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啓蒙と神話
アドルノにおける人間性の形象
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年3月
- 書店発売日
- 2017年4月12日
- 登録日
- 2016年12月28日
- 最終更新日
- 2017年4月12日
紹介
市民社会のアポリアに挑む――
ベケット、ベンヤミン、ワーグナー、ゲーテ、ベートーベン……
フランクフルト学派の異端児、テオドーア・W・アドルノが彼らの音楽・文学への批評を通じて描き出した、近代市民社会における「人間性」概念の諸形象。
本書は、この概念のヨーロッパ啓蒙主義以後の変遷をアドルノの思想に寄り添いながら丹念にたどることで、市民社会の根源に孕まれているアポリアを剔り出す。
アドルノによる啓蒙批判、「人間性」批判の真の意図とは何か。
(「序論」より)
本書は、20世紀ドイツの思想家テオドーア・W・アドルノの残したテクストをもとに彼の議論を再構成しようとするものである。その際、そこに「人間性Humanität」の一語を赤い糸として織り込むことで、アドルノの歴史的パースペクティヴのもとに18世紀から20世紀に至るまでのこの語の変遷を多様な作家、作曲家、思想家との対話を辿ることを通じて跡づけることが目指される。それは同時に、アドルノ思想の今日性とともに、その著作の至るところで明示的に語られつつも、しかしその内実を見通すことの困難であった全面的カタストローフ以後の世界に現れるもの、彼によってユートピアとも無人地帯とも呼ばれた場所、希望の地でありまた絶望の果てに現れる不毛の風景でもあったものを新たに見出そうとする試みである。
目次
序論
第Ⅰ章 「人間性」と「野蛮」の弁証法――アドルノのイフィゲーニエ論を手がかりに
第Ⅱ章 カテゴリーと媒介過程――ベートーベンにおけるカントとヘーゲル
第Ⅲ章 ざわめきとしての主観――アドルノのアイヒェンドルフ論に寄せて
第Ⅳ章 市民社会の幻影――ワーグナーとファンタスマゴリーの技術
インテルメッツォ アドルノとベンヤミンの書簡による観想学的スケッチ
第Ⅴ章 ベンヤミンのイメージ論――クラーゲスとシュルレアリスムのあいだで
第Ⅵ章 ベンヤミンのシュルレアリスム論――「内面性」の崩壊とイメージ空間の出現
第Ⅶ章 アドルノのベケット論――市民社会論的解読の試み
補章Ⅰ ドイツ啓蒙主義における「道徳性」と「美的なもの」
――レッシング『ハンブルク演劇論』第74‐79篇を手がかりとして
補章Ⅱ 同情と啓蒙――レッシングと批判理論における一致と差異
上記内容は本書刊行時のものです。