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暮らしの中で「使える」政治
香港の路上はすべての街につながっている
- 初版年月日
- 2019年3月15日
- 書店発売日
- 2019年3月13日
- 登録日
- 2019年2月4日
- 最終更新日
- 2019年3月18日
紹介
「香港の雨傘運動から展開していった
”若者たちの異議申し立て”は、
民主主義のお手本そのもの!
その姿に触発されて香港へと飛んだ
多摩市議会議員(2期目)の遠藤ちひろ。
ポスト雨傘の香港市民たちや
運動の女神と言われたアグネスらを取材。
そこで見えてきた、
香港デモクラシーと日本デモクラシーの共通点と違い。
暮らしの中の政治を「使える」ものにするための
秘策はあるのか!?
企画協力
南雲由子(板橋区議) 野田宏規(流山市議)
岡村ゆり子(川口市議) おぎの稔(前・大田区議)
杉山よしひろ(松戸市議) 江村りさ(京都市議)
目次
プロローグ
自由なはずの地方自治こそいちばん窮屈・議員七年目の葛藤
第1章 2017年、香港へ向かった理由
第2章 いきなり国会前デモに出くわす
第3章 香港政府の逆襲
第4章 香港の自由の女神、立ち上がる
第5章 香港人のデモクラシーと日本人のデモクラシー
第6章 妥協しない強さと、折り合いが生む改革
第7章 ホンコニーズ・デモクラシーと現代日本メディア
第8章 暮らしを改善する第一歩、議員の活用法
第9章 一緒に「当事者」になってみませんか
地方議員ミニ座談会 自分の権利は権利として主張した方がいい
エピローグ 通り過ぎるだけの観光客ではなく
前書きなど
少なくとも日本では地方自治法があるし、行政決定前に市民が声をあげる「パブリックコメント制度」も整備されている。政府が気に入らなければ選挙を通じて政権交代させることも可能だし、自治体なら知事や市長を辞めさせたり議会を解散することすら可能だ。これは旧共産国や開発途上にある諸国から見て相当に洗練された自治の仕組みである。
これらの権利は決して敗戦後に空から降って来たわけではない。安保闘争や数限りない住民訴訟など、先人たちの不断の努力によって勝ち取られ、日本社会に根付いて来たはずのものだが、その日本で民主主義導入から七〇年以上が過ぎた今日。上記のようにまちづくりや障がい者福祉などの現場で、住民自治が機能不全に陥っているのだから皮肉というほかはない。
では、私自身はどうか。
初当選から七年。御多分に洩れず私も市民と行政機関の狭間に立ち、逡巡することしばしばである。どうして双方の議論がかみあうような建設的な話し合いにならないのか首を傾げつつも、軽い諦めとともにその現場の雰囲気に慣れてしまった自分もいる。
大事なことは市民が決めるはずだ。こんなはずではなかったのだが……という私自身の混乱と葛藤に対して、香港の若者は言った。
「議会制民主主義を補完するのが、私たちの市民運動です」と。
本当に市民運動が民主主義を補完し、強くしているというのだろうか。日本ではデモに参加するという市民運動文化は絶滅しかかっているし、デモ参加者が色メガネで見られることも少なくないという現実をどう考えればいいのか。民主主義が七三歳を迎える日本で、なぜこんなイケてないことになっているのか。
この問いに対するヒントを、私は香港でみつけることになる。
(プロローグより)
上記内容は本書刊行時のものです。