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レベティコ-雑草の歌
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2020年10月8日
- 登録日
- 2020年8月18日
- 最終更新日
- 2023年9月10日
書評掲載情報
2020-11-07 |
朝日新聞
朝刊 評者: ササキバラ・ゴウ(まんが編集者) |
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紹介
ギリシャのブルースとも呼ばれる「レベティコ」の世界を
味わい深い絵と独特の詩情で描いた傑作バンド・デシネ
第二次世界大戦前夜の1936年、軍人上がりのイオアニス・メタクサスが首相に就任し、ギリシャはファシズムへの道をまっしぐらに進んでいた。当時ギリシャのアテネでは、レベティコという音楽が流行していた。レベティコのミュージシャンたちが歌ったのは、自らが属す下層階級の人々の生きづらい日常。それが下層階級の人々から熱烈に受け入れられた。一方、当局にとっては、定職につかず、ハシシを常習し、喧嘩に明け暮れ、犯罪まがいのことに手を染めることもいとわず、昼はぶらぶら過ごし、夜な夜なバーで演奏してひと騒動起こすレベティコのミュージシャンたちは、風紀を乱す社会のお荷物以外の何ものでもなかった。
主人公のスタヴロスもそんなミュージシャンのひとり。彼は仲間たちとグループを組み、自由気ままな生活を送っていた。グループのリーダー、マルコスが半年ぶりに刑務所から出所したその日、スタヴロスと仲間たちは再会を祝い、久しぶりのセッションを楽しみ、乱痴気騒ぎを繰り広げる――。戦争が間近に迫り、自由がまさに失われようとする窮屈な時代に、あくまで我を通し続けた愛すべき人物たちの長い一日の物語。
版元から一言
本書は『Rébétiko (la mauvaise herbe)』『Rébétiko (la mauvaise herbe)』というタイトルで、2009年、フランスのFuturopolis(フュチュロポリス)社から出版されたフランス語圏のマンガ=バンド・デシネである。海外で単行本として出版されているマンガはしばしばグラフィックノベルとも呼ばれ、国際的に出版されるが、本書も例外ではなく、グラフィックノベルとして英語、スペイン語、イタリア語など、複数の言語に翻訳されている。
■バンド・デシネとは
フランス語圏のマンガ。フランス・ベルギーは日本、北米と並んで、マンガの出版が盛んな地域として知られている。日本のマンガとは異なり、バンド・デシネは左開き、大判のハードカバーで出版され、オールカラーで描かれていることが多い。日本でも特にここ10年翻訳が増えていて、さまざまな作品を読むことができる。
■レベティコとは
レベーティカあるいはレンベーティカとも言われる。20世紀初頭に誕生したギリシャのポピュラーミュージック。ビザンティン音楽や南欧、アラブなど地中海の民俗音楽の影響が色濃いが、レベティコの発展においては、特に1920年代初頭、第一次世界大戦やトルコ革命、希土戦争の結果、トルコ支配下の小アジアに長らく住んでいた膨大な数のギリシャ人が難民としてギリシャに帰郷し、トルコ音楽を持ち込んだことが大きい。物語の舞台になっている1930年代に大きな盛り上がりを迎える。貧困や社会・政治問題、悲恋、麻薬など、当時のギリシャの都市部に住んでいた下層階級の人々が抱える疎外がテーマになっていることが多く、ギリシャのブルースとも呼ばれる。
上記内容は本書刊行時のものです。