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社会派ミステリー・ブーム 尹 芷汐(著) - 花鳥社
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社会派ミステリー・ブーム (シャカイハミステリーブーム) 日中大衆化社会と〈事件の物語〉 (ニッチュウタイシュウカシャカイトジケンノモノガタリ)

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発行:花鳥社
A5判
292ページ
上製
定価 4,500円+税
ISBN
978-4-909832-55-9   COPY
ISBN 13
9784909832559   COPY
ISBN 10h
4-909832-55-6   COPY
ISBN 10
4909832556   COPY
出版者記号
909832   COPY
Cコード
C1095  
1:教養 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年2月25日
書店発売日
登録日
2022年4月19日
最終更新日
2023年8月30日
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紹介

犯罪・非行・スキャンダル――事件を描いた物語の流行から、〈生きた戦後史〉が浮かびあがる。

松本清張や水上勉、森村誠一などの社会派ミステリー作品は、日本でブームを起こし、その後中国など海外でも流行。その根底にあるものとは何か。
書籍に留まらず、映像化作品や関連する〈事件〉の報道、同時代の言説など、多角的なアプローチで、ブームの構造的解明をめざす。

目次

序章 〈事件〉を物語る時代
 一 「社会派」論を超えて
 二 社会派ミステリー・ブーム
 三 「社会派」論のパラダイム 先行研究(1)
 四 「松本清張研究」の「東アジア」論 先行研究(2)
 五 問題点と本書の研究方法

[第一部 戦後日本のメディアと〈事件の物語〉]
第一章 『週刊朝日』と松本清張―小説「失踪」の語りから考える
 一 「週刊誌ブーム」と松本清張
 二 週刊誌が作る「知」と読書の形態
 三 編集方針と一致する創作
 四 ある「失踪」事件をめぐって
 五 小説「失踪」と週刊誌記事の語り
 六 『黒い画集』が読者に与えるもの

第二章 「事件」とメディア・世論―松本清張「遭難」と井上靖『氷壁』の「登山者」表象
 一 松本清張と井上靖
 二 『氷壁』と「遭難」の作品と評価
 三 「登山ブーム」と山岳小説―「事件」の意味
 四 『氷壁』と「遭難」―誰が真実を語るか
 五 メディアへのまなざし 

第三章 「内幕もの」の時代と『日本の黒い霧』
 一 『日本の黒い霧』、賛否両論のノンフィクション
 二 「内幕もの」の一九五〇年代
 三 松本清張、「一市民」から見た「内側」
 四 「内幕もの」と世論
 五 ノンフィクションという矛盾

第四章 「悪女」の作られ方―松本清張の小説と映像の交錯
 一 松本清張作品の映像化
 二 映画と中間雑誌の連携
 三 週刊誌による映画の宣伝
 四 映像によるイメージの創出
 五 「悪女」イメージの生成
 六 メディアミックスの前段階

[第二部 冷戦期の日中における社会派ミステリーの流通]
第五章 新中国の「内部発行」と社会派ミステリー―『日本の黒い霧』と『日本的黒霧』
 一 外国書籍をめぐる二つの翻訳と流通ルート
 二 「内部発行」で刊行された日本の書籍
 三 「松川事件」をめぐる言論の生成と『日本の黒い霧』の翻訳
 四 順応と対抗のはざま―「謀略朝鮮戦争」をめぐる翻訳と自主検閲
 五 一九八〇年の再版と読者層

第六章 「軍国主義批判」の中の日本文学―三島由紀夫『憂国』と松本清張『日本改造法案―北一輝の死』の翻訳と受容
 一 歴史の分節点としての二・二六事件
 二 三島事件と「軍国主義批判」―『憂国』、『豊饒の海』の内部発行
 三 三島の翻訳における政治と文学の拮抗
 四 もう一つの「二・二六事件」―松本清張『日本改造法案―北一輝の死』
 五 メタファーとしての「北一輝」像

第七章 「事件」と戦争の記憶―鄧友梅『さよなら瀬戸内海』と森村誠一「七三一部隊」シリーズ
 一 戦争をめぐる記憶の困難
 二 アメリカ批判と戦後の「日中友好」活動
 三 『さよなら瀬戸内海』と「強制労働」の記憶
 四 森村誠一と「七三一部隊」
 五 「人民」と「人間」という語りの視点

第八章 名探偵の「死」とその後―日本の社会派推理小説と中国の法制文学
 一 一九八〇年代の中国と日本の社会派推理小説
 二 名探偵の「死」
 三 法制文学の新聞・雑誌で連載された社会派ミステリー
 四 劉賓雁と王朔からみた法制文学の可能性
 五 日中「大衆化社会」と文学との関係

第九章 ナショナルな表象とトランス・ナショナルな記憶―西條八十「ぼくの帽子」と映画『人間の証明』
 一 中国と日本映画の主題歌
 二 メディアミックス戦略のトランス・ナショナルな欲望
 三 西條八十「ぼくの帽子」の「母」と郷愁
 四 中国における「母恋い」の再生とイデオロギーへの対抗

第一〇章 松本清張と連環画の遭遇―イメージの増殖と変容
 一 連環画と「日本」
 二 連環画とは
 三 連環画雑誌と日本文学
 四 映画連環画と日本映画
 五 連環画『砂の器』
 六 イメージは誰のものか

初出一覧/あとがき

資料
 一 松本清張の映画化作品一覧
 二 1950~1960年代中国で公刊された日本書籍
 三 1950~1980年代中国で「内部発行」により出版された日本書籍
 四 1970~1980年代中国で翻訳された社会派ミステリー
 五 日本文学・映画などの連環画化作品の一部(1978~1989年)

索引

前書きなど

「……社会派ミステリーと、私小説・社会小説・歴史小説などの同時代のほかの文学との違いは、社会性の程度にではなく、ミステリーという類型、言い換えれば「事件」を構築する物語様式にある。
 この物語様式こそ、社会派ミステリーが同時代のメディアと読者、観客の視線を引き寄せた要因だという発想はできないだろうか。(中略)
 本書は、従来の「松本清張研究」の成果を踏まえながらも、松本清張文学への評価の更新を目指すのではなく、戦後日本及び東アジアの文化構造的再編成の問題として、社会派ミステリー・ブームを捉え直すことを試みる。」(「序章」より)

著者プロフィール

尹 芷汐  (イン シセキ)  (

1987年、中国四川省生まれ。
北京師範大学日本語学部卒業、名古屋大学大学院文学研究科人文学専攻博士前期・後期課程修了。博士(文学)。
椙山女学園大学、名古屋大学、愛知淑徳大学、名城大学等非常勤講師、大阪大学大学院文学研究科助教を経て、現在椙山女学園大学国際コミュニケーション学部講師。

著書・論文
「『週刊朝日』と清張ミステリー─小説『失踪』の語りから考える」(『日本近代文学』2013年5月)
『東アジアの中の戦後日本』(共著、臨川書店、2018年8月)
『ケアを描く─育児と介護の現代小説』(共著、七月社、2019年3月)

上記内容は本書刊行時のものです。