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田んぼの恵み 八重山のくらし
- 初版年月日
- 2010年2月
- 書店発売日
- 2010年3月10日
- 登録日
- 2010年2月19日
- 最終更新日
- 2014年5月2日
紹介
沖縄、奄美の戦前・戦後の島の歴史やさまざまな伝承とくらしの知恵を聞き書きでまとめたブックレット「聞き書き 島の生活誌」の第三弾。本巻は水田地帯が広がる八重山の西表島と石垣島の稲作、天水田が頼りだった波照間島、海を越え西表島に通って田を作った竹富島と鳩間島など、島ごとの稲作と畑作のさまざまな関わり、島で神司の役割を担った人、最南端のお寺の住職などが語るさまざまな島の生活誌。「ヤマネコは神の使い」だと語る西表の人、自然の中に神々の姿そのものを認める暮らしのあり方は、これからの人間の生き方への大切な指針です。
目次
第1章 西表島祖納・ヤマネコは神の使い
島に戻って/西表の稲作の特徴/七回耕して草を押さえる/本土なみ買い上げ制度が始まるにあたって/いやいやカメムシ防除を始める/農薬を撒いたかどうかで等級を決めたのでは?/アイガモ稲作でヤマネコと共存/アイガモが鳴くだけで田んぼが楽しい/西表で米をつくる意味/金儲けは都会ですればいい/ヤマネコは紙の使い
第2章 西表島祖納・神司として島をまもる
芸能一家に生まれる/神司から逃げようと那覇・台湾へ/二度目の「ハハキトク」/神司の役割/雨乞いをする/仲良川での雨乞いの儀式/昔のしきたり/石垣島に引っ越して/神司の交代の儀式/蜂に刺されて/神のものと仏のもの/一日一日を守られて/畑の楽しみ/島の人たちへのことば/別れがたい思いで/おわりに
第3章 波照間島・天水田と畑
田んぼの話/田んぼの周辺の自然/繊維を利用する植物/ヤギのえさ/土地改良で景観が変わった/畑仕事/畑の種類/薪の利用/材木は西表から/ヤシガニのこと/島のその他の植物や虫など/リーフの生き物
第4章 竹富島・日本最南端のお寺で
島からのことづて/自然が失われていく/世代わりの中で/あいさつをする習慣/餞別は畑のもの/ナカッスという怖い監視役の思い出/竹富島の無縁仏はみな寝そべっている/海の幸のいただき方/今の人が忘れていること
第5章 鳩間島・海上を通う田仕事
海上を超えての田んぼ作り/子どもの手伝い/水の苦労/田んぼ周りの獲物/ヤマネコとジェット機のこと/薪取りと島の畑/海の幸/西表は生活の糧の場/島の変化
第6章 石垣市川平・数少ない稲作地
苗の取りかたの違い/緑肥の話/田んぼの話あれこれ/家畜のこと/繊維を使う植物/田んぼの周囲の生き物たち/畑のこと
前書きなど
黒潮洗う島々の、世界的にも貴重な自然と文化の多様性に魅せられた私たち「総合地球環境学研究所・列
島プロジェクト・奄美沖縄班」では、地域のみなさんからたくさんのお話をうかがってきました。島の歴史
や、さまざまな伝承と暮らしの知恵の数々……。そうした宝物を読みやすい「聞き書き」の形で島々と地球
の未来をになう世代に届けたい。それが私たちの願いです。①『野山がコンビニ――沖縄島のくらし』、②『ソ
テツは恩人――奄美のくらし』に続いて、歌と伝承と自然の宝庫・八重山の島々での聞き書きを収録しまし
た。同時刊行の④『海と山の恵み――沖縄島のくらし2』とともに自然の恵みを語ります。
沖縄の作物の代表はサトウキビといわれますが、八重山ではそれが稲でした。山と川があり水田地帯が広
がる西表島と石垣島。天水田が頼りだった波照間島。海を越え、西表島に通って田を作った竹富島と鳩間島。
島ごとに稲作と畑作へのかかわり方は実に多彩でした。そうした環境条件の違いにもかかわらず、どの島の
語りにも共通して響いているのは、身近な自然にこまやかな目を注ぎ、大いなる自然の恵みをいただけるよ
う謙虚に祈ってきた島人たちの心でした。ヤマネコは神の使いだと西表島の農民は語ります。自然の中に神々
の姿そのものを認める暮らしのあり方は、これからの人間の生き方への大切な指針です。
お世話になった島の方々と湯
上記内容は本書刊行時のものです。