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就学の問題、学校とのつきあい方 海津敦子(著) - 本の種出版
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鍬谷   書店
子どもの文化|トランスビュー
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就学の問題、学校とのつきあい方 (シュウガクノモンダイ ガッコウトノツキアイカタ) ASD児を中心とした情緒障害教育の成果と課題、そしてこれからの姿 (エイエスディジヲチュウシントシタジョウチョショウガイキョウイクノセイカトカダイ,ソシテコレカラノスガタ)

教育
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発行:本の種出版
A5判
172ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-907582-07-4   COPY
ISBN 13
9784907582074   COPY
ISBN 10h
4-907582-07-2   COPY
ISBN 10
4907582072   COPY
出版者記号
907582   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年7月
書店発売日
登録日
2016年9月29日
最終更新日
2018年5月11日
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紹介

障害児・者を取り巻く状況はこのところ大きく変わった、「障害者差別解消法」ができ日本でも世界水準の障害者支援が可能に、と思いきや、肝心の学校現場は旧態依然。合理的配慮って? 個別指導計画って? 学ばないのは自分だけじゃない、と知らんぷりを決め込んだ先生たち。本当はちゃんと個別支援が受けられるはずなのに……。そこで、「先輩、相談です」。自身、わが子のために、理念の具体化を訴え数々の交渉を果たしてきた著者が、法や公的文書を後ろ盾に、根拠をもって正当に要求していく術を教えます。

目次

はじめに
発達障害の名称について

先輩、相談です。 障害と子育ての考え方
1 障害のある子の人生を花開かせるため、親は何ができる? 大切なことは? 
2 人と積極的にかかわらないことを母親が心配していますが… 
3 「将来を見通して」って、どうすればいいの?
4 思いを込めて抱きしめるのに、最近は拒否の態度で落ち込みます 
5 合理的配慮って、どういうこと?
6 療育には必ず通わせないとだめでしょうか
7 療育手帳を取得すべきかどうかで悩んでいます
 
コラム 障害者雇用率


先輩、相談です。 就学先を選ぶ
8 就学相談って、受けなくちゃいけないの?
9 就学相談と就学時健診、両方受ける必要があるの?
10 子どもの就学先選び、何を基準に考えればいいの?  
11 学校への送迎は家庭の役割?
12 学校見学では何を見ておけばいいの?
13 校長次第で方針が変わるって本当? どうしたらいいの?
14 「お子さんのため」と言われるたびに悩ましい…
15 誰にとっても「わが子がいちばん」。なのにうちの子の居場所はない… 

コラム 文部科学省「教育支援資料」
願う子育てを実現できる春に
移動支援事業所とのつきあい
個別指導計画
「教育基本法」に定められた「教育」
情報を得るのに役立つサイト

先輩、相談です。 就学してから
16 担任が障害のことをよく知らず、就学支援シートも生かされていません 
17 特別支援教育って、かけ声だけ? 個々に応じた支援のしくみがあるの? 
18 個別指導計画って、本当はどんなもの?
19 障害のこと、ほかの保護者にどこまで話しておけばいいの? 
20 「障害があって通級に行く」と子どもたちに説明。これって差別につながるのでは? 
21 子どもの存在が迷惑と言われ、保護者が敵にすら思えます
22 受け入れてもらえるまで通常学級との交流はできないの?
23 交流をさせたくない…
24 素直に疑問を口にする子を「だめな子エリア」に座らせる!? 
25 できないことを指摘するだけが先生の仕事じゃないはず…
26 授業中外に出されていました。邪魔にされているようで疑問… 
27 担任が替わると、適切な指導の継続は難しいの?
28 「学校へ行きたくない」と言いますが、担任は気にかけていません 

コラム 就学支援シート添付資料のポイント
どんな個別指導計画がいいの?
障害の「克服」!?
法律や公的文書を味方に


先輩、相談です。 悩ましい問題
29 子どもと過ごす時間は長いほどいいの?
30 放課後等デイサービスに預けたくても、数が足りないし、我慢すべき? 
31 法律で決められているはずなのに、そうなっていません…
32 障害のある子・ない子、きょうだいそれぞれのしつけって? 
33 「集団保育が可能」って何? うちの子は社会に出てはいけない子? 
34 先生も校長も力不足。訴えたいけどモンスターペアレント扱いはいや… 
35 医療機関や療育機関との連携を望んではいけないの?
36 子どもをめぐって夫との溝が深まるばかり。離婚したほうがいいのかも… 

コラム 家族おのおのが自身の人生を楽しめるよう
「集団保育が可能」という条件を削除した自治体

おわりに

前書きなど

まえがき

はじめに  ―支援が真に支援であるために―

 「なぜ、支援でなく試練を与えられるのだろう」。
 障害のある子の保護者が嘆いた言葉です。

 各自治体で行われている各種の子育て支援は、試練を与えるものでないことはいうまでもありません。ところが、障害のある子への子育て支援は、定型的な発達をしている子の家庭への支援に比較して「産んだ自己責任」を課せられ「試練」を与えられているのかと思うほど、通常の支援に比較して乏しく、取りこぼされているのがまだまだの状況です。

