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川端康成 ―文学の構造と〈美〉の生成― 山中正樹(著/文) - 鼎書房
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川端康成 ―文学の構造と〈美〉の生成― (カワバタヤスナリ ブンガクノコウゾウトビノセイセイ)

文芸
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発行:鼎書房
A5判
422ページ
上製
定価 5,500円+税
ISBN
978-4-907282-91-2   COPY
ISBN 13
9784907282912   COPY
ISBN 10h
4-907282-91-5   COPY
ISBN 10
4907282915   COPY
出版者記号
907282   COPY
Cコード
C3095  
3:専門 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年3月16日
書店発売日
登録日
2023年2月27日
最終更新日
2023年10月25日
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紹介

川端文学の〈美〉とは何か

川端文学の構造とそこから生み出される〈美〉の様態を、〈孤児〉体験、戦争(敗戦)などが川端にもたらした影響と〈時空間〉の構造、古典文学とのかかわり、〈新感覚派〉や〈心霊学〉などから得た川端の〈言語観〉といった多角的な側面から考察する。

目次

序論 川端康成の文学―その基礎的考察―
一 川端康成の五十年―〈死〉に彩られた生涯―
二 敗戦と川端康成
三 川端康成と古典文学
四 「葬式の名人」/「弔辞の名人」

第一部 川端文学における時空間の位相
第一章 川端文学の構造―時空間の分析を視座として―
一 戦前の作品世界における〈空間〉
二 戦後の作品世界における〈空間〉
三 二つの〈時間〉
四 川端文学における〈時間〉
第二章 「伊豆の踊子」における〈時間〉と〈語り〉
一 「伊豆の踊子」の評価
二 〈私〉の時間意識
三 「伊豆の踊子」の時間構造
四 「孤児根性」からの脱却
五 「〈私〉の救済の物語」の実像
第三章 「反橋」連作論―冒瀆と憧憬の物語―
一 〈魔界〉論の終焉
二 〈魔界〉の源流
三 「反橋」連作における〈時間〉
四 「汚辱と悪逆と傷枯の生涯」―行平の存在基盤―
五 〈救済〉の断念―「隅田川」の世界―
第四章 「千羽鶴」論―「美」と「醜」との相克―
一 「千羽鶴」への誤解
二 「千羽鶴」が描き出すもの―繰り返される「あざ」の記憶―5
三 「二人の女」の内的時間
四 「美」と「醜」との相克
第五章 「たまゆら」論―〈語り〉と〈時間〉意識をめぐって―
一 「たまゆら」の論点
二 〈語り手〉の意図/語る〈私〉の意識
三 治子の〈「たまゆら」〉/幻の〈「たまゆら」〉
四 「たまゆら」の〈語り〉と〈私〉の意識
五 「たまゆら」における時間意識と〈過去〉
第六章 「水月」論―〈鏡〉が作りだす空間―
一 川端文学における〈鏡〉
二 〈鏡〉の中の世界
三 「鏡像段階」による「水月」理解
四 「京子」の妊娠 …132
五 「水月」における〈呪縛〉と〈解放〉
第七章 「みづうみ」論(一)―「みづうみ」における〈時間〉と〈空間〉―
一 〈追跡者〉銀平
二 銀平の「みにくい足」
三 銀平の美女追跡
四 銀平の変容
第八章 「みづうみ」論(二)―〈輪廻転生〉による解釈―
一 「みづうみ」の主題
二 銀平の「かなしみ」
三 銀平の救済
第九章 「眠れる美女」における〈密室〉の機能
一 従来の評価
二 「「眠れる美女」の家」の仕掛け
三 江口の人生
四 「眠れる美女」における時空間
五 江口の救済
六 〈密室〉の機能

