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「探究」カリキュラム・デザインブック がもう りょうた(著) - ヴィッセン出版
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「探究」カリキュラム・デザインブック (タンキュウ カリキュラム デザインブック)

教育
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ10mm
140ページ
並製
価格 1,300円+税
ISBN
978-4-908869-00-6   COPY
ISBN 13
9784908869006   COPY
ISBN 10h
4-908869-00-6   COPY
ISBN 10
4908869006   COPY
出版者記号
908869   COPY
Cコード
C3037  
3:専門 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年3月
書店発売日
登録日
2017年2月16日
最終更新日
2017年3月27日
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紹介

学習指導要領が変わり、センター試験が変わろうとしている今、学校では、また教師たちは、生徒にどのような力を付けることが大切なのかと模索し始めています。
「生きる力」と表現される求められている力はどのようなカリキュラムを作れば、生徒たちに身につけてもらえるのだろうか。熱意ある教師ほど、迷い、試行錯誤を繰り返しています。
そうした具体的な疑問に答える手引き書であり、アクティブ・ラーニングを理論的に理解するための解説書です。

目次

はじめに

第1部 「アクティブ・ラーニング=主体的・対話的で深い学び」と「探究活動」――「理論」を学ぶ

1 「新しい学び」の時代
2 今、必要とされる「新しい学力」
3 「アクティブ・ラーニング=主体的・対話的で深い学び」とは何か?
4 「学校外の学び」から考える
5 教師に求められる2つの力
6 「探究活動」とは何か?
7 「探究活動」の2つのカリキュラムモデル
8 「探究」カリキュラムの3段階モデル
9 「調べ学習」と探究活動をつなげる

第2部 カリキュラムを「デザイン」する――学びの「作り方」

1 一貫したカリキュラムを作ろう
コラム 学習指導要領改訂と「カリキュラム・マネジメント」
2 「学習目標」から考える――カリキュラム作りの手順
3 「工学」と「羅生門」――授業を作る視点
コラム 「教育」は後からやって来る
4 「成果物」と「能力」――カリキュラムを作る視点
5 「学習者」を評価する
6 「授業」を評価する
7 カリキュラム作りの実際(1)――事前調査
8 カリキュラム作りの実際(2)――事業運営に向けて
コラム 「オルタナティブ教育」


第3部 さまざまな「学習方法」を学ぶ――学びの「原理」と「手法」

1 ファシリテーション――学びの「原理」①
2 ロールプレイ――学びの「原理」②
コラム 「役になりきる」ことの学び
3 ゲーム――学びの「原理」③
コラム 「ゲーム」で授業を作る
4 アイスブレイク――グループ活動に向けた手法①
5 協調学習――グループ活動に向けた手法②
6 コミュニケーション・トレーニング――「社会性」を育てる手法
7 ディベート――「論理的な思考力」を鍛える
コラム 机の上のディベート
8 レポート・ライティング――「書き方」を学ぶ手法
コラム 「文章チュータリング」とは何か
9 情報を整理する方法――「アイデア」を生み出す手法
10 「仮説」作りの方法(1)――アイデアを形にするサポート
11 「仮説」作りの方法(2)――検証に向けたサポート


ふろく 探究活動を「つながり」のなかで作る――「連携」の実務を知る

1 学校が「連携」をするとき
2 どうやって「連携」する?
3 連携「体制」をどう作るか――連携の机に着くまで
4 「連携」の実際と諸問題


おわりに

前書きなど

「アクティブ・ラーニング」がやってくる!
 近年、学校現場では「アクティブ・ラーニング」という言葉が話題になっています。本書のメインテーマになる「探究活動(探究的な学習)」というのも、この「アクティブ・ラーニング」の一種と考えられます。
 なぜ、話題になっているのかというと、次回学習指導要領に「アクティブ・ラーニング」という学習方法が織り込まれるということが分かってきているからです(文献1)。これは「ゆとり教育」以来の「生涯学習社会」構築に向けた学習者の主体性や能動性を重視した「新しい学び」への大転換のひとつの集大成と考えられます。
 次回学習指導要領は「改定」の後、「周知・徹底」、「先行実施」のプロセス
を経て、「全面実施」されます。高等学校では2019年度より「先行実施」され、2022年度より年次進行で「完全実施」されます(文献2)。
 さらにこの改定作業と並行して、2020年度から現行の「大学入試センター試験」から、「高大接続改革」に基づく新しいタイプの入試方法が導入されることになっています。
 この一連の「改革」についての捉え方は人によって違っています。「受験勉強どうするのか」と戸惑う人、「これまでほとんどの授業で『アクティブ・ラーニング』をしているから大丈夫」と胸を張る人、様々です。
 しかし、学校現場を訪れると「アクティブ・ラーニング」の趣旨を理解し、うまく授業に活かしている先生たちというのはとても少なく感じます。学習活動としては未熟な「かたちだけのアクティブ・ラーニング」が蔓延しつつある危惧もあります。

