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〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典 長島 弘明(編著) - 文学通信
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〈奇〉と〈妙〉の江戸文学事典 (キトミョウノエドブンガクジテン)

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発行:文学通信
A5判
552ページ
並製
価格 3,200円+税
ISBN
978-4-909658-13-5   COPY
ISBN 13
9784909658135   COPY
ISBN 10h
4-909658-13-0   COPY
ISBN 10
4909658130   COPY
出版者記号
909658   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年5月11日
書店発売日
登録日
2019年4月19日
最終更新日
2019年5月22日
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書評掲載情報

2019-07-06 朝日新聞  朝刊
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紹介

けた外れに素晴らしく、とんでもなく面白い!
有名無名にかかわらず、とっておきの面白作品を厳選し、73項目・100作品以上から編んだ、はじめての江戸文学事典。同時に本書はめくるめく魅惑の江戸をもっと知りたいという欲求に応える、江戸文学という新世界への入門書です。読むのにも調べるのにも便利で、この1冊で江戸の文学がまるっと楽しめます。
本書からあふれ出す、明るく、雄々しく、気高く、やさしく、優雅な、そして、時には卑屈で、脳天気で、意地悪で、怠け者で、しみったれた江戸人たちの息づかいは、読む人を心豊かに幸せにしてくれるはずです。

編集は、長島弘明。執筆は、一戸 渉/位田絵美/大屋多詠子/柏崎順子/加藤敦子/神谷勝広/金慧珍/金美眞/黄智暉/合山林太郎/高永爛/小林ふみ子/佐藤かつら/佐藤知乃/佐藤至子/杉下元明/杉田昌彦/杉本和寛/全怡炡/高野奈未/高松亮太/崔泰和/千野浩一/冨田康之/丹羽謙治/早川由美/韓京子/日置貴之/片龍雨/深沢了子/洪晟準/牧藍子/水谷隆之/光延真哉/宮木慧太/矢内賢二/山之内英明/梁誠允/吉丸雄哉。

【江戸文学の本質は、〈奇〉と〈妙〉ということばで表すことができます。〈奇〉も〈妙〉も、それを合わせた〈奇妙〉も、不思議な物、珍しい物、普通ではない物、変な物を言うことばです。と同時に、〈奇〉も〈妙〉も〈奇妙〉も、けた外れに素晴らしい物、とんでもなく面白い物、極上の美味い物を指すことばでもあります。
 そういう〈奇〉と〈妙〉に溢れた作品を有名無名とりまぜて選び、読める事典として編集しました。各項目は、いわゆる辞書的な記述ではなく、内容がわかるように、また面白さが分かるように書いてありますので、やがてその作品を丸ごと全部読んでみたくなるはずです。】…「はじめに」より

【こんな特色】
▶とっておきの面白作品、73項目、100作品以上を対象にした事典。
▶使い方ガイドを掲載、ビジュアルにも配慮。図版なんと160点掲載。
▶「江戸文学を楽しむための用語集」「奇と妙の江戸文学年表」で立体的な理解が可能に。
▶事項・人名索引のほか、ジャンル別項目一覧、掲載図版一覧で、調べるのにも便利。

目次

はじめに
使い方ガイド

1 まじめにふざける
【ばかばかしいおもしろさの背後にある、豊かな知識と周到な技巧。有名な古典を使って遊ぶ。
格調高い形式に卑俗な内容を盛る。
人間そのものの滑稽さをみつめる。
江戸文学の〈奇〉と〈妙〉、まずはここから。】

1 古典をもじり浮世をえがく
  『仁勢物語』『吉原徒然草』(古典のパロディー)
2 唐詩選のパロディー三部作
  『通詩選笑知』『通詩選』『通詩選諺解』(狂詩)
3 俳諧師は水滸伝の豪傑?!
  『俳諧水滸伝』(俳諧逸話)
4 大人向けの昔話
  『桃太郎後日噺』『親敵討腹皷』(黄表紙)
5 千手観音の「手」のゆくえ
  『大悲千禄本』(黄表紙)
6 自称「家宝」の自慢合戦
  『たから合の記』『狂文宝合記』(狂文)
7 実用書の顔をした戯作
  『小野字尽』(滑稽本)
8 みやびやかに語る卑俗な笑話
  『しみのすみか物語』(噺本)
9 笑いで処世訓を学ぶ―落語の源流
  『醒睡笑』(笑話集)
10 どこかにいそうな変人たち
  『世間子息気質』『世間娘気質』『浮世親仁形気』(浮世草子)
11 愛すべき奇人たち
  『近世畸人伝』(伝記)

