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介護員詩誌 誰も知らない話
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年3月31日
- 書店発売日
- 2021年4月9日
- 登録日
- 2021年3月25日
- 最終更新日
- 2021年6月2日
紹介
「ここは誰にも言ってはいけません、というのを前提にして運営しているって聞きましたけど。」
架空の相談室で交わされる介護員と相談員の「誰にも言えない、言わない」思いの数々。
日常詩からはじまる告白と対話はこれからも続いていく。
介護員の生きざまを見つめてきた元介護施設長から届いた28編のフィクション日詩物語。
※この物語はフィクションです。
目次
上梓に際し 続けよ ただ続けよ
誰も知らない話1 詩による自伝
誰も知らない話2 境界線
誰も知らない話3 村人然とした人
誰も知らない話4 事を起こしたい
誰も知らない話5 青春影の部分
誰も知らない話6 施設内での反骨心
誰も知らない話7 賞味期限
誰も知らない話8 海の日
誰も知らない話9 変遷
誰も知らない話10 未来予測
誰も知らない話11 リーダー登場
誰も知らない話12 静かに去った人
誰も知らない話13 やめた職員の再訪問
誰も知らない話14 さらば会社人間
誰も知らない話15 お嫁さん候補
誰も知らない話16 病院から転職の職員
誰も知らない話17 対価
誰も知らない話18 俺には明日はない
誰も知らない話19 実家への定期連絡
誰も知らない話20 ロマネスクを求めて
誰も知らない話21 ささやかな契約
誰も知らない話22 高級ホテルからの転職
誰も知らない話23 旅立ちの起点
誰も知らない話24 若者の発言
誰も知らない話25 ケアマネ受験の締めくくり
誰も知らない話26 軽い女性
誰も知らない話27 介護研究の発表
誰も知らない話28 恐怖と混乱を見続け
終わりの閑話
前書きなど
介護員詩誌「誰も知らない話」の上梓に際し
続けよ ただ続けよ
相談室へ来る方や、手紙でスマホで執拗に連絡をよこす人、人を介してなど、切れ目なく介護職員さんが相談にいらしてくれる。でもこっちとしては、マンネリ気分で気持ちが入らない時もあるでしょ。メンバーがそんな私を見て、「それぞれの方が出番を待っているみたいですよ」と促してくる。私は早速言い返す。
「いつまでこんな出会いを続けるのかなぁ」
「あらぁお言葉ですね、あなたは以前、私らに約束したはずでしょ。介護職員のお悩みにかけ合う、いつでも、どんな内容でも、無料で、それも上機嫌でやるって、メンバーにそう言ったのよ」
そうだね、確かにこれは私が初めに描いた絵だった。今じゃ相談を受ける側が6人に膨れ上がったが、その中の不協和音がひどい。
(中略)
それでも救いはさ、今じゃもう、力んではいませんし努力なんかもする気がないことです。これが進歩なのか退化なのかは分かりませんが、熱い思いで相談を持ち込んでくるみなさん同様、こっちも実は出番を待ちこがれている心境の時もあるのです。やっぱ、しゃべり合うことに喜びや楽しみがあるって知ってしまいましたから。そうね、相談に来られるみなさんと私は、同じ立場です。
介護員の方のそれぞれの話題に付き合う、それも500の話題に。そんな最初の目的達成までは簡単にはやめられません。
今まで介護員さんと「付き合い」を持って、「やっぱ分からんよ」とこっちは当惑ばかりだったンですが、最近累積相談が200話になってから、「なるほどね」と胸の重みが消えるのを感じることもありますし。その意味で信頼できる仲間も引きこんで、今回の出版上梓は私にとり、まだまだ「中継点」と感じているんです。
上記内容は本書刊行時のものです。