今、必要な「カリキュラム・デザイン」力と「学びのファリテーション」力
 もともと「アクティブ・ラーニング」という語自体はアメリカの大学教育の中で生まれました。それまで一部のエリートのためのものでしかなかった大学に、多くの人々が入学するようになり、一斉授業だけでは立ちゆかなくなった時期があります。その中で出てきた教育改善運動において、「アクティブ・ラーニング」というものが生まれたのです。
 「アクティブ・ラーニング」を導入するということは、この例にならえば「不断の教育改善」を意味するわけです。学習者が教室できちんと学び、教師が適切な形で教育を遂行する。この当たり前の営みを「実質化」するために、様々な手法や授業のマネジメントを工夫する。このようなことが「アクティブ・ラーニング」という用語に含まれているのです。
 しかし、文部科学省がこの言葉を学校教育一般に導入しようとして以降、たくさんの関連書籍が出版される中、情報があふれ様々な混乱が生じています。「これこそ、『アクティブ・ラーニング』の決定版」という手法や教案が飛び交い、それをただ、真似すれば新しい流れに対応できると考えている先生たちは結構いるのではないでしょうか。
 「アクティブ・ラーニング」という言葉が持つ「教育改善」の理論的な広がり-つまり、適切なカリキュラム作りとマネジメントというデザイン面での問題、そして、学びの促進(ファシリテート)という臨床面での問題-に正面から取り組めるのか。単にグループワークをすればいいとか、発表活動をすればいいとか、「かたちだけ」の研究授業を披露してお茶を濁そうとしていないか。
 筆者はそのような危惧を抱いてしまうのです。
 「教育改善」に必要な「カリキュラム・デザイン」力、「学びのファリテーション」力、これらをつけること。この基本的なことが「アクティブ・ラーニング」の導入には不可欠である。
 これが本書の理解です。本書では以上の基本的な能力を開発・確認するために、「アクティブ・ラーニング」、とくに本書がメインターゲットとしている「探究活動」についての理論的知識(第1部)、そして、一般的な教育方法や学習支援の知識(第2部)を整理し説明しています。

「学校の外」にある「アクティブ・ラーニング」を利用する
 「アクティブ・ラーニング」は技法という側面があります。学習の方法、あるいは授業の方法とでもいいましょうか。具体的な方法が存在します。それらは従来の教科教育の中で蓄積されたものもありますが、多くは「学校の外」に存在します。たとえば、「アクティブ・ラーニング」の先例となった「大学教育」には効率的なグループ学習を目指した様々な実践例が存在します。また、「社会教育」、つまり「大人の教育」(成人教育)や「博物館・美術館の教育」などにも注意を向けたいです。
 これら「学校外のアクティブ・ラーニング」の蓄積には、コミュニケーション能力を高めたり、アイデアを作ったり、社会で役立つ文章を書けるようにしたりと、実用的な学習法がたくさんあります。
 本書では「探究活動(探究的な学習)」という「アクティブ・ラーニング」です。この手法は一般的な「調べ学習」や「自由研究」をより洗練させた「子どもたちの研究活動」と呼べるものです。学習者は「研究活動」を通じて、様々な能力を身につけていくのですが、急に「研究」を始めさせて、おのずからグループで話し合いテーマを決めて「仮説」を立て、実証し、その結果をレポートにまとめられる……ということは不可能です。
 それら「基礎となる学力」を、実際の「研究活動(課題研究)」にチャレンジさせる前に身につけさせる必要があります。このとき、これら「学校外のアクティブ・ラーニング」が役に立つのです。
 本書では「探究活動(探究的な学習)」のカリキュラムを組む際に活用できる様々な「アクティブ・ラーニング」の手法を解説し、紹介しています(第3章)。これらは単独で教科の授業に活用することも可能ですし、「ホームルーム」など、「特別活動」に使うことができます。紙面の関係からあくまでも紹介程度にはなりますが、利用できそうなものがあれば、ぜひ、調べて関連書籍に当たっていただければ幸いです。

