二 盗賊「神道徳次郎」の系譜
 三 「鬼神のお松」の利用と書き換え―宝刀「庚申丸」をめぐって―
 おわりに

第六章 読本・切附本における脚色―『水滸伝』の影響と義賊化―
 はじめに
 一 お松の「外伝」―切附本『鬼神阿松豪傑奇伝』―
 二 長編読本化の試み―読本『笠松峠鬼神敵討』―
 三 構想の継承と書き換え―『初緑』の増補作『神稲黄金笠松』―
 おわりに

第七章 合巻『薄緑娘白波』の構想―戯作・講談・歌舞伎の相互交渉―
 はじめに
 一 書誌と梗概
 二 『薄緑娘白波』の構想―『水滸伝』の影響と白浪物の群像劇―
 三 先行作品の利用と書き換え―歌舞伎・講談・錦絵との相互交渉―
 四 講談との接点―松林伯円への「挨拶」―
 おわりに

第八章 講談と『近古実録』―松林伯円作の継承と明治の「実録」―
 はじめに
 一 松林伯円とその時代
 二 明治期の速記本の検討
 三 「講談一席話」―明治八年の錦絵塡詞―
 四 『近古実録』から『近世実録全書』まで―明治期の「実録」―
 五 講談と『近古実録』系統の交渉―成立をめぐる一試論―
 六 講談と『近古実録』系統のお松像―「毒婦」と「女丈夫」像の交錯―

第Ⅱ部 「お竹大日如来」伝承と俗文芸
第一章 起源の考証(一)―江戸の名主佐久間家・馬込家との関わりを中心に―
 はじめに
 一 早期の「お竹大日」関連文献
 二 大伝馬町名主・佐久間家と馬込家
 三 菩提寺の寺宝と「お竹大日」伝承―江戸の地誌・名所記にみるお竹―
 おわりに

第二章 起源の考証(二)―江戸出開帳と出羽三山信仰をめぐって―
 はじめに
 一 「お竹大日」開帳と略縁起
 二 略縁起の検討―三種の縁起の本文比較―
 三 出羽三山信仰と「お竹大日」伝承
 おわりに

第三章 江戸文人の見た「お竹大日」伝承―日記と考証随筆を中心に―
 はじめに
 一 安永期の川柳にみる「お竹大日」―文芸化の端緒―
 二 『儻偶用心記』にみる懐疑と笑い―「お竹大日」と「騙り」―
 三 日記と考証随筆にみる「お竹大日」伝承―題材の定着と考証―
 四 啓蒙的読本『田家茶話』―教訓性と異伝の生成―
 五 類話と異伝―柳田国男の所説の検討―

第四章 開帳物草双紙の系譜―安永・文化期の二作品―
 はじめに
 一 『敵討女鉢木』の沿革―書誌と梗概―
 二 『敵討女鉢木』の構想
 三 『〈お竹大日如来〉稚絵解』をめぐって―文化十二年の開帳物草双紙―
 おわりに

第五章 式亭三馬作『於竹大日忠孝鏡』の構想―「孝子善之丞」説話の摂取―
 はじめに
 一 『於竹大日忠孝鏡』の構成―書誌と梗概―
 二 典拠の検討―『孝感冥祥録』と『孝子善之丞感得伝』―
 三 文化期の戯作界と『忠孝鏡』
 おわりに

第六章 弘化・嘉永期の合巻と切附本―「孝女お竹」の一代記と求婚説話―
 はじめに
 一 『黄金花桜木双紙』の構想―略縁起に基づく「竹女一代記」―
 二 『応現於竹物語』―お竹の「恋」と『竹取物語』―
 おわりに

第七章 文化・嘉永期の江戸出開帳と錦絵―「お竹大日如来」像の拡大―
 はじめに
 一 文化期・嘉永期の「お竹大日」江戸出開帳
 二 「お竹大日如来」像の拡大―嘉永期の錦絵を中心に
 おわりに―「正身の如来」から「孝女」へ―

第八章 河竹黙阿弥作『双蝶色成曙』―「孝女お竹」と敵討―
 はじめに
 一 作品の概要と典拠
 二 『双蝶色成曙』の構想と作意―番付と台帳の検証―
 おわりに―昇天しない「孝女お竹」―

