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マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界 山本 博之(著/文 | 編集) - 英明企画編集
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マレーシア映画の母 ヤスミン・アフマドの世界 (マレーシアエイガノハハ ヤスミン アフマドノセカイ) 人とその作品、継承者たち (ヒトトソノサクヒン ケイショウシャタチ)

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A5判
縦210mm 横141mm 厚さ26mm
480ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-909151-21-6   COPY
ISBN 13
9784909151216   COPY
ISBN 10h
4-909151-21-4   COPY
ISBN 10
4909151214   COPY
出版者記号
909151   COPY
Cコード
C0374  
0:一般 3:全集・双書 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年7月25日
書店発売日
登録日
2019年6月19日
最終更新日
2019年7月31日
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書評掲載情報

2020-01-15 ASIAN POPS MAGAZINE  143号
2019-12-15 キネマ旬報  12月下旬号/1828
評者: 暉峻創三
2019-11-15 nippon.com  
評者: 野嶋剛
2019-10-26 i-D VICE  
評者: 月永理絵
2019-08-16 GQ Japan  
評者: 野中モモ
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紹介

伝説の映画監督が遺した珠玉の作品群を読み解く――

『細い目』『グブラ』『ムクシン』『ムアラフ』『タレンタイム』『ラブン』等の作品を通じて「もう一つのマレーシア」を描き、世界に感動をよんだ不世出の映画監督ヤスミン・アフマド。彼女が遺した長編映画6作品と短編1作品を、民族、宗教、言語などの社会的背景を踏まえて多角的に読み解き、その特徴と魅力、より深い愉しみ方を紹介します。

ヤスミン作品を支えた映画人・舞台人、ヤスミンの遺志を継ぐ者たちの情報や、役者名・登場人物名一覧、上映データと劇中に登場する食べ物、音楽、詩などの参考情報等も収録。没後10年を経てなお人びとを魅了し続ける混成的・多層的・多義的な物語世界=「ヤスミン・ワールド」の全貌に迫ります。

読めばヤスミン作品の新たな姿が立ち上がり、マレーシア社会の姿がみえてくるとともに作品を観たくなる――そんな映画と世界の読み解きガイドです。

目次

■はじめに――現実と切り結ぶ「映画の力」を珠玉の作品群にみる


■第1部 ヤスミン・アフマド作品の混成的な特徴と魅力――演出、情報提示、脚本、翻訳の視点から

第1章 演出しない演出─演技させるのではなく物語を引き出す
第2章 綿密に計算された情報の提示─余白の解釈を託しつつ常識を揺さぶる
第3章 脚本に見る物語の継承と多層化─マレーシア映画史におけるヤスミン
第4章 文化的基盤の読解と翻訳を希求する作品世界─背景の読み解きと多色字幕


■第2部 多層的・多義的物語世界の愉しみ方――長編六作、短編一作を読み解く

●①オーキッド三部作『細い目』/『グブラ』/『ムクシン』
◆内容紹介
◆「もう一つのマレーシア」を美しく描く……山本 博之
◆約束と父性――オーキッドの「結婚」……山本 博之
◆共同体の決まり――「いなくなる」こと……山本 博之
◆オーキッドとジェイソンの物語のもう一つの結末……山本 博之
◆許しはいつも間に合わない……野澤 喜美子
◆ジェイソンの母が照らす「もう一つのマレーシア」……篠崎 香織
◆夢の中のあなた――夢中人と愛の期限……及川 茜
◆マレー人少女の心をつかんだ金城武と『ラヴソング』……宋 鎵琳・野澤 喜美子
◆「歌神」サミュエル・ホイの歌による予感と鎮魂……増田 真結子
◆ジェイソンが本名を名乗らなかったわけ……増田 真結子
◆「上海灘」が流れるとき……増田 真結子
◆ヤスミン作品を支えるタイ音楽のフィーリング……秋庭 孝之
◆タゴールの詩にみえる普遍的な人間愛……深尾 淳一
◆マレーシアのガザル音楽……山本 博之
◆ヤスミンとオートバイ……山本 博之
◆一二歳の旅――ヤスミン映画と児童文学……西 芳実

●②『ムアラフ』
◆内容紹介
◆ブライアンは「改宗」したのか……山本 博之
◆ロハナとロハニが唱える数字……山本 博之
◆相対化で変わりうる「改宗」の意味……光成 歩
◆「家路」の旋律が表すもの……増田 真結子
◆『ムアラフ』に登場するムアラフと再誕……山本 博之

