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a:9:{s:12:"shoshi_title";s:40:"いのちのふるさと海と生きる ";s:11:"shoshi_isbn";s:17:"978-4-905327-74-5";s:16:"shoshi_publisher";N;s:11:"description";s:327:"コンクリートに覆われた日本の水辺。もはや資源と環境の劣化は限界に来ている。豊かな自然を次世代にのこすために,環境蘇生に向けて最前線で奮闘する分野を横断した“知”を結集する。瀕死の有明海から巨大防潮堤まで,具体的な提言。";s:6:"author";s:18:"田中 克(編集)";s:10:"publishers";s:9:"花乱社";s:9:"publisher";N;s:9:"productor";s:9:"花乱社";s:12:"release_date";i:1497020400;}

いのちのふるさと海と生きる 森里海を結ぶ1

自然科学 ラノベ

田中 克(編集)
発行:花乱社

A5判   274頁  並製
価格 1,800円+税

ISBN 978-4-905327-74-5   C0040
在庫あり(出版社情報)

奥付の初版発行年月 2017年6月
書店発売日 2017年6月10日
登録日 2017年5月25日

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紹介

本書に,海=自然とともに生きる確かな未来を見る。【嘉田由紀子氏推薦】
“陸に上がった魚である私たち人間”を魚たちはどのように見ているのか。地球環境問題の本質─「人間とは何か」と問いかける本書は,災害とともに生き抜いてきた日本人の試練ともいえる東日本大震災を乗り越えて,かつ,その試練を内在化して,未来に続く大海原に漕ぎ出るための羅針盤でもある。
**
コンクリートに覆われた日本の水辺。巨大化した人間の経済活動は生態系を破壊し続け,資源と環境の劣化は限界に来ている。今こそ持続可能な循環共生型「環境・生命文明社会」への転換を目指し,市場主義を変革する世界のモデルとなるために,環境蘇生に向けて最前線で奮闘する分野を横断した“知”を結集。健やかな水循環と豊かな自然を次世代へ繋ぐために──。

【執筆者】
西田 睦 東京大学名誉教授
安田喜憲 ふじのくに地球環境史ミュージアム館長
向井 宏 北海道大学名誉教授,海の生き物を守る会代表
松田 治 広島大学名誉教授,NPO法人瀬戸内海研究会議顧問
山岡耕作 高知大学名誉教授
八幡 暁 海洋冒険家
田中 克 京都大学名誉教授,舞根森里海研究所長
横山勝英 首都大学東京都市基盤環境コース教授,NPO法人森は海の恋人理事
畠山重篤 養殖漁業家,NPO法人森は海の恋人代表,2012年国連より「フォレストヒーローズ」受賞
有明海塾 有明海の未来を考え活動する若者の会
山下 洋 京都大学フィールド科学教育研究センター教授
谷口正次 資源・環境ジャーナリスト
中井徳太郎 環境省「つなげよう,支えよう森里川海」プロジェクトチーム副チーム長

目次

 はじめに 「いのちのふるさと海と生きる」が問いかけるもの/田中 克
第一章 生物の進化と文明の歴史を見つめる
 人類の遠い祖先を海に訪ねて 私たちは魚である/西田 睦
 環太平洋文明から日本の未来を見据える 「命の水」の循環/安田喜憲
第二章 海抜〇メートルから海辺の暮らしを見る
 「青い」地球を守りたい/向井 宏
 里 海 Satoumiからみた未来/松田 治
 海遍路 黒潮流域に幸せの原点を探しに/山岡耕作
 環境×暮らし=未来 シーカヤックはタイムマシン/八幡 暁
第三章 「森里海連環学」の時代 津波の海と共に生きる未来
 つながりの時代を拓く「森里海連環学」/田中 克
 防潮堤といのち 気仙沼舞根湾からの発信/横山勝英
第四章 「森は海の恋人」は海を越えて/畠山重篤
 それでも海を恨まない/漁師が山に木を植える理由/〈付記〉海と共に生きるための防潮堤を旅する
第五章 学生・大学・経済・行政も連環して
 若者が描く「有明海塾」の挑戦/有明海塾
 森から海までのつながりの科学と教育/山下 洋
 自然資本経済の勧め 日本モデルが世界を救う/谷口正次
 自然の恵みを将来にわたって享受していくために/中井徳太郎
 「つなげよう、支えよう森里川海プロジェクト」の取り組み
 あとがき いのちと命─未来世代へのメッセージ/田中 克

