版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
要塞化する琉球弧 小西 誠(著) - 社会批評社
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次: ト|ニ|楽天
直接取引:あり(その他)

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

要塞化する琉球弧 (ヨウサイカスルリュウキュウコ) 怖るべきミサイル戦争の実験場! (オソルベキミサイルセンソウノジッケンジョウ)

社会一般
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:社会批評社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ14mm
208ページ
並製
定価 2,200円+税
ISBN
978-4-907127-26-8   COPY
ISBN 13
9784907127268   COPY
ISBN 10h
4-907127-26-X   COPY
ISBN 10
490712726X   COPY
出版者記号
907127   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月10日
書店発売日
登録日
2019年8月15日
最終更新日
2020年11月5日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

2019年3月26日、自衛隊の宮古島駐屯地、奄美駐屯地、奄美・瀬戸内分屯地が開設。2016年3月与那国駐屯地の開設に続く、南西シフト態勢下の4つ目の基地の開設である。そして、今年3月1日、石垣島ではミサイル基地建設のための造成工事が始まる。
メディアが報道規制する、この琉球弧での怖るべき自衛隊配備―日米共同作戦の実態を暴露。約300枚の写真でリポートする琉球弧の島々の新基地建設ー要塞化の現状とは!

目次

はじめに 2

第1章 着工された石垣島自衛隊基地  8
    ――抵抗の砦・石垣島を守れ!

第2章 住民から隠蔽して造られつつある宮古島駐屯地  32
    ――ミサイル部隊の配備・弾薬庫の設置を拒む住民運動

第3章 奄美市民にも秘匿して造られた巨大軍事基地  66
    ――南西シフト態勢の機動展開・兵站拠点

第4章 南西シフトの事前集積・上陸演習拠点――馬毛島・種子島  92
    ――メディアが隠蔽する自衛隊基地化

第5章 増強される与那国島配備部隊  114
    ――空自・移動警戒隊は配備されたのか?

第6章 知られざる沖縄本島の自衛隊大増強  128
    ――地対艦ミサイル配備を急ぐ陸自

第7章 日本型海兵隊・水陸機動団の発足  138
    ――南シナ海へ遊弋する軍事外交の道具となった部隊

第8章 対中抑止戦略下の自衛隊の南西シフト態勢  150
    ――琉球弧を封鎖する海峡戦争

第9章 日米共同作戦下の沖縄本島の増強態勢  174
    ――暴露された南西シフト態勢下の沖縄基地

第10章 アメリカのアジア太平洋戦略と南西シフト態勢  182
    ――海洋限定戦争としての「島嶼戦争」

第11章 「島嶼戦争」態勢下のミサイル軍拡競争  198
    ――次々に開発される新型ミサイル

第12章 アジア太平洋の軍拡競争の停止――非武装地帯宣言を求めて  203
    ――かつて南西諸島は非武装地帯だった!

前書きなど

はじめに
 2019年3月26日、琉球弧において、自衛隊の宮古島駐屯地、奄美駐屯地、奄美・瀬戸内分屯地が開設・開隊した。2016年3月与那国駐屯地の開設に続く、南西シフト態勢下の4つ目の基地開設である。そして、今年3月1日、石垣島では、ミサイル基地建設のための造成工事が始まり、住民たちの激しい抗議をよそに、今、連日工事が続いている。

 だか、開隊したとはいえ、宮古島を始め、いずれの基地も様々な矛盾を露呈しつつある。宮古島・与那国島では、住民にとってもっとも危険な弾薬庫を「保管庫」「貯蔵庫」として偽り、住民や自治体さえもを騙して造ってきた。

 奄美大島では、奄美大熊地区、瀬戸内町節子地区の2つの基地の敷地面積を、住民はもとより、自治体にまで隠して造っていた。地元の建設業界に対し、それぞれ30、28ヘクタールとして公表していた基地の大きさは、当初の2倍の規模であることが判明した。また、この瀬戸内町節子地区に造られている弾薬庫は、約31ヘクタールという規模の、とてつもない巨大なミサイル弾薬庫であることが判明した。
 住民どころか、地元自治体にも押し隠し、配備部隊の規模や任務さえ偽り強行しようとしているのが、この自衛隊の先島―南西諸島配備なのだ。

 自衛隊は、創設時から「戦車」を「特車」、「歩兵」を「普通科」などと言い換え、あるいは「軍隊」を「警察予備隊→保安隊→自衛隊」と言い換え、国民を欺いてきたが、いままた同じことを南西諸島でも繰り返している。ここでは、防衛省は当初から、「災害派遣等の警備部隊等を配備する」と住民へ説明してきた。しかし、配備の主力は、ミサイル部隊であった。

