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がんの「語り」
語り手の養成から学校・医療・企業への派遣まで
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年11月5日
- 書店発売日
- 2021年11月5日
- 登録日
- 2021年10月29日
- 最終更新日
- 2021年11月6日
紹介
「がん対策基本法」が2016年に施行され、学校・企業・市町村では「がん教育」「啓発活動」を行わなくてはならなくなりましたが、その内容はいまだ定まっておらず〈現場〉にまるなげの状態が続く中で、多くの教員、行政・企業・医療の担当者が「がん教育、啓発活動をどう行えばよいか」に頭を悩ませています。そんな人たちに向けて、北海道で「がん教育」「啓発活動」に実績のあるNPO法人〈キャンサーサポート北海道〉が「がんの語り手」の養成と派遣のノウハウをまとめたものが本書です。マイナスに思えた体験がプラスに変わり、語り手と聞き手双方に「前に進む力」をもたらす〈がん体験の語り〉――そのノウハウを公開しています。
目次
第1章 語りの意味
1-1 語りとは
1-2 がん体験の語りが必要とされる背景
1-3 私たちの「語り」の特徴
事実と気持ち
サポートスタッフとの共同作業
「患者」ではなく「人」としての語り
第2章 語りを作る・語る
2-1 原稿を書く
まずは「年表」
「カルテ」はいらない
時の流れに身をまかせないで
人間関係のもつれ
同音異義語
固有名詞は慎重に
気持ちを引き出す
みんなで作る
2-2 語りを磨く
スライドの作成
発声練習
動画やオンライン
第3章 語りを活かす
3-1 学校教育に活かす
わかりやすく、一文は短く
語りを助けるスライド
「怖がらせて終わり」はNG
まず、先生にわかってもらおう
事前打ち合わせにこそ時間をかけよう
教訓はいらない
質問や感想文は宝物
乳がん体験者が語った例 小学5年生の道徳授業
精巣がん体験者が語った例 中学1年生の道徳授業
配慮が必要な子がいる場合
3-2 医療に活かす
治療やケアに役立つ「がんの語り」
がんで変化した日常・医療者との関係を語ろう
[診断前の生活を大切に]
[診断・治療方針の決定 そのとき]
[治療による心と身体の変化 医療用語はどんどん使おう]
[医療者の言葉・態度に一喜一憂]
[治療後の暮らし 私が病いを語る理由]
医療者に語りを届けるまでの準備
医療者の前で語る 緩和ケア研修会で語った例
[アンケート結果に手ごたえ]
[共感し、理解を深め学ぶ 自分の言動を振り返ることも]
3-3 企業研修に活かす
企業として体験者に聞きたいことは?
両立の工夫を語ろう
退職した理由を語ろう
就労支援解説とセットでも
第4章 養成・派遣の窓口とお金の話
多様な研修会で 全国で
私たちの経験では
報酬決定 こう考える
[語ってみました……横田文恵/Y.M./前川純子/内藤郁子/山崎政彦/和賀豊/井上美智代]
付録 年表/ストーリーボード/原稿用紙
前書きなど
本書でご紹介するのは、私たち〈キャンサーサポート北海道〉が活動を通じて開発してきた「体験の語り」の方法です。私たちは2015年から「がんの語り手養成事業」を始め、2017年に養成講座の受講生の発案で28人が実名で自らの体験を執筆した『北海道でがんとともに生きる』を刊行しました。2017~2019年度には札幌市の補助金を受け、「札幌市がん経験者派遣体制構築事業」を実施し、語り手の養成と派遣の仕組みづくりに取り組みました。そして、これらの成果をもとに、学校の授業や市民公開講座、学会のシンポジウム、医療者の研修会などに語り手を派遣してきました。開発したのは、これら養成講座や派遣の経験を通じて養われた「実践知」に、実践の中で集めたデータの学術的分析や「病いの語り」に関する学問的な知見という「専門知」を加えた方法論です。……「はじめに」より
版元から一言
本書の執筆者4人が所属するキャンサーサポート北海道とは
北海道でがんに関する教育研修や支援をするNPO法人です。
病いの体験をもとに、さらに病いの体験を超えて、経験とそこから学び取った成果を社会に還元していくことを目指して、ピアサポート研修、がんサロンの運営、がんの語り手の養成と派遣、がんのサバイバーシップやグループサイコセラピーに関する研究、がんに関する社会への提言などを行っています。
https://cancersupport.jp/
上記内容は本書刊行時のものです。