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沖縄文学の諸相 仲程 昌徳(著) - ボーダーインク
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沖縄文学の諸相 (オキナワブンガクノショソウ) 戦後文学・方言詩・戯曲・琉歌・短歌 (センゴブンガク ホウゲンシ ギキョク リュウカ タンカ)

文芸
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四六判
256ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-89982-168-7   COPY
ISBN 13
9784899821687   COPY
ISBN 10h
4-89982-168-9   COPY
ISBN 10
4899821689   COPY
出版者記号
89982   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2010年2月
書店発売日
登録日
2010年3月22日
最終更新日
2010年3月22日
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紹介

沖縄の文学作品には時代の歴史が深く刻まれている。沖縄の文学はいかに「琉球語」を取り込み、どう生かそうとしたの長い歴史があり、それらを戦後文学の出発、方言の展開、戯曲、短歌の分野から沖縄近代表現の軌跡をたどる。

目次

前書きに代えて──沖縄文学の二系統 

Ⅰ戦後文学の出発 
  戦後沖縄文学の出発 
  揺籃期の児童文学──戦後沖縄における児童文化運動の展開 

Ⅱ方言詩の出発・開花 
琉球方言詩の展開──あと一つの沖縄近・現代詩  
方言詩の世界 

Ⅲ戯曲の革新と展開 
  演劇革新への胎動──「時花唄」をめぐって 
  王国の解体──「首里城明渡し」をめぐって 
  位牌と遺骨──二つの「出郷作品」をめぐって 

Ⅳ海外の琉歌・戦後の短歌 
  摩文仁詠歌の地平──短歌の中の戦争 
『Hawaii Pacific Press』紙に掲載されたペルーの琉歌

あとがき

前書きなど

あとがき

私の所属した学科の専攻課程には、一年に一回発行される『日本東洋文化論集』と言うのがあった。「あった」というのは、私が勤めを終えたことによるからで、「ある」というのが正確だろうが、私は、勤めていた間、年一回の発表を教員の義務だと考えていた。何よりもそこは、私の仕事の大切な発表場所であった。
学部ではまた、ラジオ、テレビ等の放送局と組んで、公開講座を行うことがあり、そのためのテキスト作りや、さらには文部科学省科学研究費の助成を受けての成果報告書刊行のための原稿作りというのがあって、それらが私のもう一つの仕事であった。
法政大学沖縄文化研究所が、[叢書・沖縄を知る]の一冊として、沖縄文学に関する一冊を加えて下さるとのことで、これまで発表してきたものを整理してみたところ、私の仕事の多くが、それらに発表されていたことが、あらためてわかった次第である。紀要や研究成果報告書に発表した論考はいうまでもなく、公開講座のテキストなど一般にはほとんど目に触れる機会もないのではないかと思い、この際、それらを中心にまとめてみた。
初出は次の通りである。
前書きに代えて 沖縄文学の二系統──『沖縄文学選 日本文学のエッジからの問い』勉誠出版 
    二〇〇三年五月一日
 戦後沖縄文学の出発──『琉球大学放送公開講座5 沖縄の戦後史』琉球大学公開講座委員会  
    一九八七年九月二六日
 揺籃期の児童文学──戦後沖縄における児童文化運動の展開──『アメリカ占領下における沖縄文学
    の基礎的研究』平成一三年~平成一六年度科学研究費補助金研究成果報告 二〇〇五年三月。
 琉球方言詩の展開──あと一つの沖縄近・現代詩──『岩波講座 日本文学史第15巻 琉球文学、沖    縄の文学』岩波書店 一九九六年五月八日
 方言詩の世界──『日本語論 第二巻第八号』山本書房 一九九四年八月一日
 演劇革新への胎動──「時花唄」をめぐって──『日本東洋文化論集 第10号』琉球大学法文学部     二〇〇四年三月二九日。(二〇〇二年七月六日、第二七回沖縄芸能史研究会大会において「汀間と雑感」    の演題で話した原稿に手を加えたものである)
 王国の解体──「首里城明渡し」めぐって──『日本東洋文化論集 第14号』琉球大学法文学 二〇〇八年三月二九日
 位牌と遺骨──二つの出郷作品をめぐって──『日本東洋文化論集 第11号』琉球大学法文学部二〇〇五年三月二九日(二〇〇四年三月九日から一二日にかけて行われた法政大学国際日本学研究所主催「国際シンポジウム 沖縄のアイデンティティー」で使用した原稿に手を加えたものである。ジョン・シロタ作「レイラニのハイビスカス」は、日本語初演用として山里勝巳氏によって訳された台本を使用した)
 摩文仁詠歌の地平――短歌の中の戦争──『なんぶ文芸 創刊号』二〇〇一年八月
 『Hawaii Pacific Press』紙に掲載されたペルーの琉歌──『移民研究No2』琉球大学移民研究センター 二〇〇六年三月(第一〇回WUB世界大会ペルー二〇〇六「カンフェランス沖縄移民」二〇〇七年一月三〇日、リマ スイスホテルで使用した原稿である)

本書に収録した論考は、あまり人目につかない刊行物に発表されたものであるだけでなく、これまであまり取上げられることのなかった作品類だと思うが、それぞれが、大切な問題を投げかけていた。
沖縄の文学は、いかに「琉球語」を取り込もうとしたか、或はそれをどう生かそうとしたかの長い歴史があったことを改めて思う。そして、それぞれの作品が、それぞれの時代の歴史を深く刻みこんでいた。ここに収録した論考は、そのことを、あの手この手を使いながら、あぶりだそうとしたものである。論の成否はともかく、沖縄の文学の特質がどのような点にあるか、感じていただければ幸いである。
論文集の刊行、しかも目立たない作品を取扱った論考をその内容とする論文集の刊行に尽力くださった法政大学沖縄文化研究所所長屋嘉宗彦氏をはじめ運営委員の方々そして編集を担当して下さったボーダーインクの池宮紀子さんにこころからお礼を申し上げたい。   
二〇〇九年七月一七日
    仲 程 昌 徳

著者プロフィール

仲程 昌徳  (ナカホド マサノリ)  (

1943年8月 南洋テニアン島カロリナスに生まれる。
1967年3月 琉球大学文理学部国語国文学科卒業。
1974年3月 法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻修士課程修了。
1973年11月 琉球大学法文学部文学科助手として採用され、以後2009年3月、定年で退職するまで同大学で勤める。
主要著書
『山之口貘――詩とその軌跡』(1975年 法政大学出版局)、『沖縄の戦記』(1982年 朝日新聞社)、『沖縄近代詩史研究』(1986年4月 新泉社)、『沖縄文学論の方法――「ヤマト世」と「アメリカ世」のもとで』(1987年10月 新泉社)、『伊波月城――琉球の文芸復興を夢みた熱情家』(1988年5月 リブロポート)、『沖縄の文学――1927年~1945年』(1991年3月 沖縄タイムス社)、『新青年たちの文学』(1994年12月 ニライ社)、『アメリカのある風景――沖縄文学の一領域』(2008年9月 ニライ社)、『小説の中の沖縄――本土誌で描かれた「沖縄」をめぐる物語』(2009年3月)等。

上記内容は本書刊行時のものです。