版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
沖縄しきたり歳時記 稲福政斉(著) - ボーダーインク
....
詳細画像 0 詳細画像 1
【利用可】

書店員向け情報 HELP

沖縄しきたり歳時記 (オキナワシキタリサイジキ)

哲学・宗教
このエントリーをはてなブックマークに追加
四六判
重さ 213g
176ページ
並製
価格 1,600円+税
ISBN
978-4-89982-282-0   COPY
ISBN 13
9784899822820   COPY
ISBN 10h
4-89982-282-0   COPY
ISBN 10
4899822820   COPY
出版者記号
89982   COPY
Cコード
C0039  
0:一般 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2015年9月
書店発売日
登録日
2015年9月8日
最終更新日
2015年9月8日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

沖縄各地で古くから一年の折々におこなわれてきた行事と、供えものや道具といったそれらをめぐる品々について、なりたち、意味、名称の語源、地域による特色や時代による変遷といったことがらを書き綴りました。さらに、これらにまつわる余話、二十四節気なども紹介しています。「故きを温ねて新しきを知る」。その妙味を存分に味わえる一冊です。

目次

はしがき
〈春〉
新たな年の新たなしきたり  ソーグヮチ 1月1日
お茶の子さいさいとはいかず  ウチャヌク
お墓でランチはいつですか  ジュールクニチー 1月16日
どなた様もご自由に   ジューハチヤ 1、5、8月18日
酒と奥様の関係性  ウマチー  2、3、5、6月15日
へそくりの送金、七日間限り  ニングヮチヒガン 春分を中日とする7日間(2月中)
地獄の沙汰も金次第  ウチカビ
強めるのか清めるのか  ヤシチヌウグヮン 2月、8月、12月など
流しすぎもほどほどに  シーミー 清明の節内(3月ごろ)
本当は入れものの名前ですが  ジューバク
浜辺の女子会  サングヮチサンニチー 3月3日

〈夏〉
立入禁止の季節です  ヤマドゥミ 4月から5月ごろ
田畑の虫から体の虫まで  アブシバレー・ムシバレー 4月15日など
ポーポー・チンビンの謎  ユッカヌヒー 5月4日
あの世のお家のこの世の買いどき  ユンヂチ
豊穣喜ぶ夏のムシ チナヒチ  6月から8月ごろ

〈秋〉
いますが如くにウトゥイムチ  シチグヮチ 7月13日から15日まで
そろそろお帰りいただきたく  ヨーカビー・シバサシ 8月上旬ごろ
小豆と獅子舞  ジューグヤー 8月15日
さすがに毎年は行けませんので  カミウガミ 9月ごろ
ウユミシチビの経済効率向上策  ウチジフェーシ
長寿の薬は花か葉か  チクザキ 9月9日

〈冬〉
やはり牛でなければ  シマクサラシ 10月など
旧暦の危機迫る  旧暦2033年問題
ジューシーを待ちかねて  トゥンジー 冬至の日(11月中)
鬼と亡霊と餅と子ども  ムーチーウユミ 12月8日など
神の世への七つのかけはし  ウグヮンブトゥチ 12月24日など
沖縄の常識、世界の非常識  ヒラウコー
みんな一緒に年を取る  トゥシヌユール 12月末日
供えものは誰のもの  ウサンデー