前書きなど

はじめに 「いのちのふるさと海と生きる」が問いかけるもの
 東日本大震災は、日頃その存在さえ感じなくなりつつある私たちに、否応なしに“海”の大きな存在を思い出させてくれました。それは、自らの究極の祖先が誕生した場であり、海なしには私たちは存在し得なかったことをも思い出させる契機になったと言えます。同時に物事の根源を見つめ直すことの重要性を提起したものでもありました。東日本大震災の最大の悲劇は、日々をつつましく誠実に暮らしてきた多くの人々から一瞬にして“ふるさと”を奪い去ったことと言えます。時間と空間を通じて、人と自然や人と人が絶妙につなぎあって出来上がっていた“ともに生きる”ふるさとの意味を私たちに問い直すものでもありました。
 私たちは“いのちのふるさと”海を、これまで陸の論理、とりわけ都会の都合でないがしろにし続けてきました。最も身近な陸と海の境界域に当たる水辺は、私たちの究極のふるさと海へとつながるかけがえのない場所と言えます。この間、壊し続けてきたそのような“聖域”とも呼ぶべき場所を、東日本大震災は「このまま崩し続ける先に、確かな未来はあるのか?」と根源的に問いかけ、かけがえのないエコトーン(隣接した生態系間の境界ゾーン)を蘇らせてくれました。
 わが国は、二大生物圏である森林域と海域の双方に恵まれ、両者を水が循環する“地球の原型”を保ち、日本らしい細やかな文化や暮らしの知恵を育んできました。私たち陸に住む人間にとって、水を涵養する森は感謝の念をいだく身近な存在ですが、森に水を循環させる海への感謝の念はどうでしょうか。海がなければ森はない、ということの意味、つまり“縁の下の力持ち”的存在に思いを馳せることを、今を生きる私たちは思い出す必要があるでしょう。この国を持続可能な循環型の社会に築き直す基本デザインは、自然的ならびに文化的な多様なつながりを蘇らせるに違いありません。それは、世界が模索する持続可能社会を築き直すモデルとなるでしょう。中でも、森と海の結節点である“いのちのふるさと”水際の再生は、人々の心に時空を超えたつながりの価値観を呼び戻す点においても、極めて重要な今日的課題と考えられます。
 水際の崩壊は、“宝の海”有明海を瀕死の海へと至らしめ、その教訓に学ぶことなく、三陸リアスの浜に建設され始めている巨大防潮堤により、いっそう深刻な事態に至っています。ニホンウナギが絶滅危惧種となり、潮干狩り文化の主役アサリまでも、日本周辺の海から姿を消しつつある現実。何よりも“水辺に遊ぶ子どもたち”が“絶滅”する先に、どのような未来があるのでしょうか。すべての価値判断基準を、続く世代の幸せを優先することに切り替え、いのちのつながりを最も大切にする社会の再構築に向けた、海からの世論形成は差し迫った課題と言えます。
 続く世代のための多様な実践的ならびに理念的な提言がたくさん盛り込まれています。本書の出版を通じて、この国の確かな未来への手がかりが得られることを願って止みません。

著者プロフィール

田中 克(タナカ マサル)

1943年,滋賀県大津市生まれ。京都大学名誉教授,舞根森里海研究所長。四十数年間にわたりヒラメやスズキなど海産稚魚の生態研究に携わり,水際が稚魚の成育場として不可欠であることを解明。水際は川や地下水を通じて森からの様々な恵みによって維持されていることに思い至り,2003年に稚魚と子どもたちの幸せを重ね,統合学問「森里海連環学」を提唱。日本の沿岸環境/漁業再生の「試金石」である有明海,三陸沿岸域,琵琶湖の水際再生を,森は海の恋人と森里海連環学の協同により目指す。著書に『森里海連環学』(共著),『森里海連環学への道』,『森里海連環による有明海再生への道』(監修),『女性が拓くいのちのふるさと海と生きる未来』(共編)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。