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講座スピリチュアル学 第7巻 スピリチュアリティと宗教
完結
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年8月
- 書店発売日
- 2016年8月5日
- 登録日
- 2016年6月24日
- 最終更新日
- 2016年8月5日
紹介
宗教の持つ光と闇、希望と絶望、照明と影の両方を注意深く見て取らなければならない。そのためにも、客観的で価値中立的であろうとした宗教学や自由な宗教研究には大きな意味がある。
本シリーズ「スピリチュアル学」全七巻が構想され、刊行されることになったこと自体が、現代の「宗教性」への問いの形が滲み出ているといえるだろう。
スピリチュアルケア、医療と健康、平和、環境、教育、芸術と芸能、これらの問いかけのステップの上に、本巻「スピリチュアリティと宗教」がある。序章では、「宗教と霊性とスピリチュアリティ」が人間実存の形や存在論を踏まえて考察される。そして第一部「宗教の構造」では、修行や神秘主義や芸術表現や瞑想的世界観が吟味される。続く第二部「宗教の諸技法」では、スピリチュアリズムやシャーマニズムや現代のスピリチュルな探究が検討され、終章では「宗教の未来と可能性」が考究される。
目次
はじめに──宗教の光と闇 ………鎌田東二
序 章 宗教と霊性とスピリチュアリティ……… 棚次正和
一 浮かび上がる問題領域と二つの課題
二 実存の成立条件と制約条件──時間・空間・人間の三つの契機
三 実存(existence)の語源分析
四 「スピリチュアル」を考えるための二つの手がかり
五 「スピリット(霊/ひ)」──隠れた次元と微細な現象
六 「スピリチュアル」の三つの用法
七 人間観の大転換──心身二元論から霊心身三元論へ
第一部 宗教の構造
修 行──その光と陰……… 町田宗鳳
日本仏教は大乗仏教の精華
修行の目的はいずこに
自我膨張という陥穽
秘すれば花なり
恍惚感と自己内省力
人間性の中のアンチコスモス
「ありがとう禅」の試み
「スピリチュアリティ」と「神秘主義」……… 鶴岡賀雄
はじめに
一 「神秘主義」という言葉
二 「スピリチュアリティ」という言葉
三 神秘主義からスピリチュアリティへ
四 まとめと問い
美的モデルネ・民族主義・スピリチュアリティ……… 深澤英隆
はじめに
一 美的モデルネとスピリチュアリティ
二 民族主義とスピリチュアリティ
おわりに
惑星的思考──二二世紀文明における霊性……… 永沢 哲
はじめに 122
一 強いAIと生命圏の終焉
二 惑星的思考──二二世紀の霊性
おわりに
第二部 宗教の諸技法
スピリチュアリティ特区としての近代スピリチュアリズム……… 津城寛文
一 スピリチュアリティの拡散性、スピリチュアリズムの収縮性
二 「神秘的」なリンカンと「迷信深い」リンカン
三 オーウェンの「パラドックス」と「謎」
四 スピリチュアリズムの固有問題
ポスト世俗化時代のスピリチュアリティ……… 伊藤雅之
一 マインドフルネス・ムーブメントの到来
二 マインドフルネスの起源と発展
三 仏教の断片化、あるいは再文脈化
四 仏教の革新性と社会適合
五 薄れゆく宗教・スピリチュアリティ・科学の境界
シャーマニズムと霊性
──モンゴル・シャーマニズムにおける霊的力を中心に ………アルタンジョラー
はじめに
一 シャーマン修行のながれ
二 一連の儀礼のプロセス
三 霊的力の身体化
おわりに
緊張を解くスピリチュアリティ──感じる心とからだを回復する……… 樫尾直樹
はじめに
一 「スピリチュアリティ」とは何か
二 「瞑想」の本質
三 宗教の困難な現状とスピリチュアリティの希求
四 現代宗教の終焉=目的──その戦略的可能性としてのマインドフルネス
五 自己決定から自己否定へ──感じる心とからだの回復
終 章 宗教の未来と可能性 ………鎌田東二
はじめに──「宗教」の起こりと「宗教学」の始まり
一 宗教の起源と構造
二 神話と宇宙体験
三 「神秘」と宗教
四 オーストラリア体験とトーテミズム
おわりに
あとがき
前書きなど
本書『スピリチュアル学第七巻 スピリチュアリティと宗教』は、「講座スピリチュアル学」と銘打った全七巻シリーズの最終巻・第七巻目として編集された。
「スピリチュアル学」とは、こころとからだとたましいの全体を丸ごと捉え、それを生き方や生きがいなどの生の価値に絡めて考察しようとする学問的探究をいう。また大変重要なことであるが、この世界における人間存在の位置と意味についても真剣に問いかける姿勢も保持している。そのような意図や方向性を持ちつつ、心については心理学、体に関しては生理学や神経科学(脳科学)、魂については宗教学や神学といったような、従来の細分化された専門分野に限定されてきた学術研究の枠を取っ払って、こころとからだとたましいと呼ばれてきた領域や現象をホリスティック(全体的)に捉えようとしたのが本シリーズである。
上記内容は本書刊行時のものです。