あとがき
主要参考文献

前書きなど

近ごろ沖縄では、伝統的な年中行事や冠婚葬祭、とくにウグヮンといわれる祭祀儀礼のすすめかたを解説した、いわゆるマニュアル本の刊行がたいへんさかんです。
仕事がらもさることながら、もともと私にとっては関心の高い分野ですので、自室の書架にはこのたぐいの本がずいぶんとならんでいますが、そのなかでもやはり巷の評判の高いものは、若い世代にも実践しやすいようわかりやすくまとめられていて、読みすすめるにつれ、なるほどこれなら当然ベストセラーになるはずですよと唸らされます。しかし、その一方で、かなり特殊な事例をあたかも一般的であるかのように紹介したり、真偽のほどさえ定かでないようなことが書かれたりといった、相当に危なっかしいマニュアルも一部にみられます。
また、古くから地元の人々に尊崇されてきた各地の拝所や寺社のたぐいを、特別な「気」を得ることのできる場所、いわゆるパワースポットとして紹介したものや、霊的職能者であるユタについて、人の未来や運命を予見する力をもった存在として扱ったものなど、昨今はやりのスピリチュアルな側面から沖縄の伝統的な信仰の世界をとらえなおした本も、かなりの数が刊行されているようです。
実際のところ、いささか玉石混淆といった感もあるものの、いずれにせよ、近年しきりにこのような本が刊行されるということは、沖縄の伝統的な祭祀や信仰といったものに寄せる、世間の関心の高さをしめしているのでしょう。
この『沖縄しきたり歳時記』もまた、沖縄のしきたり、なかでも伝統的な年中行事やウグヮンに関する本ですが、書名に「歳時記」という語を用いたことからもおわかりいただけますように、県下各地で古くから一年の折々におこなわれてきた行事と、供えものや道具といったそれらをめぐる品々について、なりたち、意味、名称の語源、地域による特色や時代による変遷といったことがらを書き綴ったものです。くわえて、これらにまつわる余話などもいくつか取り上げました。
近ごろ人気を博している行事マニュアル本のような実用性や、スピリチュアルな面を強調した本のような戦慄感めいたものは、ほぼ皆無といってよいかと思いますが、本書では逆に、そういったものではあまり採られないようなことがらを、つとめて紹介したつもりです。たとえるならば、落穂拾いのようなものといえましょうか。
私のごく幼いころには、大正はもちろん、明治生まれのお年寄りもまだずいぶんとおいでになり、ウユミシチビ(年中行事)やウスーコー(法事)などがあるたび、「なぜこんな行事があるのか」とか、「なぜこんなものをお供えするのか」とか、何の遠慮もなくあれやこれや、相当にしつこく尋ねたものです。
しかし幸いにも、私の身近においでになられたンメー(おばあさん)やタンメー(おじいさん)方は、どうせ子どもの聞くことだからと適当にあしらうこともなく、どなたもひじょうに丁寧に、いろいろと教えてくださいましたから、私の好奇心はすっかり充たされ、それはもうたいへんに楽しく感じたものでした。思えば、私が沖縄の行事やしきたりについて強く興味と関心を抱きはじめたのは、このころだったのでしょう。
以来、その魅力にひき込まれ、多くの「もの」に実際にふれて学び、多くの方々に直接おうかがいして教えを乞うことを続け、今日までの年月を過ごしてまいりましたが、本書は、そのなかでも私がとりわけおもしろいと感じたことや、新鮮な驚きを覚えたことなどを、ぜひ多くの皆さまにもお伝えしたいとの思いで書き綴った一冊です。
これまでに、私が折にふれ味わってきた、点と点が結ばれて線となり、やがて面をなしていくのを見るような楽しさ、「故きを温ねて新しきを知る」ことの妙味を、本書をお読みくださる皆さまにもお感じいただけたならば、これにまさる喜びはありません。

版元から一言

沖縄は本土と異なる習俗・文化が存在する。民間信仰の分野においても同様で、こうした年中行事や祭祀は現在でも広く行われている。しかし社会の近代化に伴い、これまで世代で伝えられてきた祭祀のとりおこない方やその意味合いが分からなくなった、という声もよく耳にする。本書は、年中行事や供えもの、道具などの意味について、やさしい語り口でつづるエッセイである。多くの疑問に応える内容であるのはもちろんのこと、さらにその世界の奥深さを知ることができる。二十四節気についても平易に解説、沖縄独自の季節のうつろいも味わえる。美しい装丁も魅力。

著者プロフィール

稲福政斉  (イナフク マサナリ)  (

那覇市出身。現在、沖縄国際大学総合文化学部非常勤講師、南島文化研究所特別研究員、糸満市史編集嘱託、糸満市・うるま市・北中城村・中城村文化財保護審議会委員、宜野座村立博物館運営協議会委員などをつとめる。

〈主な論考など〉
「沖縄の紋章」(『浦添市美術館紀要』第12号、2003年)
「青い仏具は海の色―変容する習俗とつくられる伝承―」(『宜野座村立博物館紀要 ガラマン』16、2010年)
「御玉貫についての試論」(『沖縄のガラス・玉等製品関係資料調査報告書』、沖縄県教育委員会、2011年)
「近世琉球における書跡の用印」(『沖縄県立博物館・美術館紀要』第5号、2012年)
「久米村の祭祀儀礼と門中組織―おもに現行の事例を通して―」(『チーシンブー』第7号、久米崇聖会、2015年)

上記内容は本書刊行時のものです。