 背景にあるのは何か?
 子育て支援は、誰もが安心して子どもを生み、地域で安心して子育てができるように、保護者の心理的な不安の解消や経済的負担の軽減等々、多様な支援メニューを整備していくものです。そこで障害のある子と家庭を取りこぼしてはならないし、障害のある子にかかわる障害者施策は、一般の子育て支援を補う後方支援として、子育て支援の理念に基づき組み立てられなければならないものです。しかし、行政は、子どもに「障害のある」と冠がつくと、子どもという視点でなく障害のある大人を小さくした存在として、子育て支援ではなく、障害者家庭への支援という目線のみで考えていきがちです。厚生労働省が作成した「市町村子ども家庭支援指針」の中には、あえて「障害のある子どもは、他の子どもと異なる特別な存在ではなく、他の子どもと同じ子どもであるという視点を欠いてはならないものである」と書き込まれているほどです。
 障害のある人の社会生活上必要不可欠な外出、余暇活動等の社会参加のための外出を支援する移動支援事業について、ある自治体は、18歳未満の障害児については、その保護者が子どもの余暇活動等の支援を行うことを基本に、保護者の負担や実情等も考慮したうえで支給量を決定しています。通常、子どもの余暇活動等に保護者が付き添うのは、小学校入学前の時期、せいぜい低学年までではないでしょうか。
 ですが、障害のある子となると、子どもの年齢に応じたものではなく、保護者の付き添いをまずありきに組み立てる自治体がおおかたです。さらには、税金だから「お子さんのできないことをすべて税金で補うことはできません」と、産んだ責任のごとく突き放されてしまうことも少なくありません。行政が改善しなくてはならない大きな点です。障害のある子を育てる家庭への子育て支援のこうしたあり様が、子育て支援ではなく試練として感じさせる背景になっています。

 教育現場も同じです。障害の有無にかかわらず子どもは子どもであるという視点を欠いていることがあります。たとえば、障害のある子はともに学び育ち合う子どもではなく、特別支援学級、特別支援学校、通級で学ぶべき別ものという思い込みです。障害のある子は、障害のある子でかたまっていたほうが子どものためで、社会参加はできることが増えてから、という思いも透けて見えます。
 もちろんこうした思い込みはまちがいです。そうはっきり私がいえるのは、子育て支援同様に法律やガイドラインなどの公的文書に照らしているからです。

 時代は確実に変わってきています。10年前には学校現場であたりまえに認められたことも、時代の流れで、学校と社会とのズレとして、すみやかな改善を求められることが多々できています。障害のある子の保護者が感じる、支援ではなく試練を与えられているということも、親の忍耐力のなさでも、わがままでもなく、法律や公的文書が「試練ではなく支援に感じられるように変えてもらっていいんだよ」といっています。
 私自身、障害のある子の親として、まわりの仲間たちとともに、法律などを常にベースにして、教育委員会、保育園、学校、学童の先生らとともに「理念をどう具体化できるか」の相談をしてきました。
 学校から学童への移動が保護者の責任になっていたものを、「次世代育成支援法(次世代育成支援対策推進法)」で「すべての子育てと仕事の両立」が謳われたことを根拠に、保護者の責任にされたら「子育てと仕事の両立はできない」と行政に相談して、障害のある子どもについた学童保育の加配職員が学校から学童保育までの移動を支援する、となりました。学校についても法律や公的文書があるからこそ、実践されたことも多々あります。

 本書は、そうした私と仲間のこれまでの取り組みをもとに執筆しました。障害があってもなくても、学びを深め広げられる毎日、楽しい日々を願っていいはずです。そういう日々をつくり上げるために、公の制度についての知識をベースに、子どもを真ん中において知恵を絞り合ってきた取り組みの成果です。
 子どもにとって、その家族にとって、誰にとっても、支援が真に支援であるように、本書が、その実現への参考になれば幸いです。

 2017年6月                  海津敦子

著者プロフィール

海津敦子  (カイヅアツコ)  (

フリージャーナリスト。1961年東京都生まれ。共立女子大学卒業。テレビ朝日社会部・政経部記者、ディレクター等を経て現職。夫の転勤に伴い、熊本県で第一子、第二子、米国ニュージャージー州で第三子を出産。2011年より東京都文京区議会議員。
おもな著書に『発達に遅れのある子の親になる―子どもの「生きる力」を育むために』(日本評論社、2002年)、『発達に遅れのある子の就学相談―いま、親としてできること』(日本評論社、2005年)、『先生、親の目線でお願いします!―保護者の本音を知れば特別支援教育は変わる』(学研教育出版、2012年)などがある。
●公式ブログ http://a-kaizu.net/blog/
●公式FB https://www.facebook.com/atsuko.kaizu.3/

上記内容は本書刊行時のものです。