第Ⅲ部 「烈女おふじ」像の生成と展開―「烈女の時代」としての幕末・明治―
第一章 「烈女おふじ」像の生成―風聞の流布と成長―
 はじめに
 一 事件の概要とその経緯―事実関係の検討―
 二 風聞の流布と変容―同時代の日記・記録類での言及―
 三 「烈女」評価の確立―安井息軒「阿藤伝」の成立まで―
 おわりに―「烈女」表象をめぐる展望と今後の課題―

第二章 明治前期の展開―漢文体伝記と和文の女訓―
 はじめに
 一 漢文体の「伝」の流布―教訓と文範―
 二 「阿藤伝」と『芳譚雑誌』『女鑑』―「男文字」から「をみなもじ」へ―
 おわりに

第三章 『女学雑誌』とその時代―「忠貞不二秘録」をめぐって―
 はじめに
 一 事件当時の「秘録」の出現
 二 『女学雑誌』をめぐる状況―明治二十年代の女子教育と「烈女」―
 おわりに

第四章 藤本藤陰『藤の一本』と『烈女お藤』―明治小説の「実伝」と「敷衍」―
 はじめに
 一 藤陰作品の検討―独自の記述とその背景―
 二 「実伝」と「敷衍」―小説執筆の意識をめぐって―
 おわりに―『藤の一本』の同時代評と後続作品への展開―

第五章 明治の教育幻燈と「烈女」―鶴淵幻燈舗『幻燈図解』ノート―
 はじめに
 一 明治期の「教育幻燈」と鶴淵初蔵
 二 『幻燈図解』所載「烈女藤子の伝」
 三 『幻燈図解』の思想的背景―高瀬真卿と「感化協会」―
 四 『幻燈図解』の構成と内容―明治の「教育幻燈」の歴史観―
 五 幻燈と「絵解き」―鶴淵幻燈舗の「復古」性―
 おわりに

第六章 三遊亭円朝遺稿・円喬口演『烈婦お不二』―もう一つの「操競女学校」―
 はじめに
 一 円朝と「烈女伝」―『操競女学校』と『烈婦お不二』―
 二 『烈婦お不二』連載予告と梗概
 三 登場人物と構成の特徴
 四 「忠孝」の相克―「烈女不二」の造型とその「自害」をめぐって―
 おわりに

第七章 塚原渋柿園と「烈女」の劇化―小説「藤江」と歌舞伎『緋桜』―
 はじめに
 一 塚原渋柿園の著作活動
 二 明治四十年代の「烈女おふじ」関連作品―渋柿園作「藤江」前史―
 三 塚原渋柿園と「烈女おふじ」
 四 明治期「烈女」像の変遷―「忠孝」の内実をめぐって―
 おわりに

第八章 飯田の郷土史としての「烈女おふじ」―顕彰・異説・神格化―
 はじめに
 一 幕末明治期の「烈女おふじ」法要―五十回忌法要と「硯箱の記」―
 二 明治・大正期の郷土史にみる「烈女おふじ」
 三 「烈女」としての評価をめぐって―飯田藩士による口伝の諸相―
 四 行事・祭祀としての「烈女おふじ」―演劇と女性信仰―
 おわりに

終章 底流する諸要素と時代相―各部の通観と今後の課題―
 一 三題材の共通点とその背景
 二 「女性表象」に関わる特質
 三 今後の課題と展望

 初出一覧
 関連文献リスト
 あとがき
 索引

前書きなど

一つの物語が生まれる過程は、もとより単純に一元化できるものではない。その中にあって、巷談種の題材については、その題材の生成の場と、そこから様々に展開し成長していく過程を、ある程度具体的に辿ることができるように思われる。ごく短い断片から生じた巷談種の題材は、いかなる脚色や潤色を経て、人々に記憶され語り伝えられる話柄となっていったか。いわば「文学」が胚胎される原点ともいえる実説から、複雑な筋を備えた物語が生起していく過程を探ることが、本書の関心の中心にある。(序章「巷談研究という視点」より)

著者プロフィール

神林 尚子  (カンバヤシ ナオコ)  (

1981年生。
2004年、東京大学教養学部後期課程卒業。
2015年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。
2022年、博士号(学術・東京大学)取得。
現在、鶴見大学准教授。
共著(各章分担執筆)として、矢内賢二編『明治、このフシギな時代 3』(新典社、2018年)。

上記内容は本書刊行時のものです。