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琉球王国を導いた宰相 蔡温の言葉 佐藤亮(著) - ボーダーインク
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琉球王国を導いた宰相 蔡温の言葉 (リュウキュウオウコクヲミチビイタサイショウ サイオンノコトバ)

新書
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新書判
200ページ
並製
価格 1,000円+税
ISBN
978-4-89982-297-4   COPY
ISBN 13
9784899822974   COPY
ISBN 10h
4-89982-297-9   COPY
ISBN 10
4899822979   COPY
出版者記号
89982   COPY
Cコード
C0223  
0:一般 2:新書 23:伝記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2016年3月
書店発売日
登録日
2016年3月16日
最終更新日
2016年3月16日
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紹介

琉球王国の歴史に不滅の名を残した偉人、蔡温。『王国最大の政治家』と称される彼は、突出して多くの著作を残した。自叙伝、王府政治のマニュアル、啓蒙書、教訓書など、蔡温の言葉は、時を越えて我々に訴える。その生涯・活躍した時代背景をまとめ、『独物語』『自叙伝』など蔡温自ら書き残した著作を現代語訳し、蔡音の魅力にせまる。近世琉球に多大なる影響を与えた「蔡温の言葉」にふれてほしい。

目次

はじめに― 琉球王国の歴史上、最も偉大な、最も理屈っぽい政治家 

蔡温が、そこにいた ― どういう人物だったのか 

 蔡温登場の時代背景
  蔡温は何をした人物なのか 蔡温登場までの前史 そのとき、世界は

蔡温略伝   

 蔡温の出自
  若き日の蔡温  蔡温、出世する  蔡温、薩摩の足下を見る  尚敬王の山北巡幸
  蔡温、国政のトップに立つ  平敷屋(へしきや)・友寄(ともよせ)事件  羽地大川の大改修  森林育成政策 (杣山政策)  国土再編と乾隆検地 幻の名護遷都論  晩年
 蔡温の人間像
  羽地朝秀と蔡温、二つの個性  蔡温の妻子
 蔡温の著作について
  さまざまな著作  『自叙伝』について  『独物語(ひとりものがたり)』について
  「蔡温、かく語りき」 について

『自叙伝』全訳 ― 落ちこぼれから三司官へ 


 間の悪い誕生  落ちこぼれの少年時代  謎の隠者  隠者との問答  隠者の教え  国師蔡温  冊封使との対決  評価(ハンガー)事件 三司官就任から隠居まで


『独物語』全訳 ― 時代を乗り切る王府政治のマニュアル 

 琉球王国の現状
  琉球は小国である  御国元(薩摩藩)には感謝すべきである  結束して大局にあたれ
 外交費について 
   琉球は大海の中にある  漂着船への費用  不意の使者の接待費  江戸立・渡唐・王世子上国・册封などの費用   唐の兵乱にも動揺するな
 国家経営の心得
  人口の増加を憂えるな  優先順位を誤るな  国の等級とは
 酒と自律心
   自律心を失わせるもの  酒に呑まれるな 一  酒に呑まれるな 二  酒に呑まれるな 三  
 優先すべき二つのこと
 朽ちた手綱で馬を駆けさせる  
 商業の自由化
   商人税の免除  泡盛・麺類・豆腐の製造販売の自由化 一  
  泡盛・麺類・豆腐の製造販売の自由化 二  屠豚業者の制限撤廃  
 外交の心得
   倹約につとめよ  他国に恥じない振舞いをせよ  漢文筆者を育成せよ
  遊郭は治安のためである  
 解決すべき課題
  農民の酷使  勤務評定の精査  冠婚葬祭・賞罰に関する規則  
  学校の創設
 外患について
  南蛮船への対処  武道の訓練
 水運構想
  避難港の確保  浦漕船の活用 首里への築港  首里人の失業対策         首里の港は首里人のためのみにあらず  
 山林(杣山)政策について
   深刻化する木材不足  杣山を重視すべき理由  木材は自給自足すべし    樫木(イヌマキ)の育成  本島周辺離島の林政 一  本島周辺離島の林政 二  宮古諸島の林政  八重山諸島の林政  
国に仕える者の心得
   大局を見よ  国家の条件とは  天の摂理に従え  あくまで大局を見よ  国に仕える者たちに望む

