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「at武道館」をつくった男 和久井光司(著) - アルテスパブリッシング
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「at武道館」をつくった男 (アットブドウカンヲツクッタオトコ) ディレクター野中と洋楽ロック黄金時代

芸術
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四六判
256ページ
並製
定価 1,600円+税
ISBN
978-4-903951-09-6   COPY
ISBN 13
9784903951096   COPY
ISBN 10h
4-903951-09-X   COPY
ISBN 10
490395109X   COPY
出版者記号
903951   COPY
Cコード
C0073  
0:一般 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2008年8月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2023年10月19日
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紹介

 ソニー・ミュージックダイレクト社長を2008年6月に退いた野中規雄は、1948年、団塊世代のど真ん中に生まれ、72年に創立間もないレコード会社CBS・ソニーに入社。以来エアロスミス、チープ・トリック、ザ・クラッシュといった名だたるロック・バンドを日本で大スターに育ててきた名物ディレクターです。シンガー・ソングライターのジャニス・イアンやスペインの貴公子フリオ・イグレシアスも日本で大ヒットさせました。
 彼が現役のディレクターとして活躍した1970~80年代は、日本での洋楽ロック人気がピークを迎えていた時代であり、また日本のレコード会社が英米とは異なる日本だけのスターを次々に生み出していた時代でもあります。
 自ら企画して全世界的なベストセラーとなったチープ・トリック『at武道館』(書名の由来です)、『飛べ!エアロスミス』『蒼ざめたハイウェイ』『動乱~獣を野に放て』といったユニークな邦題、エアロスミス『ロックス』の金帯などで知られる野中の自由奔放な仕事ぶり、あるいは彼が語る名物先輩ディレクターたちの伝説が伝えるレコード会社の姿は、デジタル化の波に揺さぶられ激動している現在のレコード(CD)産業とは対照的です。
 そんな野中の数々のエピソードに彩られたディレクター人生を追った本書は、ロック・ミュージシャンとしてもリスナーとしても野中の仕事に大きな影響を受けた著者が、野中の定年退職を機に書き下ろしたもの。当時のレコード・ディレクターの仕事を通して、“日本洋楽”全盛期のレコード業界の舞台裏を描くドキュメンタリーです。

目次

プロローグ──二〇〇八年四月二四日、武道館
第1章 CBS・ソニーと「日本洋楽」
 日本初の外資系レコード会社
 洋楽ディレクターの仕事と「日本洋楽」
 「日本洋楽」ならではの曲芸
第2章 前橋のバンド少年
 野中家の長男……いや、次男だった
 “戦後の始まり”を体験した団塊の世代
 最初の音楽体験
 漣健児で“ポップス”に目覚める
 外国の文化への憧れ
 ザ・ポップコーンズ結成
第3章 GSとロックと学生運動
 上京、GSブームを体験
 早大放送研究会の一員に
 学生運動の世代
 『ロック宣言・第一章』
 タモリの孫弟子に
 先輩が安田講堂に!
 「一九七〇年代」の始まり
 「箱根アフロディーテ」の衝撃
 就職活動
第4章 伝説のディレクターたち
 一九七二年の洋楽事情
 型破りの洋楽ディレクター陣
 高久光雄とミッシェル・ポルナレフ
 ラジオ局での激しい競争
 破天荒なヒット・メイカー、高橋裕二
 ビヨルンとベニー、予選敗退
 カプリコーン、まさかのグランプリ
 ロック文化をリードしたCBS・ソニー
 「理論派」堤光生からの影響
第5章 一流ディレクターへの道
 モット・ザ・フープルになりきる
 映画をつくって結婚式
 痛恨! ルージュを逃す
 翔べ! エアロスミス
 金帯の『ロックス』
 ジャニス・イアンをスターダムに
 デンマークのパンク・バンド?
 邦題よもやま話
第6章 チープ・トリックとザ・クラッシュ
 地獄から生還して担当
 『at武道館』の光と影
 三作目の『ライヴ・イン・ジャパン』
 新会社「EPIC・ソニー」へ
 永遠のヒーロー、ザ・クラッシュ
 ツアーで見たジョー・ストラマーの真の姿
 執念のボックス・セット、『シングルズ』
 パンク・ロックとは何だったのか
第7章 スーパースターとニュー・ウェイヴ
 ジェフ・ベックの笑顔
 ニナ・ハーゲンとエレン・フォーリー
 ニュー・ミュージックとスリッツ
 フリオ・イグレシアスを仕掛ける
 洋楽の中の日本的な情緒
 ウィリー・ネルソンを「オジサン」たちに
 ミック・ジャガーとフレディ・マーキュリー
第8章 「日本洋楽」の終焉
 日本だけで売れたGIオレンジ
 契約の壁に負けたメロンの世界戦略
 MTVとCDの時代
 さらば洋楽部
第9章 音楽産業の未来へ
 オーディションとライヴ通いの日々
 儚く消えたアメリカ進出の野望
 プロダクションでの苦い経験
 音楽の産地直送──ソニー・ミュージックダイレクト
 一九七八年のファンタジー
エピローグ
あとがき
付録:野中規雄が担当した主なアルバム一覧(1974~1983)

