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みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略 川崎 一彦(著) - ミツイパブリッシング
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みんなの教育 スウェーデンの「人を育てる」国家戦略

四六判
240ページ
並製
価格 2,200円+税
ISBN
978-4-907364-08-3
Cコード
C0037
一般 単行本 教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2018年3月
書店発売日
登録日
2018年1月5日
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紹介

少子高齢化や不況を乗り越え、急成長を遂げる北欧の高福祉国家・スウェーデン。彼らはなぜワークライフバランスを保ちながら経済成長、多文化共生、持続可能性を同時に実現できるのか? 幸福と成長を両立させるスウェーデン式・教育制度の秘密に迫る。

目次

序文 スウェーデン大使館公使参事官 ヴィクトリア・フォシュルンド=ベラス
はじめに 川崎一彦

第1章 スウェーデンの起業家精神教育 川崎一彦
1 いま求められる教育とは?
2 スウェーデンの起業家精神
3 スウェーデンの就学前教育
4 子どもの権利としてのエデュケア
5 日本での実践は可能か?

第2章 スウェーデンのアウトドア教育 西浦和樹
1 北欧の創造性教育と出会う
2 アウトドア教育実践の現場へ
3 就学前学校の様々な活動
4 福祉と権利
5 なぜアウトドア教育がよいのか?

第3章 スウェーデンの学校とインクルーシブ教育アールベリエル 松井久子
1 みんなの学校
2 柔軟性ある学校システム
3 学校は社会のミニチュア
4 教育の平等をめざして
5 インクルーシブの実態

第4章 スウェーデンの主権者教育 鈴木賢志
1 政治に関心がなくても投票に行く
2 学校法と学習指導要領
3 小学校で民主的価値観を学ぶ
4 スウェーデンの「学校選挙」
5 政治の学び方
6 スウェーデンの主権者教育から何を学ぶか

第5章 スウェーデン発の「リカレント教育」と「生涯学習」  澤野由紀子
1 スウェーデンと世界の生涯学習政策
2「学習社会」スウェーデンの現在
3 スウェーデンの生涯学習資格枠組みと学習成果認定
4 地域からおこすリカレント教育

おわりに 鈴木賢志

前書きなど

はじめに        川崎一彦
本書を手に取られたあなたはスウェーデンや北欧ウォッチャーでしょうか、あるいは教育に興味があって本書を手に取りましたか?
スウェーデン通には自明のことかもしれませんが、本書の理解を深めるために、スウェーデンの理解のポイントを簡単に解説します。
スウェーデンは北欧にある人口一〇一二万人(二〇一七年末)の小国です。二〇世紀初めまでは欧州でも貧しい農業国で、一八六〇~一九三〇年の七〇年間に、当時の人口の四分の一にあたる約一二〇万人が米国などに移民しました。
しかしその後の工業化は著しく、数々のグローバル企業を輩出し、同時に世界最高水準の福祉国家を築き上げてきました。二度の世界大戦でも中立非同盟を貫き、第二次世界大戦後は国連など国際舞台で和平や軍縮をリードしてきました。
先進国が抱える高齢化問題は高福祉政策で対応、男女平等と働き方政策を含む子育て政策を充実させ少子化を克服。一九九〇年代の不況も、高いイノベーション力、産業の「知業化」とグローバル化、そして医療、介護、年金など福祉システムの見直しで乗り越えました。
二〇一五年には一六万三千人もの難民を受け入れ(人口当たりの数は欧州一)、世界の注目を集めました。移民政策については、学校という社会でいかにインクルージョンのための努力が払われているかが、本書第3章でリポートされています。
知人のエドヴァルド・フリートウッド瑞日基金専務によれば、スウェーデン人はタイプとして、アメリカ人と日本人の両方の性質をもつ、と言います。つまり個人の自立性を尊重すると同時に、高福祉国家の前提条件としての連帯意識に対する広いコンセンサスがあり、この双方が共存しているのです。
包括的、普遍的な福祉制度や、「福祉の糧」たる産業基盤を骨子とする「スウェーデン・ モデル」は、世界中から常に注目されてきました。少子高齢化や経済成長の低迷などの先進国の課題を乗り越えているのは、環境変化に対応する政策の柔軟性も大きな要因です。
日本では、バブル経済崩壊や大震災、少子高齢化、「失われた二〇年」など閉塞感著 しかった平成の時代から、ポスト平成への期待を高めざるを得ない状況です。
そのヒントを、経済成長、多文化共生、持続可能性をパラレルに推し進めるスウェーデンの教育に見いだすことができないか。こうした意図から本書では、「就学前教育からの起業家精神教育」「アウトドア教育」「インクルーシブ教育」「主権者教育」「生涯学習」などのキーワードで、スウェーデンの教育事情を紹介します。
スウェーデン人が初めて日本にやってきたのは一七世紀に遡ります。江戸時代の鎖国中、唯一入国を許された長崎出島のオランダ商館に、オランダ人のふりをして来日したのです*。四世紀近くにわたる日本とスウェーデンの交流をベースに、本書がこれからの教育のあり方を考える一助になれば幸いです。