2 見る・観る・視る
【江戸文学は、みる楽しみに満ちている。
挿絵を読み解く。文字を見る。
装丁を楽しむ。舞台に目を奪われる。
資料をみつめる。造本様式に目をこらす。
みるほどに魅せられる〈奇〉と〈妙〉の世界。】

12 響き合う絵と句
  『安永三年蕪村春興帖』(俳諧)
13 絵文字・異訓・当て字・奇字
  『粘飯篦前集』(俳諧)
14 紙上に咲き匂う花々
  『花見次郎』と風状歳旦帖(俳諧)
15 和歌で傘、和歌ですごろく
  『六帖詠草』(和歌)
16 文様で遊び尽くす
  『小紋新法』『小紋雅話』(滑稽本)
17 めくる楽しみ―仕掛け本
  『本朝酔菩提全伝』『早替胸機関』(読本・滑稽本)
18 薄墨が物語を深くする
  『邯鄲諸国物語』『南総里見八犬伝』『児雷也豪傑譚』(合巻・読本)
19 紙上でみせる架空の歌舞伎
  『正本製』(合巻)
20 明治東京の空を飛ぶ風船乗り
  『風船乗評判高閣』(歌舞伎)
21 復元される男伊達の物語
  「梅の由兵衛」もの(歌舞伎)
22 造本様式が語る出版界の動向
  『身のかがみ』(仮名草子)

3 怖い? かわいい?
【非日常の世界は恐ろしくも魅惑的である。
いや、恐ろしいからこそ魅惑的である。
不思議な話、怖い話。幽霊、妖怪、妖術使い。
江戸時代に花開いた、めくるめく〈奇〉の物語。】

23 身体にやどる別の人格
  『伽婢子』「人面瘡」(仮名草子)
24 駕籠に乗った謎の美女
  『西鶴諸国はなし』「姿の飛乗物」(浮世草子)
25 鹿児島生まれの怪談
  『大石兵六夢物語』(実録)
26 ゆるキャラの源流
  『化物大江山』『心学早染草』(黄表紙)
27 絵本からやってきた妖怪たち
  『怪談摸摸夢字彙』(黄表紙)
28 妖婦になった金毛九尾の狐
  『絵本玉藻譚』(読本)
29 妖術使いと三すくみ
  『児雷也豪傑譚』(合巻)
30 逆立つ髪と踊る毛抜
  『毛抜』(歌舞伎)
31 歌舞伎役者の幽霊と化け猫
  『百猫伝』(講談)

4 善人か? 悪人か?
【完全無欠の善人も、徹頭徹尾の悪人も、この世には存在しない。
善と悪のあいだ、義と不義のあいだを揺れ動く、複雑で陰影のある人々の物語。】

32 遊女三姉妹の生きざま
  『英草紙』(読本)
33 大悪人変じて大和尚となる
  『春雨物語』(読本)
34 汚名を返上する男たち―義士の物語
  『仮名手本忠臣蔵』(浄瑠璃)
35 転倒する善と悪―不義士の物語
  『東海道四谷怪談』『菊宴月白波』(歌舞伎)
36 忍術つかい石川五右衛門
  『賊禁秘誠談』(実録)

5 古代を幻想する
【江戸時代の人々が幻視した古代とは?
国学者によって探究されたまぼろしの古代と、虚構の中に創造された、もう一つのまぼろしの古代。】

37 リメイクされ続ける浦島伝説
  『松風村雨束帯鑑』『浦島年代記』(浄瑠璃)
38 歌舞伎仕立ての古代
  『本朝水滸伝』(読本)
39 国学者と歌人、研究と実作の間
  賀茂真淵の『万葉集』研究(国学)
40 お染久松の心中を詠む万葉歌
  『万匀集』(狂歌)
41 太陽は日本で生まれた
  『呵刈葭』(国学)

6 異郷に憧れる
【ここではないどこかへの憧れから、文学が生まれる。
京都から江戸への旅。江戸から東北への旅。
見たこともない外国。日常の向こう側にある異界。
本のなかで出会う、さまざまな異郷。】

42 旅する藪医者の三都物語
  『竹斎』(仮名草子)
43 芭蕉が名付けた唯一の紀行文
  『奥の細道』(俳諧紀行)
44 漂流事件から生まれた異国旅行ガイドブック
  『異国旅すゞり』(漂流物語)
45 琉球に渡った不遇の英雄
  『椿説弓張月』(読本)
46 劇場にあらわれたキリシタン
  『天竺徳兵衛韓噺』(歌舞伎)
47 ローマ帝国からワシントンまで
  『竹堂詩鈔』(漢詩)
48 日本初の異国遍歴小説
  『風流志道軒伝』『和荘兵衛』(談義本)
49 少年たちが語る異界
  『仙境異聞』『勝五郎再生記聞』(国学)