 重大な問題は、この主力配備のミサイル部隊配備についても、今なおその全体像を隠し続けていることだ。この詳細は本文で述べるが、結論から言えば、自衛隊(および米軍)は、これら南西諸島を「ミサイル戦争の実験場」にしようとしているということだ。

 すでに、明らかになっている、車載型の地対艦・地対空ミサイル部隊の作戦運用は、島々の全てを戦場化する恐るべき戦闘態勢である。だが、この対艦・対空ミサイル部隊に加え、新防衛大綱では、「島嶼防衛用高速滑空弾部隊・2個高速滑空弾大隊」の配備が、南西諸島に決定された。さらに、極高速滑空弾の開発、スタンド・オフ・ミサイルの配備、島嶼間巡航ミサイルの開発も決定されている。そして、間違いなく「中国軍の弾道ミサイル対処」として、PAC3などもまた配備されるだろう。

 つまり、政府・自衛隊は、「南西諸島は日本防衛の最前線」(岩屋毅防衛大臣)とし、「ミサイル戦争の実験場」として位置付けたということだ。INF全廃条約の破棄による、米中、特に米日中の、中距離ミサイル軍拡競争もまた、この南西シフト態勢で加速度的に広がっていく。進行している事態は、日米の南西シフト態勢を媒介とする、対中国軍拡競争の本格的始まりである。これをメディアでは「新冷戦」としているが、現実は東シナ海・南シナ海での「Warm War」(暖かい戦争)として火を噴くであろう。

 だが、重大な問題は、自衛隊の琉球弧への急激な配備が進み、これを水路として対中国の軍拡競争が激化しているにも拘わらず、この軍拡―戦争の危機を止めようとする勢力が、ほとんどいないということだ。国会では、自衛隊の琉球弧配備への論議がほとんどない。既存の反戦平和勢力は、ほんの一部を除きこの状況に沈黙。メディアはまた、これをいいことに報道規制を敷く(奄美の自衛隊配備については、全てのメディアが完全沈黙)。

 この現実の中でも、琉球弧の人々の、基地を拒む意思はくじかれてはいない。石垣島では、基地建設を何年もの間、跳ね返してきている。宮古島では、未だにミサイル部隊配備を阻止している(保良弾薬庫の建設阻止)。
 政府・自衛隊が目論んでいるのは、島々の住民の抵抗の意思を打ち砕き、既成事実をつくり上げることだ。だから、未だ工事中であるにも拘わらず、基地の開設を宣言したのだ(奄美・瀬戸内弾薬庫の完成は2024年、本文参照)。

 先島―奄美―種子島を含む琉球弧でのたたかいは、これからである。これら島々に連帯し、琉球弧の要塞化に抗する声を全国―アジア・世界に広げよう。本書がこのための一助となれば、と切に願う。
                                 小西 誠

版元から一言

マスメディアの報道規制の中で、この先島―南西諸島への自衛隊配備の実態について、ほとんどの市民は知りません。おそらく、識者・文化人、市民運動家なども、ほとんどこの状況を知らないと思います。著者は、与那国島・石垣島・宮古島・奄美大島・馬毛島などの全ての島々を歩いて実態調査。かつ、自衛隊・防衛省の情報公開文書の約500点・1万頁以上を分析・研究し、この日米共同作戦下の、南西シフト「島嶼戦争」態勢の実態を描き出しています。

著者プロフィール

小西 誠  (コニシマコト)  (

1949年、宮崎県生まれ。航空自衛隊生徒隊第10期生。軍事ジャーナリト・社会批評社代表。2004年から「自衛官人権ホットライン」を主宰し事務局長。
著書に『反戦自衛官』(社会批評社・復刻版)、『自衛隊の対テロ作戦』『ネコでもわかる? 有事法制』『現代革命と軍隊』『自衛隊 そのトランスフォーメーション』『日米安保再編と沖縄』『自衛隊 この国営ブラック企業』『オキナワ島嶼戦争』『標的の島』『自衛隊の島嶼戦争―資料集・陸自「教範」で読むその作戦(part1)』『自衛隊の南西シフト―戦慄の対中国・日米共同作戦の実態』(以上、社会批評社)などの軍事関係書多数。
『自衛隊の島嶼戦争―資料集・自衛隊の幹部用教範が定めるその作戦(Part2)』、電子ブック・キンドル版の発売中
また、『サイパン&テニアン戦跡完全ガイド』『グアム戦跡完全ガイド』『本土決戦 戦跡ガイド(part1)』『シンガポール戦跡ガイド』『フィリピン戦跡ガイド』(以上、社会批評社)の戦跡シリーズ他。

上記内容は本書刊行時のものです。