*Edström,B(2018)Sverige‒Japan150åravVänskapochSamarbete(スウェーデンと日本一五〇年の友情と協力),Sweden Japan Foundation.

著者プロフィール

川崎 一彦  (カワサキ カズヒコ)  (

1947年、滋賀県生まれ。東海大学名誉教授。ジェトロ(日本貿易振興機構)ストックホルム事務所、北海道東海大学教授、東海大学教授を歴任。共著に『フィンランドを知るための44章』、『フィンランドに学ぶ教育と学力』(以上、明石書店)、『スウェーデンの経済』(早稲田大学出版部)、監訳書に『光を求めて デンマークの成人教育500年の歴史』(東海大学出版会)他。

澤野 由紀子  (サワノ ユキコ)  (

1960年、東京都生まれ。聖心女子大学文学部教育学科教授。教育学修士。文部省調査統計企画課外国調査係、国立教育政策研究所生涯学習政策研究部、ストックホルム大学国際教育研究所客員研究員、ヨンショーピン大学全国生涯学習センター(ENCELL)上級評議員を歴任。共編著に『揺れる世界の学力マップ』(明石書店)、共著に『グローバル時代の市民形成』(岩波書店)、『海外の教育改革』(放送大学教育振興会)、『統合ヨーロッパの市民性教育』(名古屋大学出版会)他。

鈴木 賢志  (スズキ ケンジ)  (

1968年、東京都生まれ。明治大学国際日本学部教授、スウェーデン社会研究所所長。政治・国際研究博士(PhD)。ストックホルム商科大学欧州日本研究所で10年間研究・教育に従事した後、オックスフォード大学客員研究員を経て現職。著書に『日本の若者はなぜ希望を持てないのか』(草思社)、編訳書に『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』(新評論)。

西浦 和樹  (ニシウラ カズキ)  (

1971年、京都府生まれ。宮城学院女子大学教育学部教授、同大学院健康栄養学研究科教授。博士(心理学)。2011年から2012年にかけてリンショーピング大学客員教授としてスウェーデンに滞在。共訳書に『創造的問題解決 なぜ問題が解決できないのか?』『北欧スウェーデン発 森の教室 生きる知恵と喜びを生み出すアウトドア教育』(以上、北大路書房)。

アールベリエル 松井 久子  (アールベリエル マツイ ヒサコ)  (

1967年、岐阜県生まれ。スウェーデン・トゥンバ高校教諭。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修了、学術修士。瀧野川女子学園高校教諭を経て1994年より在スウェーデン。ストックホルム教育大学等で教員養成の再教育を受け、ストックホルム日本人補習学校講師、ストックホルム大学非常勤講師等を歴任。

上記内容は本書刊行時のものです。