●③『タレンタイム』
◆内容紹介
◆「月の光」、そして「もう一つのマレーシア」……山本 博之
◆翻訳可能性と雑種性――『タレンタイム』に集う才能たち……山本 博之
◆死による再生と出発――ヤスミンを送る映画……山本 博之
◆届かない歌に込めた祈り……野澤 喜美子
◆茉莉花の物語……及川 茜
◆ビッグフットを求めて――ヤスミンが描く家族のかたち……西 芳実
◆一七歳の試練――SPMを控えた少年少女の群像……金子 奈央
◆「ライラとマジュヌン」――『タレンタイム』に至るイスラム文学の系譜……山本 博之
◆『タレンタイム』にみるマレーシアのインド系世界……深尾 淳一

●④『ラブン』
◆内容紹介
◆都会暮らしに慣れたマレー人も……山本 博之
◆心の庭に招き入れる寛容さ……野澤 喜美子
◆見えざるものを見る力――ヤスミンとユーハンをつなぐもの……西 芳実

●⑤『チョコレート』
◆甘くて苦い決意……山本博之


■第3部 ヤスミン・ワールドを支える人びと――先行の映画人・舞台人たちの物語

◆ハリス・イスカンダル(スタンダップ・コメディアン/俳優/監督)
◆アイダ・ネリナ(女優)
◆トー・カーフン(脚本家・監督・俳優/ジャーナリスト/書店経営者)
◆ナムロン(俳優/監督)
◆ミスリナ・ムスタファ(女優/芸術家)
◆ラヒム・ラザリ(俳優/監督)
◆イェオ・ヤンヤン(女優)
◆アゼアン・イルダワティ(女優/歌手)
◆ジット・ムラド(脚本家/俳優/スタンダップ・コメディアン)
◆スカニア・ベヌゴパル(女優/演劇人)


■第4部 伴走者・継承者たちの歩み――約束を守り遺志を継ぎ伝える者

◆ジョビアン・リー――生涯を捧げてヤスミンのメッセージを伝え続ける永遠の「パートナー」
◆ホー・ユーハン――映画という絆で結ばれた唯一無二の「盟友」
◆シャリファ・アマニ――見出され開花した才能が期待を集める美しく強き「娘」


■資料
①長編監督作品 上映基本データと参考情報
②ヤスミン・ワールド人名一覧(演者名・役名索引)
③ヤスミン・アフマド年譜
参考・参照文献一覧
あとがき
編著者略歴

版元から一言

ヤスミン・アフマド(1958~2009)は、多民族・多言語・多宗教の混成社会マレーシアにおける多文化共生の理想と現実とのギャップを、どこまでも優しく、ときに冷徹に、かつウィットとユーモアを込めて描き出した映画監督です。

『細い目』『グブラ』『ムクシン』『ムアラフ――改心』『タレンタイム~優しい歌』『ラブン』という長編6作品を通じてマレーシア映画の魅力を世界に知らしめ、マレーシアの映画界に新しい風を吹き込んだことから「マレーシア映画の母」とも称されます。

ヤスミン作品の特徴として、マレーシアを描くがゆえの混成性と、ヤスミン自身が作品に込めた多義性・多層性が挙げられます。こうした特徴を踏まえて、マレーシアの社会的背景を理解したうえで物語を観ると、ヤスミンが作品に込めた様々なメッセージがみえてきます。

それらを読み解きながら物語を愉しむことは、混成性が増すこれからの世界と日本をどのように理解して、どのように生きていくかを考える参考にもなり得ると考えています。

著者プロフィール

山本 博之  (ヤマモト ヒロユキ)  (著/文 | 編集

京都大学東南アジア地域研究研究所准教授/混成アジア映画研究会代表。専門は東南アジア地域研究/メディア研究。研究テーマはナショナリズムと混血者・越境者、災害対応と社会、混成アジア映画。主な著書に、『映画から世界を読む』(京都大学学術出版会、2015年)、Film in Contemporary Southeast Asia: Cultural Interpretation and Social Intervention(編著、Routledge、2012)、『復興の文化空間学――ビッグデータと人道支援の時代(災害対応の地域研究 1)』などがある。

秋庭 孝之  (アキバ タカユキ)  (著/文

2007年タイ王国チュラロンコーン大学文学部タイ研究科修士課程修了。タイ映画を中心にタイの現代文化について研究。「タイ王国・現代美術展 Show Me Thai~みてみ☆タイ~」のカタログ翻訳(2007年)や映画『花と兵隊』のタイ語翻訳(2009年)、その他いくつかの媒体にタイ映画について寄稿。現在は民間企業において東南アジア地域を中心としたグローバルMICE業務を担当する。CMP (Certified Meeting Professional)。

