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ほっかいどう図書館物語
明治・大正期
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年7月1日
- 書店発売日
- 2022年7月9日
- 登録日
- 2022年6月24日
- 最終更新日
- 2022年7月11日
紹介
「できるだけ丁寧に考古学でいう表土採集をしていきたいと思う」
――「はじめに」より
「北海道図書館史年表」を基礎に、明治・大正期における北海道の図書館の全貌を明らかにすべく、事柄をできるだけ多くの史料にもとづいて辿り考察。図書館員のみならず、北海道で図書館と関わる人々に役立ててほしい研究専門書。
目次
はじめに
第1部 ほっかいどう図書館物語 明治期
1.前史
(1)松前藩徽典館萬巻楼文庫
(2)渋田利右衛門の文庫
2.明治元年~10年
(1)ケプロンと図書館設置の建言
(2)渡辺熊四郎と新聞縦覧所
(3)札幌に官設の新聞縦覧所
(4)札幌農学校図書室
(5)根室花咲小学校図書室
3.明治11年~30年
(1)思斉会と函館書籍館
(2)札幌司典社と北海道学友会
(3)温古舎文庫
(4)共同根室文庫
(5)福山教育会文庫縦覧室
(6)北海道庁舎3階に書庫設置
4.明治31年~35年
(1)図書館令の公布と教育会
(2)北海道教育会図書館
(3)北海道師範学校寄宿舎日新文庫
(4)札幌聖公会少年倶楽部文庫
5.明治36年~40年
(1)日蝕観測で生れた枝幸図書館
(2)地方小学校の図書、一般に公開
(3)根室共立書院と日高教育会図書館
(4)この頃、地方青年団に文庫設置
(5)網走図書縦覧所
(6)空知教育会図書館と巡回文庫
(7)函館毎日新聞社緑叢会附属図書室
(8)北九条尋常高等小学校附属通俗図書館
6.明治41年~45年
(1)地方改良運動と図書館
(2)札幌女子小学校戌申文庫
(3)私立森文庫
(4)私立函館図書館
(5)上川教育会附属図書館
(6)金田吉郎、道庁に図書寄贈
(7)児童図書館千代見園
(8)小樽高等商業学校図書館
(9)浅羽靖と北駕文庫
(10)釧路教育会附属図書館
(11)上磯竹馬会文庫
(12)沓形図書館
第2部 ほっかいどう図書館物語 大正期
1.教育会経営の図書館
(1)十勝教育会図書館
(2)室蘭区教育会図書館
(3)旭川教育会図書館
(4)檜山教育会図書館
2.共立書院と根室教育会図書館
3.森村教育会森文庫
4.札幌区(市)教育会附属札幌図書館
5.青年団経営の図書館
(1)丹羽村青年会玉川図書館
(2)松前郡大島村清部文庫
(3)沼田村青年団共成分団簡易図書館
6.学校附設の図書室・文庫
(1)豊水尋常高等小学校大典記念豊水文庫
(2)山鼻尋常高等小学校みゆき文庫
(3)東尋常高等小学校東児童文庫
(4)苗穂尋常高等小学校御成婚記念文庫
(5)大通尋常高等小学校児童文庫
7.高畠穂平と稚内尋常高等小学校日新文庫
8.千代見園(児童図書室)と彰善館
(1)寺井四郎兵衛について
(2)千代見園(児童図書室)
(3)彰善館の開館
(4)本院内に児童図書館の設置
9.村岡格と岳陽文庫
10.下村長蔵と下村文庫
11.寿都図書館
12.美瑛図書館
13.旅客の無聊を慰める列車図書館
14.北海道帝国大学附属図書館
15.北海道帝国大学司書 三城長二
16.図書館時代の島木健作
17.小樽図書館の設立と活動
(1)小樽教育会と図書館設立運動
(2)区立小樽図書館の開館
(3)市立図書館への移行
(4)開館後の利用状況
18.行啓記念北海道庁立図書館の開館
(1)札幌に図書館開設の意見
(2)道会において庁立図書館設置に関して決議
(3)文部大臣に設立の開申
(4)工事の着工から開館準備
(5)職員の配置と館則の制定
(6)庁立図書館の開館
おわりに
前書きなど
はじめに
図書館の歴史について学ぶ必要がない、といわれるかもしれないが本当にそうであろうか。特に図書館という場で仕事をしている人達は、これまでの我国における図書館の歩みを、そして地域の図書館の歴史を知らなければいけないのではないだろうか。将来の図書館の姿を考えようとするとき、図書館の歴史を学ぶことは非常に大切なことであると思うのである。
今日の図書館は、過去の図書館の事象とまったく無関係なものではない。これまでの図書館の歩みをたどることの中から、明日への飛躍の糧が生まれてくるであろうし、地域の図書館史が明らかにされていくことは、とりもなおさず日本図書館史研究の基礎となるものである。そういう意味で図書館員だけでなく、図書館と関わる人達はまず、郷土の図書館の歴史について知ることが必要である。
日本の図書館史についてこれまで多くの研究がなされてきている。はたして、北海道における図書館史研究はどうなっているのであろうか。既に先人によって一応の跡付けはなされているが、いまだまとまったものはみていない。それと同時に、今後発掘していかなければならない史料も多いようである。
できるだけ丁寧に考古学でいう表土採集をしていきたいと思う。だが、すでに遺跡の上には新しい建築物が建設されていたり開発が進んでいて、今になってトレンチを切って発掘を始めることはなかなか難しいようである。今後とも新しい資料がそうみつかるとは思われないので、これまで目にした範囲の資料は参考文献等に網羅するようにしたい。
弘化年間、第16代松前藩主昌宏が徽典館萬巻楼文庫を創設したのに始まり、「北海道図書館史年表」といわれるものはすでに編まれている。そこで筆者はこれらを基礎として、一つ一つの事柄をできるだけ多くの史料にもとづいて辿り、明治・大正期北海道図書館の全貌を明らかにしていきたい。
上記内容は本書刊行時のものです。