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マルチグラフト 神本 秀爾(編) - 集広舎
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取引取次: 鍬谷|地方小
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マルチグラフト (マルチグラフト) 人類学的感性を移植する (ジンルイガクテキカンセイオイショクスル)

社会科学
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発行:集広舎
四六判
312ページ
並製
価格 2,182円+税
ISBN
978-4-904213-87-2   COPY
ISBN 13
9784904213872   COPY
ISBN 10h
4-904213-87-4   COPY
ISBN 10
4904213874   COPY
出版者記号
904213   COPY
Cコード
C0039  
0:一般 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年2月
書店発売日
登録日
2020年1月29日
最終更新日
2020年2月21日
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紹介

他者のことを「わかる」とは、どのようなことか─。わからなさこそが、他者の豊かさであり、人間の豊かさである。差異を含めて受け止めようとする人類学的感性の共有のために──。気鋭のフィールドワーカーによるエッセイ21編+ショートエッセイ2編。
◉大好評『ラウンド・アバウト』から一歩踏み込んだ続編。

目次

第Ⅰ部 集まる 国家・アート・アイデンティティ
 見える境界・見えない境界[ブラジル]安井大輔
 難民として生きる[インド・ネパール]山本達也
 社会を反映しない歌[台湾]田本はる菜
 未来を照射する過去[ジャマイカ・日本]神本秀爾
第Ⅱ部 暮らす 環境・災害・時間
 エコ暮らしのスワヒリ農村[タンザニア]高村美也子
 自然災害とともに生きる[ソロモン諸島]藤井真一
 季節がかわるとき[ミクロネシア]河野正治
第Ⅲ部 伝える 教育・歴史・記録
 子にかける夢と迷い[ブルキナファソ]清水貴夫
 記述された歴史を語り伝える[エチオピア]吉田早悠里
 文書のなかの固有名[ブルキナファソ・フランス]中尾世治
 集合的人格における融即と責任[日本]中尾世治
第Ⅳ部 信じる 信念・巡礼・改宗
 現代の魔女たちの魔法[イギリス]河西瑛里子
 アニメの聖地巡礼のグローバル化 [イギリス・ヨーロッパ]河西瑛里子
 重層的なフィエスタ[メキシコ]山内熱人
 信徒達の思索について[ケニア]岡本圭史
 狩人とアフリカミツバチ[マリ]溝口大助
 【ショートエッセイ】
  機内食を初めて食べた少女の話 山野香織
  メディアで働いても文化人類学から離れられない理由 髙田彩子

第Ⅴ部 関わる 身体性・ケア・コミュニケーション
 表現を通して「知る」ということ[日本]宮本 聡
 「老い」とは何か、その問題とは何か[沖縄]菅沼文乃
 普遍的な納得のあり方を求めて[バヌアツ共和国]大津留香織
 異質なものを引き受ける身体[日本・中国]小西賢吾
 「共に在る」感覚の再構成[インド・日本]中屋敷千尋

前書きなど

「まえがき」より
 本書では、最初に次のような問いを投げかけてみたい。それは、あなたにとって、他者のことを「わかる」とはどのようなことなのだろうか、というものである。すぐに思いつく答えは、「共感できる」とか「理解(了解)できる」などではないだろうか。本書は、どちらかと言えば、共感よりも理解(了解)の方の「わかる」を重視した内容になっている。
 人類学のフィールドワークは、問いの立て方や着眼点、フィールドでの人間関係の作り方など、さまざまな点で、ある種の職人芸的な要素に満ちている。しかし、それでも彼らのあいだでは、フィールドに入るときの構え、目の前にある現象を把握し分析するときの方法、言い換えると、知識や経験知のようなものがある程度は共有されている。本書の副題の人類学的感性とは、たとえ一緒に時間を過ごしても理解しきれたと思えない他者を、その差異を含めて受け止めようとする、力強くも謙虚な姿勢に裏づけられている。わからなさこそが、他者の豊かさであり、人間の豊かさである。本書は、このような感性を少しでも多く、読者と共有することを目指している。本書が、個々の執筆者のフィールドでの具体的なエピソードを、人類学的な議論や理論とも結びつけながら紹介するのは、そのためである。
 本書は、二一人の執筆者による、二一編のエッセイと二編のショートエッセイから成っている。エッセイの執筆者はいずれも人類学的研究にたずさわっている教員・研究員で、扱っている主題によって「集まる」「暮らす」「伝える」「信じる」「関わる」のパートに分けている。ショートエッセイは、かつて人類学的研究に従事し、現在は教育・研究以外の職に就いている二人によるものである。
 最後に、聞き慣れない本書のタイトルについて少し説明をしておきたい。このマルチグラフト(multi-graft)とは、多品種接ぎを意味する園芸用語(multi-grafting)から着想を得た造語である。一般的に多品種接ぎとは、ベースとなる木々の幹や枝に別の植物を接いでいくもので、一本の木から咲く多品種の花を楽しんだり、果実を収穫したりするためにおこなう。このタイトルには、本書で紹介されるエピソードが、読者のみなさんの社会や世界についての「わかる」を豊かにするための枝となり、あらたな花を咲かせたり、実をつけたりできればという思いが込められている。
 神本秀爾

著者プロフィール

神本 秀爾  (カミモト シュウジ)  (

久留米大学文学部准教授
2017『レゲエという実践─ラスタファーライの文化人類学』京都大学学術出版会

岡本 圭史  (オカモト ケイシ)  (

中京大学心理学研究科博士研究員
近刊『せめぎ合う霊力─ケニア,ドゥルマ社会におけるキリスト教と妖術の民族誌』風響社

上記内容は本書刊行時のものです。