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ロシア音楽はじめてブック
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2012年3月
- 書店発売日
- 2012年3月23日
- 登録日
- 2012年2月29日
- 最終更新日
- 2023年12月10日
紹介
チャイコフスキー、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、スクリャービン、ラフマニノフ、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチなど、ロシア音楽史を代表する約30人の作曲家の生涯と作品をわかりやすく解説(千原櫻子さんの可愛いイラスト付き!)。
コラムでは「チャイコフスキー・コンクール」「ロシア・バレエ団とディアギレフ」「ジダーノフ批判」「キリル文字ミニ講座」など、「知ると知らずは大違い」な基礎知識を伝授します。
あのルネ・マルタン氏(ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン アーティスティック・ディレクター)も、本書のためにロシア音楽の魅力を熱く語ってくれました。
著者は、ラ・フォル・ジュルネのクラシックソムリエをつとめ、クラシック音楽の魅力をわかりやすく伝えることにかけては右に出る者のない音楽ライター、オヤマダアツシさん。
「ロシア音楽って、寒そうだし、渋そうだし、むずかしいんでしょ?」というあなたのために、とっておきの「愉しみ方」を教えてくれます!
目次
INTRODUCTION:
激動の19世紀から20世紀に大きな発展を遂げたロシア音楽
その奥底に宿る魂は、私たちに深い感動を届けてくれる
この作曲家は、この時代を生きていた![ロシア作曲家年表]
INTERVIEW:
ルネ・マルタン氏が語る、ロシア音楽の奥深い世界
音楽シーンの常識を覆したラ・フォル・ジュルネ音楽祭
COMPOSER:
グリンカ──広い視野と勇気で一歩を踏み出した近代ロシア音楽の父
バラキレフ──ロシア国民楽派の精神を広めた新世代のプロジェクト・リーダー
キュイ──理論派の軍人や硬派な音楽評論家としての顔をもつ才人
ボロディン──化学者としても功績を残した、偉大なる日曜作曲家
ムソルグスキー──荒削りな魅力満載、民衆の視点を音楽で表現した異才
リムスキー=コルサコフ──カラフルな音色と麗しいメロディを駆使するグランド・マスター
チャイコフスキー──キャッチーなメロディを量産するロシア音楽界のスター作曲家
タネーエフ──存在感たっぷりの力作を書いたモスクワ楽派の優等生
リャードフ──国民楽派の魂を20世紀へと引き継いだメッセンジャー
アレンスキー──保守ロマン派の王道を走る、発掘されるべき正統派
グラズノフ──多彩な作品を残したビッグな才能──ロシア・ロマン派の正統派シンフォニスト
スクリャービン──「神秘」をキーワードに音楽宇宙を創造したアウトロー
ラフマニノフ──わがロシアよ!と音楽で呼びつづけた、ロマン派の夕映え
グリエール──多彩な作風で時代を生き抜いた優等生的作曲家
メトネル──ピアノでファンタジーを描く20世紀のロマンティスト
ストラヴィンスキー──3つの作品で世界を変え、20世紀のカリスマとなった革新者
プロコフィエフ──劇的な20世紀を“ロシア愛”とともにかけぬけた天才作曲家
チェレプニン──ロシア国民楽派とアジアの音楽を融合させたクリエイター
ショスタコーヴィチ──音楽家の真実はどこにあるかを追究したロシア音楽シーンの巨人
ハチャトゥリャン──民族の血を音楽へと反映させた20世紀の国民楽派
カバレフスキー──社会主義リアリズムと大衆化を実践した体制派
