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異端者たちのイギリス
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年4月
- 書店発売日
- 2016年4月29日
- 登録日
- 2016年4月18日
- 最終更新日
- 2016年5月1日
紹介
政治家からサッカー選手、軍人、旅行家、ビジネスパースン、そして海賊女王にいたるまで、「伝統」と「革新」、「正統」と「異端」が争い、なれあい、交錯し、分断しあってきたイギリス。その近現代史や社会を彩ってきたさまざまな人物群像を、30名以上におよぶ気鋭の研究者が、論考やコラムによって語り尽くす異色の論集。
「異端者たちの系譜」「娯楽のイギリス」「イギリスのなかの『異国』」「南方熊楠とイギリス」の4部構成で、世界に冠たるこの異端の国の全体に肉薄する。
目次
はじめに
第1部:異端者たちの系譜
信用と偽造 坂本優一郎
急進主義者の後半生 金澤周作
都市の共同墓地 久保洋一
ヴィクトリア朝後期の執事たち 薗田章恵
絶対平和主義と宥和政策 小関 隆
大戦・ファシズム・同性愛 林田敏子
イングランドにおける「低能児」 大谷 誠
第2部:娯楽のイギリス──スポーツと旅行
一七世紀のオリンピック 石井昌幸
一九世紀の風雲児、ジョージ・ベンティンク卿 鍵谷寛佑
フットボールとスコットランド 田中健太
プロ・フットボールのガバナンスとチャールズ・サトクリフの理念 藤井翔太
トマス・コリヤット スガンディ・アイシュワリヤ
一九世紀の「盲目旅行家」ジェームズ・ホルマン 坂元正樹
ドクター・ウィリアム・キッチナー 妹島治彦
家具のジャポニスム 門田園子
第3部:イギリスのなかの「異国」
オルタナティブ・メディアとしての「海賊ラジオ」 加藤昌弘
式典プロデューサーとしてのウォルター・スコット 以倉理恵
海賊女王の邂逅 川口美奈子
正統と異端を分けるもの 乃村靖子
あるアイルランド人の死 小林久美子
「キリスト教知識普及協会」の事務長になった「アメリカ人」 山本範子
異端者たちの社交場 森山貴仁
アメリカ海軍と日英同盟 布施将夫
ある帝国主義者の挑戦と苦悩 川村朋貴
初期南アフリカ共産党の人びと 堀内隆行
一九世紀ロンドンの路上におけるイタリア人のオルガン少年たち 貝原(橋本)信誉
マダン・ラール・ディングラによるウィリアム・カーゾン・ワイリー暗殺事件とその影響 バッテ・パッラヴィ
海軍技師仲野綱吉の洋行 中西須美
第4部:南方熊楠のイギリス
H・P・ブラヴァツキーと南方熊楠の宇宙図 橋爪博幸
「東洋の星座」再論 松居竜五
南方熊楠と『ネイチャー』誌における天文学 志村真幸
アカデミズムへの羨望 安田忠典
あとがき
前書きなど
「本書が意図するのは、イギリス史上の奇人・変人たちの奇天烈なエピソードを並べ立てることではない。むしろ、数多くの傍流の人々を受けいれ、ときには彼らの力を活用してきたイギリスという社会の豊かさ、そして彼らを通じて、これまで充分に注目されてこなかったイギリス社会の諸側面を提示することこそが目的なのである。一枚岩とは対極にあるような雑多性に焦点を合わせて、イギリス史を描いてみたいのだ。その際に注意しておくべきは、異端ないし傍流がときとして正統や本流と入れ替わることだろう。異端と正統の関係は固定的ではなく、歴史を通じて転変してきた。徹頭徹尾、傍流に身を置いたものも少なくないにせよ、イギリス史を彩ってきたのは、異端と正統の抗争であり、馴れ合いであり、交錯であり、分断であった。こうした諸相を正統ではなく異端の視点から見ようとするのが、本書に収められた諸論考なのである。」――「はじめに」より
上記内容は本書刊行時のものです。