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ウラオモテヤマネコ 井上奈奈(著/文) - 堀之内出版
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ウラオモテヤマネコ (ウラオモテヤマネコ)

児童図書
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発行:堀之内出版
B5変形判
36ページ
上製
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-906708-59-8   COPY
ISBN 13
9784906708598   COPY
ISBN 10h
4-906708-59-5   COPY
ISBN 10
4906708595   COPY
出版者記号
906708   COPY
Cコード
C8793  
8:児童 7:絵本 93:日本文学、小説・物語
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年6月
書店発売日
登録日
2015年5月12日
最終更新日
2019年8月3日
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書評掲載情報

2016-08-12 ar  2016年8月号
評者: 前田隆紀(かもめブックス)
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紹介

「まぁ裏の世界からみれば 裏が表で表は裏なのだけれど」
やさしく、かなしい、ネコが主人公のうつくしい絵本たちは、大人にも子供にも、長く愛されてきました。
2015年、そうしたネコの絵本に新たな1冊が加わります。少女とネコはさまざまな宇宙を旅します。
うつくしさ。永遠。想い。幸福。描かれているのは、世界。

本作品は、2015年、イリオモテヤマネコ発見50周年を記念して刊行されます。
本作品の売り上げの一部は、イリオモテヤマネコ保護基金に寄付されます。

前書きなど

誰も気づかぬうちに 風も 空も 光も
今まで暮らしていた世界と
すっかり同じになっています
---『ウラオモテヤマネコ』より
誰も知らないのに、みんながすでに知っている世界。ウラオモテヤマネコはきっとそんな世界に住んでいます。
その場所は「無意識」と呼ばれる世界ではないでしょうか。
ある時、少女は、ウラオモテヤマネコに出会い、見たこともないウラの世界について知ることになります。
はじめのうちは神秘的に見えたウラの世界も、再び無意識のうちにオモテの世界と同じになってしまいます。
少女はウラもオモテも人間の無意識によって生み出される後戻りのできない同じ世界だったことに気づきます。
可愛らしい絵とは対照的に哲学的な内容のこの絵本は絶滅危惧種のイリオモテヤマネコの保護活動の一環として生まれました。絶滅危惧種となってしまった原因には経済活動や、利便性の追求、交通事故といった、人間が無意識に引き起こす問題が根底に流れていることが、プロジェクトに関わることでわかってきました。
ウラオモテヤマネコは、そんな人間の無意識に働きかけるために描き出された、失われた命のメタファなのです。

佐藤哲至 てんせんめん


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奈奈さんの絵本は、心に“もやもや”を生み出してくれる存在のように思う。
世界も人間も、このまま、今のままの方向で進んでいっていいのかしら。
進んでいくという大きな流れを断ち切るというのでも、
元に戻ればいいということでもない気がする。
だけど…だから…と、もやもやする。
でも、この“もやもや”は嫌なもやもやじゃなくて、
とても大切で必要な思いだとわかる、
しなやかで、強く、優しいもやもや(変な日本語だけど)。
そして、よし…と微笑む。あぁ、読んで良かったなぁ~。

ママ猫の古本やさん 大泉洋子


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井上奈奈・作 絵本『ウラオモテヤマネコ』の読み方
「イリオモテヤマネコとウラオモテヤマネコはどちらが天然記念物ですか?」、「イリオモテヤマネコは天然記念物ですが、ウラオモテヤマネコは妄想危険物です。これが見えると、危険なまでに疲れてるということになります。」というネット上の問答があった。クスッとわらってしまった。NHK番組に出てきたじゃじゃ丸も「うらおもて山猫」だが、誰が考えたのだろう、「ウラオモテヤマネコ」というネーミング。西表島が中国大陸と陸続きの頃に渡ってきたといわれ、世界中でも西表島だけに100匹のみ生息していると推測されている絶滅危惧種は「イリオモテヤマネコ」のほうだ。
この「ウラオモテヤマネコ」は、井上奈奈さんの絵本にも棲んでいる。とくに名前はないらしい。彼の口癖は「まぁ裏の世界からみれば 裏が表で表は裏なのだけれど」である。妄想危険物には違いないけれど、伝えたいことがあるから、敢えて絵本の中に現れてきたらしい。だから、絵本の裏表紙の更に裏側にはお手紙が潜ませてある。彼は「まぁ裏の世界からみれば、裏表紙が表紙で裏側はその表なのだけれど」と言うだろう。このお手紙は、裏の世界から見れば、絵本の表紙に添えられているということなのだ。
絵本によれば、裏の世界の人跡未踏の美しさに魅せられて皆がやってきてしまうと、裏と表が入れ替わって、元の表の世界が人跡未踏となり、元の裏の世界が現実に皆が住む世界となってしまう。人跡未踏の美しさは人が来ないからこそ保たれるのであって、天然記念物指定されている絶滅危惧種が年に何匹も交通事故で死んでしまうような現代の西表島では、もはや裏と表が入れ替わりつつあるのだ。声高に描かれている訳ではないけれど、作者が昨年1月に出版した絵本「さいごのぞう」と通じる、痛みや悲しみ、切なさを感じさせられる。

深瀬記念視覚芸術保存基金 深瀬鋭一郎


********************

ウラオモテヤマネコは言う。
「まぁ裏の世界からみれば 裏が表で表は裏なのだけれど」
胸に広がる宇宙。
満点の星々に見つめられ、かたく瞼を閉じる。
旅をし、傷つき、埃にまみれて薄汚れてしまっても、
その奥には、無垢の光が輝き続けている。
さあ目をあけて、
もう一度よく見てみるとしようか。
この素晴らしき世界を。

前川貴行(動物写真家)


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何千年もの月日を超えてもなお、
その美しい姿をほとんど変えずに生き続けているネコ。
そこに神秘的な力を見て、
ネコを通して宇宙を感じている人間の一人です。
物語りを読み終えると少し優しい視点で世界が見えてきました。
もしかしたらウラオモテヤマネコは、
すぐ側にいるのかもしれませんね。

川上麻衣子(女優・ガラスデザイナー)

版元から一言

井上奈奈HP http://www.nana-works.com/

本作品は、2015年、イリオモテヤマネコ発見50周年を記念して刊行されました。本作品の売り上げの一部は、イリオモテヤマネコ保護基金に寄付されます。
イリオモテヤマネコ保護基金 HP
http://www.jtef.jp/showcase_yamaneko_01.html

絵本『ウラオモテヤマネコ』朗読 Official Video
https://youtu.be/TYTz1i5fihM

著者プロフィール

井上奈奈  (イノウエナナ)  (著/文

京都府舞鶴生まれ、東京都在住。猫と活字をこよなく愛する画家・アーティスト。16歳のとき、単身アメリカへ留学、美術を学ぶ。女性や動物をモチーフに物語性を感じる絵画を制作。NYや上海など国内外の個展やアートフェアで作品発表する傍ら、ワークショップやミュージシャン・建築家など多様なクリエーターとのコラボレーションを展開している。2014年、絵本「さいごのぞう」出版。

上記内容は本書刊行時のものです。