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発見と創造の数学史
情緒の数学史を求めて
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年2月
- 書店発売日
- 2017年2月10日
- 登録日
- 2017年1月20日
- 最終更新日
- 2017年2月21日
書評掲載情報
2017-04-28 |
週刊読書人
2017/4/28号 評者: 佐々木力(中部大学中部高等学術研究所特任教授・数学史) |
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紹介
オイラー,ガウス,アーベル,リーマン,……,岡潔.数学を創った人びとによる「数学創造の瞬間」を描く,至高の数学史.その根底にあるのは「知」ではなく「情」である.著者が長年追い求めてきた「情緒の数学史」序章.
目次
第1章 解析学の厳密化をめぐって
1.数学の実在感
2.連続関数を求めて
3.解析学の厳密化とは何か
4.解析関数の世界
第2章 代数関数論のはじまり
1.アーベル関数論への道
2.代数的微分式の積分
3.レムニスケート曲線から楕円積分へ
4.レムニスケート曲線とレムニスケート積分
5.「マゼラン海峡」の発見をめざして
第3章 多変数関数論と情緒の数学
1.数学の抽象化とは何か
2.情緒の世界
3.ガウスの数論
4.レムニスケート曲線の発見
5.ハルトークスの逆問題からリーマンの定理へ
前書きなど
数学は知的もしくは論理的に見れば普遍的な印象はたしかにありますが,根底にあって全体を支えているのは,幾人かの特定の個人,言い換えると「数学を創った人びと」のそれぞれに固有の主観的感受性です.
数学史の叙述と数学を創った人びとの人生が本質的に乖離していて,だれがどのように創造したのかという,数学が生れる現場に立ち入って論じられることはめったにありません.
ですが,オイラーその人を離れてオイラーの数学はなく,ガウスの人生とは無関係にガウスの数学が生れるはずもありません.岡潔先生の多変数関数論は,あの長い年月にわたる秋霜烈日の人生と決して無縁ではありえません.このあたりの消息から目を離さずに,「人」が数学を創る,ということを基本線とする数学史を叙述することはできないものでしょうか.
定義というのはかえって実在感のまとうさまざまな衣裳なのでないかと,このごろ考えるようになりました.……ひとたびこの考えに立つならば,数学を理解するということの真実の意味合いもまた諒解されます.……「定義から」出発するのではなく,「定義まで」の情景に共鳴するところに,数学という学問の秘密が宿っています.(本文より)
上記内容は本書刊行時のものです。