前書きなど

●あとがき
 「クラッシュのディレクターが社長?!」
 野中規雄という人に会ってみたいと思ったのは、その驚きがきっかけだった。
 二〇〇六年夏、ソニーからのニュースレターで、クラッシュが残した一九枚のシングルを箱に詰めたセットが、CDとアナログ盤の両方で企画されていると知った。その中に「かつての担当者だった現社長が現場に復帰し、ディレクターとして陣頭指揮を取る」という一文があったのだ。ぼくは、さっそくある雑誌の編集者を通して野中に取材を申し込んだ。
 クラッシュやチープ・トリックを担当し、熱血漢としても知られるCBS・ソニーのディレクター、野中規雄の名はもちろん知ってはいた。。しかし、彼がディレクターとして活躍していた時期と、ぼくがこういう仕事をするようになった時期がずれていたため、なかなか出会う機会に恵まれなかったのだ。
 目の前に現れた野中は、社長というよりは「番頭さん」的なタイプ。一八〇センチ近い細身の体に仕立てのいいスーツを着て、人なつこい顔で笑い、楽しい話を次から次へと聞かせてくれる魅力的な人物だった。
 クラッシュのシングル・ボックスを中心にしたインタヴューだというのに話はたびたび脱線。しかし、洋楽ディレクターとして活躍した日々のエピソードはあまりにも面白い。もっと話を聞きたくなったぼくは、数週間後、今度は個人的に野中に会いに行った。そのときに「野中さんの半生を本にしたら、きっと日本の洋楽裏面史ができますね」と言ってしまったのである。
 アーティストの伝記や評論は多々あるが、日本のレコード市場で洋楽が輝いていた時代をスタッフの側から見た「記録」はない。野中の定年退職が間近なことは最初に会ったときに聞いていたから、「一代記」を語ってもらうには絶好のタイミングだと思ったのだ。

 本書の眼目は、野中規雄のディレクター人生を通じて、「日本洋楽」の黄金時代を、また、レコード産業が輝かしかった時代を記録することだが、その伏線として、ぼくらから見た団塊の世代の像をまとめておこうという想いがあった。
 団塊は、いまの日本社会で実務を担当している世代の父・母であり、兄・姉である。その人たちが現役でいるうちに、団塊の世代が戦後日本をどう捉え、経済や文化の発展をどう考えていたのかを記録しておきたかった。それには、自分の分野の“兄”の半生を通して戦後六〇年を眺めてみるのがいちばんいいのではないか、と思ったのだ。
 一九五八年生まれのぼくは、団塊に圧し潰されて四五度ぐらい捩れてしまった世代(五〇年代中盤生まれ)を直接の先輩として育ち、さらに四五度ぐらい捩れてしまったという自覚がある。おかげである意味“まっすぐな”団塊に比べると、九〇度ぐらい横を向いてしまったから、彼らがつくった“王道”には素直に同調できなかったという側面がある。
 ぼくが「誰よりも五八年生まれらしい男だ」と思っているのは、本文中にも登場する坪内祐三だ。彼の長編文化評論『一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」』に衝撃を受け、「五八年生まれの自分にしか書けないものを書こう」と思ったのも、この本を企画したきっかけのひとつである。
 執筆にあたって、ぼくは団塊の世代に言及した何冊かの本を読んだ。その中で最も面白かったのは山口文憲さんの『団塊ひとりぼっち』(二〇〇七年、文春新書)だった。これはぜひ読んでいただきたい本なので、内容については触れないが、巻末に付録として掲載されている「団塊世代関連年表」と「団塊世代の主な著名人」を、便利な資料として使ったことを報告しておきたい。
 本書がどのくらいの読者を獲得し、どのくらいの興味をもって読まれるのかはわからないが、著者としては目標としていた地点は一応クリアしたつもりである。本書に記したのは、ぼく自身が“次代に伝えたいこと”でもあるので、いま音楽産業の中枢にいる人たちや、これから音楽産業に携わろうという若い人たちに、ぜひ読んでいただきたいと思う。

版元から一言

本書の刊行にあたってチープ・トリックのリック・ニールセンと、「17歳の頃」「ラヴ・イズ・ブラインド」で知られるシンガー・ソングライターのジャニス・イアンがメッセージを寄せてくれました。
●リック・ニールセン(チープ・トリック)「俺たちを有名にしてくれてありがとう!」
●ジャニス・イアン「ノリさんがソニーを去る日が近いことを聞いた時、嬉しい気持ちと寂しい気持ちが交錯しました。嬉しかったのは、これからは彼が日々の仕事の重圧から解放されて、自分の好きなことを存分に楽しめるから。寂しいのは、私にとってひとつの時代が幕を閉じることを意味するから。ノリさん、私達の友情とお互いを想う気持ちがこれからもずっと続きますように。ふたりを隔てる海がどれほど広くても、私はいつもあなたのことを想っています。あなたの新たな人生が豊かで幸福に満ちていることを願って。心よりの愛をこめて。」

著者プロフィール

和久井光司  (ワクイコウジ)  (

和久井光司(ワクイ コウジ)
総合音楽家。1958年10月2日に東京都渋谷区で生まれ、横浜市で育つ。1981年にスクリーンを率いてレコード・デビュー。同バンド解散後、モーメンツ、東京の人を経て、ソロ活動を開始した。2007年暮れには、ボブ・ディラン公認の日本語カヴァー集『ディランを唄う』と、最新オリジナル・アルバム『愛と性のクーデター』をソニー・ミュージックから同時発売している。著書に『ビートルズ&アップル・マテリアル』『地球音楽ライブラリー クイーン』『同 U2』、『ディランを語ろう』(浦沢直樹との共著)などが、編著に『英国ロックの深い森』『ザ・ゴールデン・カップスのすべて』などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。