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ホモロジー代数学 安藤哲哉(著) - 数学書房
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ホモロジー代数学 (ホモロジーダイスウガク)

学参
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発行:数学書房
A5判
352ページ
上製
定価 4,800円+税
ISBN
978-4-903342-16-0   COPY
ISBN 13
9784903342160   COPY
ISBN 10h
4-903342-16-6   COPY
ISBN 10
4903342166   COPY
出版者記号
903342   COPY
Cコード
C3041  
3:専門 0:単行本 41:数学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年2月
書店発売日
登録日
2010年3月1日
最終更新日
2010年2月23日
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紹介

可換環論,代数幾何学,整数論,位相幾何学,代数解析学などで
不可欠なホモロジー代数学の待望の本格的解説書

目次

 目次
 第1章 加群
 第2章 複体の(コ)ホモロジー
 第3章 射影的加群と移入的加群
 第4章 導来関手
 第5章 スペクトル系列
 第6章 Ext と Tor
 第7章 Noether可換環上のホモロジー代数
 第8章 標準加群と局所ホモロジー

前書きなど

まえがき


本書の執筆中の2008年8月13日に, Henri Cartan が104歳で他界された.
氏と Samuel Eilenberg の共著書『Homological Algebra』(以下[CE])は
1956 年に出版されて以来, ホモロジー代数の標準的教科書として多くの
数学者に読まれてきた.和書では, 同書に沿って書かれた中山正・服部昭
『ホモロジー代数学』共立(1957)(以下[中山・服部])や, 岩波基礎数学講
座として出版された河田敬義『ホモロジー代数』(1976)(以下[河田])が標
準的教科書として愛用されてきた.これらは名著であるが, 残念ながら両
書とも絶版になって久しい.本書は, [中山・服部]や[河田]の代用たるも
のを提供することを目的に執筆した.
ただし, その後30年間でホモロジー代数も大きく発展し巨大化してきたので,
新しい内容を追加すると同時に, 必要性の低くなった事項は割愛し,
時代の要求に合わせて扱う内容をかなり変更することにした.

本書の構成について, 少し説明と弁解をさせて頂く.
現在, ホモロジー代数は, 幾何学, 可換環論, 代数幾何学, 整数論, 代数解析学を
はじめ, 多くの分野で利用されている.
これら, すべての分野を念頭に, あらゆることを網羅的に解説しようとしたら,
分厚い数学辞典のような本になってしまう.
逆に, ホモロジー代数の初歩は, 森田康夫『代数概論』培風館(以下[森田]),
彌永昌吉・小平邦彦『現代数学概説I』岩波(以下[彌永・小平])を
はじめ様々な和書で解説されている.
本書は, まったくホモロジー代数に触れたことのない人より,
上記のような入門的教科書を卒業した人で,
特に可換環論, 代数幾何, 整数論などの可換代数に興味を持つ人に
役に立つこことを念頭において執筆した.
一応, 初心者でも読めるように書いてはあるが,
ホモロジー代数を速習するなら, まず, 上記のような入門書を読んでいただきたい.

第1章「加群」, 第2章「複体の(コ)ホモロジー」は
初心者のために設けられているので,
代数学をある程度勉強された方は飛ばして読んでいただくとよい.

第3章「射影的加群と移入的加群」からは, ホモロジー代数の初歩を勉強された
方も, きちんと読んで頂きたい.
ここには, [中山・服部], [河田]より新しい知見が多く盛り込まれている.
ただし, [河田]にある cofree については, 割愛させて頂いた.

第4章「導来関手」において, Abel 圏の一般論は本書では割愛した.
[森田]や[彌永・小平]で説明されているようなホモロジー代数は
一般の Abel 圏でも並行して成立するが,
本書の内容(特に,Noether環や有限生成加群の理論)は
一般の Abel 圏などでは成立しないものが多い.
一般の圏上で成立する定理でも,環上の加群の圏の場合より,
証明が複雑で難しくなるものも少なくない.
そもそも,層の圏のように,環上の加群の圏には存在しない半完全関手の解説や,
Abel 圏,導来圏,三角圏などの一般論を詳しく書き始めると,
さらに数百ページを要する.
そういう種々の事情で,本書では環上の加群のホモロジー代数を中心に
説明することにし,圏上のホモロジー代数は,
機会があったら別書で解説するのが適当と考えた.

また, 本書では, 多変数関手の理論は省略して1変数関手だけを扱うことにした.
[中山・服部]や[河田]で多変数関手を用いて説明されている事項は,
本書ではスペクトル系列を利用して説明してある.
関手の自然変換も簡単に触れるにとどめた.

第5章「スペクトル系列」は, [中山・服部]や[河田]では終章で扱われているが,
最近の代数やトポロジーではスペクトル系列の知識が常識化しているので,
本書では早い段階で導入し,
Ext や Tor もスペクトル系列を利用して説明した.

第6章「Ext と Tor」の内容は標準的なもので, それほど新しい内容はない.
ただし, スペクトル系列を多用して解説している.
Ext と Tor を速習するだけなら, 本書より[森田]などを読んでいただくほうが
手っ取り早いが,ある程度専門的な議論をするためには,
本書で解説したような手法が不可欠である.
それから, [CE]や[中山・服部]にある「積」については, 割愛させてもらった.
積については, 幾何学者によるホモロジー論の教科書で勉強して
もらうほうが, 積の幾何学的意味がよく分かってよいと思う.

第7章以降の構成については, 弁解が必要である.
まず, [CE]や[中山・服部]にある, 群のホモロジー, Lie環のホモロジーは割愛した.
多元環のホモロジーについても,非可換環上の理論は割愛した.
多くの教科書が出版されている現在では, これらの内容は
各分野の教科書で勉強するほうが適当と考えたからである.
例えば,非可換代数に興味ある方は, 巻末文献の[岩永・佐藤]を参照して頂くとよい.
層のコホモロジーについても, Iversen[Iv]の邦訳を初め,
いろいろな和書で解説されているので, 改めて本書で扱うに及ばないと考え割愛した.
エタール・コホモロジーについては加藤和也の書に期待したい.

そういうわけで, 第7章「Noether可換環上のホモロジー代数」は
[松村]で使われているような, Noether可換環における
ホモロジー理論を解説することを目標に執筆した.
この章の内容は[松村]とかなり重なっているが,より詳しく解説した事項も多い.
代数以外の専攻の方も, 第7章の前半くらいまでは読んでおいて損はないと思う.

第8章「標準加群と局所コホモロジー」は, 代数幾何や可換環論の専門家向けの
内容であって, 特に,Hartshorne[H]を読まれた方には参考になると思う.
初学者にはかなり難しい部分もあるので,
ある程度, 可換環論や代数幾何に熟達してから読まれるとよい.
特に, 次数付き加群のホモロジー代数は, 射影代数多様体への応用を念頭に書いた.

2010年2月

著者

版元から一言

可換環論,代数幾何学,整数論,位相幾何学,代数解析学などで
不可欠なホモロジー代数学の待望の本格的解説書

著者プロフィール

安藤哲哉  (アンドウテツヤ)  (

千葉大学 准教授

上記内容は本書刊行時のものです。