 
蔡温、かく語りき ―そのほかの著作から 

  国家について
  政治について
  俗信について
  家庭について   
  生きかたについて   
  蔡温が撰した碑文
                   主要参考文献

前書きなど

はじめに― 琉球王国の歴史上、最も偉大な、最も理屈っぽい政治家


 
 琉球王国の歴史に不滅の名を残した偉人、蔡温(さいおん)。
「琉球王国最大の政治家」「古今独歩の大経世家」「近世琉球のスーパースター」など、彼を称える形容詞には事欠きません。
 蔡温には、もうひとつの称号を贈ってもよいと思います。「琉球王国の歴史上、最も理屈っぽい男」と。
 蔡温は言います。
「死者の祟りなどない!」と。
 なぜか。
「死者が祟るのであれば、戦で死んだ兵士は、なぜ敵兵を祟り殺さないのだ。おかしいではないか」
 また蔡温は言います。
「生まれ変わりなどない!」と。
 なぜか。
「人間が生まれ変わるのならば、孔子はなぜ生まれ変わってこないのだ。おかしいではないか」
 さらに蔡温は言い切ります。
「あの世などない!」と。
 なぜか。
「あの世などという概念は、釈迦が大昔につくりあげた方便にすぎない。そんなものがいまだに信じられているとは、じつに嘆かわしいかぎりだ」
 琉球史において、蔡温ほど、その個性をうかがい知れる人物はいません。それは彼が、当時としては突出して多くの著作を残しているからです。
 蔡温は筆まめな人物でした。彼は自叙伝を書き、王府政治のマニュアルを書き、啓蒙書を書き、教訓書を書き、さらには森林育成の業務マニュアルまで執筆しています。その数は、単著のみにしぼっても十六編に及びます。
 残念ながら、蔡温の著作のうちいくつかは、散逸して内容が確認できません。しかし、先人の努力によって、多くが写本として今日まで伝えられています。
 私たちは、蔡温の言葉を聞くことができるのです。とはいえ、当然ながらそれらは古い文体(候文(そうろうぶん)や漢文)で書かれているため、容易に読めるものではありません。
 そこで本書では、彼の言葉を現代語に訳し、気軽に読めるものにしました。蔡温の半生を綴った『自叙伝』と、王府政治のマニュアルともいうべき『独物語(ひとりものがたり)』、そして、その他の著作から選んだ印象的な言葉を「蔡温、かく語りき」としてまとめています。
 また、蔡温の言葉をより深く理解するために、蔡温の生涯と、彼が活躍した時代背景などを「蔡温が、そこにいた」という一編にまとめました。
 理屈っぽく、説教臭く、謙虚に見せかけて自信満々で、そうかと思うと、「若い頃の自分は本当に駄目な奴だった」と正直すぎる告白をしてしまう男、蔡温。彼の言葉を通じて、どこか憎めないその魅力に触れていただければ幸いです。



《新書版追記》
 本書は、二〇一一年にボーダーインクより刊行された『蔡温の言葉』を新書判として改訂したものです。前書において『家導訓』という書物の中からいくつかの言葉を「蔡温、かく語りき」として紹介していました。しかし、出版後に調べ直したところ、『家導訓』は蔡温の著書ではなく、江戸前期の福岡藩士で儒学者の貝原益軒(かいばらえきけん)の著書であることがわかりました。このたび新書版を上梓するにあたり、『家導訓』からの引用をすべて削除しました。それにかわり、蔡温の著書の中から新たな言葉を紹介しています。旧版の読者の皆様にお詫びするとともに、このたびの新書版をご愛読いただければ幸いです。

版元から一言

 本書は、二〇一一年にボーダーインクより刊行された『蔡温の言葉』を新書判として改訂したものです。

著者プロフィール

佐藤亮  (サトウ リョウ)  (

1977年、島根県生まれ。大阪府、千葉県育ち。東洋大学文学部史学科卒業。
マニュアル制作業界の草分けであるハイテクノロジー・コミュニケーションズに勤務し、家電・PCソフト・社内業務などのマニュアル制作に従事

上記内容は本書刊行時のものです。