7 恋する・愛する
【恋と愛の果てには何があるのか。好色も度を越せば滑稽になる。
恋情も暴走すれば死を招く。理想の女性は遊女か、妻か。
恋することの〈奇〉、愛することの〈妙〉。】

50 「色好み」が「好色」になった
  『好色一代男』(浮世草子)
51 義理と意気地と
  『男色大鑑』(浮世草子)
52 他人の色恋を覗き見る
  『魂胆色遊懐男』(浮世草子)
53 逃げる姫君、追う僧侶
  『一心二河白道』(浄瑠璃)
54 心中事件の続編
  『卯月紅葉』『卯月の潤色』(浄瑠璃)
55 江戸版のロミオとジュリエット
  『西山物語』(読本)
56 ゆるす心、ゆるせない心
  『雨月物語』(読本)
57 廓遊びの虚々実々
  『傾城買四十八手』(洒落本)
58 恋愛小説の無限変奏
  『春色梅児誉美』五部作(人情本)
59 青年文人がつづる遊びの精髄
  『ひとりね』(随筆)
60 亡妻を恋うる記
  『追思録』(漢詩文)

8 ことばを磨く
【ひとは自分が知っていることばでしか語れない。
新しいことばは、今あることばを吟味するところから生まれる。
ことばに向き合い、表現の新たな可能性を切り拓いた作品の〈妙〉。】

61 不夜城の女の俳諧
  『太祇歳旦帖』(俳諧)
62 江戸時代の新体詩
  「北寿老仙をいたむ」「春風馬堤曲」(俳詩)
63 皮肉とユーモア―秀句の宝庫
  『誹風柳多留』(川柳)
64 漢詩の江戸語訳
  『訳註聯珠詩格』(漢詩)
65 強烈な自負心、躍動することば
  『風来六部集』(狂文)

9 物語を織る
【古びた物語は、いくたびも染め直される。
イメージという色糸によって、新たな世界が織り上げられてゆく〈奇〉と〈妙〉。
江戸文学の真骨頂。】

66 もうひとつの平家物語
  『義経千本桜』「渡海屋・大物浦」(浄瑠璃)
67 芭蕉も登場する仇討ち物語
  『志賀の敵討』(浄瑠璃)
68 三つの世界を綯い交ぜる
  『隅田川花御所染』(歌舞伎)
69 八百屋お七からお嬢吉三へ
  『三人吉三廓初買』(歌舞伎)
70 三題咄から生まれた歌舞伎
  『三題咄高座新作』(歌舞伎)
71 つきまとう幽霊、執着する人間
  『怪談牡丹燈籠』(人情噺)
72 江戸っ子が書く光源氏の物語
  『偐紫田舎源氏』(合巻)
73 水滸伝に学び水滸伝を超える
  『南総里見八犬伝』(読本)

江戸文学を楽しむための用語集
奇と妙の江戸文学年表

あとがき

執筆者一覧

主要事項索引
主要人名索引
ジャンル別項目一覧
掲載図版索引

著者プロフィール

長島 弘明  (ナガシマ ヒロアキ)  (編著

1954年、埼玉県生まれ。1976年、東京大学文学部国語国文学科卒。1980年、東京大学大学院博士課程中退。実践女子大学専任講師、名古屋大学助教授、東京大学大学院教授を経て、現在、二松学舎大学特別招聘教授。専攻は日本近世文学。
主な著書に、『建部綾足全集』(共編著、国書刊行会、1986~1990年)、『上田秋成全集』(共編著、中央公論社、1990年~)、『上田秋成』(新潮古典文学アルバム20、編著、新潮社、1991年)、『雨月物語の世界』(ちくま学芸文庫、筑摩書房、1998年。初版『雨月物語 幻想の宇宙』(上・下)NHK出版、1994・1995年)、『古典入門 古文解釈の方法と実際』(共編著、筑摩書房、1998年)、『秋成研究』(東京大学出版会、2000年)、『本居宣長の世界 和歌・注釈・思想』(編著、森話社、2005年)、『国語国文学研究の成立』(編著、放送大学教育振興会、2011年)、『名歌名句大事典 歳時・人・自然』(共編著、明治書院、2012年)、『上田秋成の文学』(放送大学教育振興会、2016年)、『雨月物語』(岩波文庫、校注、岩波書店、2018年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。