シチェドリン──シリアスとポップ、前衛と軽音楽、音響遊びの天才
COLUMN:
モーツァルトの時代にロシアでは……グリンカ以前のロシア音楽黎明期[アリャビエフ/ボルトニャンスキー]
ロシア音楽の魂にふれる扉──荘厳な正教の音楽
もうひとりの「ロシア音楽の父」[ダルゴムイシスキー]
ロシア音楽のヒーロー戦隊!?──「力強い仲間たち」とは
スター誕生!──聖地で開催される世界的なコンクール[チャイコフスキー国際コンクール]
チャイコフスキーの恩人だったルビンシテイン兄弟[アントン・ルビンシテイン/ニコライ・ルビンシテイン]
ロシア音楽を発展させたバレエという美の芸術
「ロシアのモーツァルト」と呼ばれた薄幸の作曲家[カリンニコフ]
ロシア音楽シーンを支援したひとりの材木商[ベリャーエフ]
強烈に刺激的なサウンドと実験精神──ロシア・アヴァンギャルドの音楽[ロスラヴェッツ/ルリエ/ヴィシネグラツキー/モソロフ/ポポフ]
バレエの歴史をぬりかえた創造的カンパニー──「バレエ・リュス」
音楽家が震えあがった恐怖の言葉──「ジダーノフ批判」
1980年代以降に存在がクローズ・アップ──新しいロシア音楽を作り出す3人の作曲家[シュニトケ/グバイドゥーリナ/カプースチン]
シンプルにして深い精神性──ペルトとバルト三国の作曲家[ペルト/トゥビン/シサスク/ヴァスクス/チュルリョーニス]
チャイコフスキーの肉声もあった!──録音で接する作曲家たちの実像
音楽用語をロシア風に表記してみると、こうなりました[キリル文字ミニ講座]
さらにもう一歩、ロシア音楽の深い森へ──まだまだ足を踏み入れたい人のための作曲家たち
前書きなど
INTRODUCTION:
激動の19世紀から20世紀に大きな発展を遂げたロシア音楽
その奥底に宿る魂は、私たちに深い感動を届けてくれる
ロシア音楽との幸福な出会いを求めて
クラシック音楽を愛する多くのリスナーにとって、初めてロシアという国や民族を意識したのは、いったい何の曲だっただろうか。壮大なドラマで聴き手の心を支配するチャイコフスキーの《悲愴》交響曲、幻想的な別世界へ誘われるような《白鳥の湖》、つぎつぎに未知の光景を見せてくれる《展覧会の絵》、シュプレヒコールが聞こえてきそうなショスタコーヴィチの交響曲第5番……。
いや、「ピアノのレッスンで弾いたチャイコフスキーの小品に、温かい暖炉の火を思い浮かべた」という人がいるかもしれないし、「吹奏楽で演奏した《だったん人の踊り》は、コサックダンスみたいだった」という人だっているかもしれない(実際は違う民族だけれど、そこは目をつぶろう)。大好きなラフマニノフのピアノ協奏曲第2番がロシアを紹介する紀行番組で流れ、「あ、ラフマニノフ!」と気がついた人だっているだろう。
筆者の場合は、初めてラフマニノフの交響曲第2番、第3楽章のアダージョを聴いたときだ。心のなかに雪で覆われた平原が広がり、地平線まで見渡せる雄大な風景に「ロシア」を意識した。もちろんそんな場所には行ったことがあるはずもなく、単なる思い込みである。しかし、それからというもの、トルストイやドストエフスキーらの長編小説を読んでいると、チャイコフスキーやラフマニノフの音楽が脳内BGMで流れるようになってしまった。また、もしかしたらロシア音楽への理解が深まるかもしれないと思い、「ボルシチ」という料理を初めて食べに行ったことも懐かしい
(いま考えると、わりかし短絡的ではずかしい話ではある)。
しかし、そうしたことを通じて、少しずつだが自分のなかにある「ロシア」という幻想が形になっていったのはたしかだ。レコード棚にも主要な作曲家はもちろん、タネーエフやリャプノフ、グラズノフ、カリンニコフなどの作品がつぎつぎに加わった。ロシア音楽の奥深い世界をのぞいてみたら、そこには宝の山が広がっていたのだ。(以下略)
上記内容は本書刊行時のものです。