第二部 川端文学の基層
第一章 「十五年戦争」と作家「川端康成」
―昭和十年代の「作品」を中心に―
一 戦争に対する川端の姿勢
二 作家「川端康成」と「十五年戦争」
三 戦時下の「川端康成」
四 「川端康成」の〈反戦〉
五 戦争への〈加担〉
六 川端康成の〈転向〉
第二章 「再会」論―削除された「過去」/「過去」との〈再会〉―
一 川端文学における「再会」の重要性
二 「再会」における「過去」削除の意味
三 祐三が〈再会〉したもの
四 「再会」が〈再会〉したもの
第三章 川端康成と古典文学の関係について(一)
―敗戦と「源氏物語」―
一 川端康成と古典文学との関係―評家の発言から―
二 川端康成の古典への親炙
三 戦争によって知ったこと
四 川端康成の〈古典回帰宣言〉をめぐって
五 川端作品と「源氏物語」―「千羽鶴」を例として―
第四章 川端康成と古典文学の関係について(二)
―古典文学受容からみた「たまゆら」―
一 川端康成の古典文学受容―評家の発言から―
二 「たまゆら」にあらわれた古典文学の意味
三 短編「たまゆら」にみる古典受容とその表出
四 長編「たまゆら」にみる古典受容とその表出
第五章 「片腕」論―〈自己〉拒絶の物語―
一 川端文学における「片腕」の意義
二 〈私〉の孤独
三 〈片腕〉という心象
四 〈処女の純潔〉による救済
五 「片腕」における〈処女懐胎〉のモチーフ
六 片腕との交合―〈私〉の胎内回帰―
七 「魔の発作の殺人」―〈私〉の救済の失敗―

第三部 川端康成の言語観
第一章 「文藝時代」の川端康成
一 「文藝時代」の歴史的評価
二 「宗教時代より文芸時代へ」―「文藝時代」/〈新感覚派〉の思潮―
三 「新感覚派」の文芸世界/創作手法
第二章 〈表現主義的認識論〉
一 〈新感覚派〉文芸理論への評価 
二 〈表現主義的認識論〉/川端康成の〈新感覚派〉文芸理論
三 「文藝時代」の終焉/〈新感覚派〉文学運動の消長
第三章 言語の到達(表現)不可能性について
     ―「末期の眼」および芥川龍之介の言語観にふれながら―
一 川端康成の〈リアリズム〉批判
二 芥川龍之介における言語の到達(表現)不可能性
三 川端康成における言語の到達(表現)不可能性
四 三島由紀夫と川端康成
第四章 川端康成の文章の特徴―「たんぽぽ」を中心に―

第五章 初期川端文学における象徴表現について
―初期作品における〈月〉の表象の機能を中心に―
第六章 川端康成と〈心霊学〉―「白い満月」の主題を中心に―
一 作品について
二 「白い満月」研究史から
三 「白い満月」における〈月〉の表象
四 作品末尾の意味―作品の主題とのかかわりから―
結 論

参考文献
初出一覧
あとがき
索 引

著者プロフィール

山中正樹  (ヤマナカマサキ)  (著/文

愛知県名古屋市生まれ。南山大学文学部哲学科、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期(国文学専攻)。
愛知県立高校国語科教員、豊田短期大学日本文化学科講師、桜花学園大学人文学部准教授、創価大学文学部准教授を経て、2012年4月より創価大学文学部教授。博士(文学)。
専攻は、近現代日本文学・国語教育学・文芸批評理論、および認識論。
【論文】「「作者の死」から「読者の死」へ ―〈読むことの倫理(モラリティ)〉を忘れた〈読み〉に向けて」(「日本文学」62巻8号、2013年8月)、「「〈第三項〉と〈語り〉」がひらく、深層の〈意味〉 ―川端康成の《実録的犯罪小説》・「散りぬるを」を中心に」(「日本文学」64巻3号、2015年3月)、「「熊の神様」を信じることの意味をめぐって―川上弘美「神様」私論―」(「日文協 国語教育」第44号、2017年11月)他多数。
【著書】『三島由紀夫事典』(分担執筆、勉誠出版、2000年11月)、『「読むこと」の術語集 文学研究・文学教育』(分担執筆、双文社出版、2014年9月)、『21世紀に生きる読者を育てる 第三項理論が拓く 文学研究/文学教育 高等学校』(分担執筆、明治図書出版、2018年10月)、『表現文化論入門 インターメディアリティへの誘い』(分担執筆、第三文明社、2021年2月)、『川端康成 生涯と文学の軌跡』(鼎書房、2022年1月)など。

上記内容は本書刊行時のものです。