及川 茜  (オイカワ アカネ)  (著/文

神田外語大学アジア言語学科講師。近世日中比較文学およびマレーシア中国語文学を中心に、中国語圏諸文学の翻訳と研究に従事する。映画に関する論考に「家のない女たち――ロウ・イエ『パリ、ただよう花』とグオ・シャオルー『中国娘』に見られる中国人女性の移動」(奈倉京子編『中国系新移民の新たな移動と経験』明石書店、2018)などがある。

金子 奈央  (カネコ ナオ)  (著/文

長崎外国語大学国際コミュニケーション学科特任講師。専門はマレーシア地域研究。研究テーマは、多民族国家の教育政策と教育実践。主著に「Formation of Independent Education System in Sabah」(『Islam and Cultural Diversity in Southeast Asia (Vol.2): Perspectives from Indonesia, Malaysia, the Philippines, Thailand, and Cambodia』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2018年)がある。

篠崎 香織  (シノザキ カオリ)  (著/文

北九州市立大学外国語学部教授。マレーシア地域の多民族社会について、主にマラヤ(マレーシア半島部とシンガポール)の華人社会の視点から研究。主著は『プラナカンの誕生──海峡植民地ペナンの華人と政治参加』(九州大学出版会、2017年)。映画関連では「継承と成功──東南アジア華人の『家』づくり」(『地域研究』13(2)、2013年)がある。

宋 鎵琳  (ソン アニタ)  (著/文

東京在住台湾人。国立台北芸術大学演劇学部舞台演出専攻卒業。新聞社、フリーランス、化粧品会社を経て、2009年に日本映画専門大学院大学に入学し、映画プロデュース研究科修士を取得。2010年からアジアコンテンツアクイジションの仕事がはじまり、現在は日本の配信事業者で働いている。台湾デジタルアートグループ《Very Mainstream Studio》の顧問。

西 芳実  (ニシ ヨシミ)  (著/文

京都大学東南アジア地域研究研究所准教授。インドネシアを中心に多言語・多宗教地域の紛争・災害対応過程を研究。主著は『災害復興で内戦を乗り越える─2004年スマトラ島沖地震・津波とアチェ紛争』(京都大学学術出版会、2014年)。映画関連では「信仰と共生:バリ島爆弾テロ事件以降のインドネシアの自画像」(『地域研究』13(2)、2013年)など。映画で東南アジア社会の課題共有をはかるシネアドボ・ワークショップにも取り組む。

野澤 喜美子  (ノザワ キミコ)  (著/文

慶應義塾大学法学部卒、出版社、映画配給会社を経て、映画専門大学院大学映画プロデュース修士修了。現在、三児の母。こどもたちがどのように映画に出会うか実地観察中。

深尾 淳一  (フカオ ジュンイチ)  (著/文

元映画専門大学院大学准教授。在チェンナイ日本国総領事館専門調査員を経て、現在、Ernst & Young LLPチェンナイ事務所ジャパン・デスク担当として、インド、チェンナイに在住。映画に関する著作としては、「グローバル化とインド映画産業:インタビュー調査を通して」『(『地域研究』13(2)、2013年)、「南インド映画:タミル語映画のいま」(『インド映画完全ガイド』、2015年)などがある。タミル語映画の字幕監修等も多数手がけている。

増田 真結子  (マスダ マユコ)  (著/文

国内某総合出版社ライセンス部門勤務。現在はインドネシア、マレーシアなど東南アジア地域への版権輸出業務を担当。東京大学大院総合文化研究科在学中、国際交流基金のフェローシップを得て香港へ渡り、華人文芸・映画を中心としたアジアの文化・サブカルチャーを研究。香港の現地出版社に就職して中国語版の翻訳出版に携わる。中国語の講師、翻訳・通訳、ライター業を経て現職。

光成 歩  (ミツナリ アユミ)  (著/文

津田塾大学学芸学部国際関係学科講師。専門はマレーシア地域研究。研究テーマ
は、多宗教社会におけるイスラム家族法と一般家族法の関係、マレー・イスラム
世界におけるムスリム女性の社会的地位。主な論文は“Controversial Boundary:
The Construction of Muslim Law Framework in Decolonizing Singapore”
(Malaysian Studies Journal. Vol. 4. 2015)。

上記内容は本書刊行時のものです。