帝都地形図 井口悦男(編) - 之潮
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帝都地形図
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
紹介
１ 一般に知られることのなかった、巨大縮尺地形図
震災から戦災の間を記録した、3000分の1図
2 ６尺間隔の等高線と水路・土地利用記載が証言
ヒューマン・スケールで把握できる土地の原環境
3 消えた海浜・掘割・水路、田圃や畑地、竹林が・・・
自然環境復元と、地域防災計画の基礎情報
4 各種工場から給油所、バス車庫、塵芥捨場が・・・
環境アセスメントに欠かせない個別情報を記載
5 幼稚園から大学、社会福祉施設、軍施設が・・・・・
戦災直前まで、都市構造の詳細がわかる
6 対照現代図、図解説、索引、参考写真を装備
地図出版の新標準（ニュースタンダード）を実現
目次
第1集：練馬区・北区 第2集：足立区・荒川区・豊島区（一部）・葛飾区（一部） 第3集：中野区・杉並区・世田谷区・渋谷区（一部）
第4集：渋谷区（一部）・新宿区・豊島区（一部）・文京区・千代田区・中央区・港区・目黒区（一部）・台東区（一部） 第5集：墨田区・葛飾区（一部）・江東区・江戸川区・台東区（一部） 第6集：世田谷区（一部）・目黒区（一部）・品川区・大田区
前書きなど
昭和一桁生まれが記憶にとどめはじめた昭和十年代の日中戦争以降、これらの図に描かれた、我々が育った場所には懐かしい建造物をそこここに見ることができ、現在に過去を呼び醒ましてくれる。ありがたいことに、改描や修正が加えられた地図は、比較的最終版ほど情報が詳しくなる傾向があり、当時小学生あるいは中学生であった者には、家周辺地などの再現にまたとない資料となる。第二次世界大戦末期の現実感が一刻ごとに失われようとしている折、今回の図群覆刻は、年齢的限界に近づいている我々にとって、記憶を再現できる最後の機会でもある。
それにしても大戦末期には、精確な地形図は軍事機密の彼方に閉じ込められ、気軽に手にする事ができなかった。3000分の１図は特定図で、一般にはさらに遠い存在であった。それが敗戦後の昭和22年に、戦災復興用の応急都市計画図として急遽作成、刊行されたのだが、特殊図でもあり混乱期でもあっただけに一般的に普及していた地図ではない。これらの図の作成や利用についての公的記録も残っておらず、今日までその概要もほとんど知られることはなかった。しかしながら、これらの地図は、3000分の１というたぐい稀なその大縮尺によって、また「大東京」や「帝都」の、旧水路や塵芥捨場のような微細な襞までを今日に伝える地図記録であることによって、資料としての価値ははかり知れないものがあるといえよう。
またこれらの図は、部分的修正や改描、補正を重ねた跡が明瞭で、図の目的からも一般地形図のような表記の正確さは期待できず、誤記や修正漏れも少なくない。しかしそれぞれの図の解説においてこのことは可能な限り指摘是正していただいているとおりである。なお、欠図の十数面については、今後の発見に俟つ形となった。本書は、貴重ながら特殊でもあるこれらの地図を、可能な限りの手立てを加えて「記憶の一般図」と為す試みでもある。
版元から一言
東京が「帝都」と呼ばれて憚るところのなかった、大正から昭和の初期にかけて作成された、1：3000地形図を発掘。現代地図と対照し、かつ図ごとの解説と索引を付した、究極の地図史料
上記内容は本書刊行時のものです。