「探究活動」への臨床現場からのアプローチ
 筆者は大学・大学院で教育方法・学修支援について学びながら高校の教壇に立ちました。現場への入る中で「探究活動」を校内に企画・組織化、さらに「総合的な学習の時間」再編に参加してカリキュラム改定や授業運営のアドバイスを行いました。この経験からカリキュラム作りの実際を、第2章末尾に記しました。
 さらに高校での活動と並行して、大学総合博物館での「学び」をテーマにした企画展示とそれに付随した「高大連携事業」の実務担当者となり、プロジェクトの企画・運営から学校現場との交渉・調整、実際の授業計画のデザインを行ないました。
 現在、「探究活動」の先進校で見られるような「高大連携」ないしは「博学連携」など、学校の外部機関との連携について、学校側から、そして、学校外の機関(大学)から体験し、その実務内容を理解するようになりました。その全貌を本書付録にて整理いたしました。
 このような実務経験の中で、多くの先生方が教育方法や学習支援の知識を持たずに悪戦苦闘されていることに気づきました。非常に熱心な方々であってもこのような知識不足ではなかなか、仕事がはかどらないのが現実です。
 教科書の中の「研究知」は臨床での経験よりも融通の利かないものです。逆に言えば、それは確固たる強度を保ち、先生方の道標となるものです。一方で、研究知がいくら論理的に正しくても臨床的に妥当でないなら意味はありません。
 筆者は本書を企画した際、自身の実務経験に照らしながら、様々な研究知を「臨床現場」において統合する手段を採用しました。「この先生が教育方法や学習支援についての知識をもっと持っていたら、仕事がよりよいものになるのに」と感じた体験から、「では、そのために必要な知識はどのようなものだろうか」と考えあぐね、編まれたのが本書です。
 本書は学校現場の「アクティブ・ラーニング」や「探究活動」を充実させるための内容を網羅したものとなっています。そのため、全体的に情報量は限られており、あくまでも入門的・網羅的な内容となっていることをご容赦くださいませ。
 現場でともに汗を流した先生たちの顔を思い浮かべながら、本書を執筆致しました。本書が現場で活躍する先生方の手助けになれば幸いです。

版元から一言

学習指導要領が切り替わり、センター試験が生まれ変わろうとしている今、学校は、教師は、子どもたちのために何をすればいいのか?
行政から飛び出すワードに現場は翻弄されて、悲鳴に似た声が聞こえます。
混迷する教育行政に翻弄される先生方の「どうすりゃいいんだ」にお答えする一冊です。
最新の学習科学を学び、全国の「探究」の現場に足を運び、自身も大学と高等の現場で教壇に立ち、カリキュラムを作り「探究」指導に奔走する著者が、今、必要な、今、欲しい知識を判りやすく解説しています。

著者プロフィール

がもう りょうた  (ガモウ リョウタ)  (

 立命館大学文学部を卒業後、京都大学大学院教育学研究科へ進学。研究と並行して、京都市内の高等学校で教壇に立つ。現代文をはじめとした国語科の授業を担当、入試指導や進路相談も行いつつ、課外活動として「探究活動」を若手教員とともに実施。その後、学校の学科再編に伴う「総合的な学習の時間」再編ワーキンググループに参加し、カリキュラム分析・開発を行う。カリキュラム骨子完成後は企画部主任のアドバイザーとして授業運営を補佐。学校現場での活動を評価され、2014年度、京都大学総合博物館初の「教育学」をテーマにした展覧会特別展「学びの海への船出」を担当、さらに2015年度「京のイルカと学びのドラマ」プロジェクト&学修支援総括・企画構成を行い、京都を中心とした学校との連携事業、京都大学での初年次授業・教職授業、総合博物館でのワークショップ、「探究活動」発表大会などを企画・運営した。専門は、学修支援の総合的な臨床研究、「学校外の学び」についての現代史研究。現在は、関西大学・大阪薬科大学などで非常勤講師をしながら立命館大学生存学研究センター客員研究
員。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程在籍。

上記内容は本書刊行時のものです。