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現代医療とギリシャ神話
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年12月
- 書店発売日
- 2017年12月23日
- 登録日
- 2017年12月12日
- 最終更新日
- 2017年12月25日
紹介
北海道医療新聞の新春・夏季特集号での連載がご好評につき書籍化!
「現代医療」と「ギリシャ神話」の意外な関係性をまとめた今までにない一冊!
医学・医療の象徴は「蛇と杖」。何故か? アキレス腱は、何故弱点か?
「身体の部位」「心理学用語」「病名や症状」「薬剤名」など、
ギリシャ神話に由来して名付けられている理由とは?
目次
はじめに
序章 WHO、世界医師会、救急車、医師会のロゴマーク(印章)は蛇と杖
なぜ蛇と杖なのか―医神アスクレピオスの杖
ヒポクラテスの誓いとアスクレピオスの家族
第1章 身体の部位に関連する言葉
アキレス腱→英雄アキレウス
アトラス(第一頸椎)→オリンポス12神と戦ったティタン神族アトラス
チタン合金・タイタニック号→ティタン神族
アイリス(虹、瞳、あやめ)→虹の女神イリス
ハイメン(処女膜)→結婚の神ヒュメン(男性神)
プロメテウスの肝臓→肝臓の強い再生力
パンドラの箱→人類に初めて病気をもたらした
箱舟を造り生き延びた子供たち
ヒポカンプス(記憶に関係する海馬)→ヒポカンプス
ラビリンス(内耳=迷路、迷宮)→迷宮ラビリンス
ヴィーナス(アフロディテ)の丘→妖艶なアフロディテ
ミロのヴィーナスと絶対美(黄金比)
オリーブの木→アテナの贈りもの、延髄オリーブ核
タルス(距骨)→雌牛の首を持った青銅の巨人タロス
第2章 病名や症状に関連する言葉
・女神の嫉妬と怒り、それによる悲劇
エコー(やまびこ、こだま、医療機器)→オウム返ししかできなくされたエコー
ナルシシスト(自己愛)・ナルコーシス(昏睡)→自分しか愛せなくなったナルキッソス
狂犬病(リッサ)→狂気の神リュッサ
アラキノイド(くも膜)→くもにされたアラクネ
メズサの冠(頭)→醜い顔と頭の髪を蛇にされたメドゥーサ
瞑想(muse)、音楽(music)→ピタゴラスとひらめきの神ムーサたち
ダイ(ディ)アナコンプレックス→処女神アルテミスに鹿にされたアクタイオン
・アポロンの怒り
シヒリス(梅毒)→羊飼いの青年シヒリス
・他の病名
タイフーン(台風)・チフス(病気)→テュホーン(ギリシャ神話最大の怪物)
奇形 キクロプス症→キュクロプス
・ハルモニアの子供、孫の運命―悲劇の連鎖
第3章 心理学用語
エロスのいたずら、アポロンと月桂樹
エロス(生命、愛の力)とサイコロジー(心理学)→エロス(Eros)とプシュケ(Psyche)
サイレン(警報、警笛)→歌声で引き寄せる海の怪物セイレン
パニック(恐慌、混乱状態)、パンデミック(世界的流行)→恐怖と優しさを備えた牧神パン
フォビア(恐怖、恐怖症、病的恐怖)→敗走するアレスの子フォボス
エディプスコンプレックス→オイディプス王(父と知らずに父を殺し、母と知らずに母親を娶った王)
エレクトラコンプレックス→父を殺した母を殺す娘エレクトラ
ロミオとジュリエット効果→ピュラモスとティスベの愛の物語
カサンドラ症候群(聞き入れてもらえない妻の苦悩)→悲劇の予言者カサンドラ
第4章 薬関係
ヒプノディック(睡眠薬)→眠りの神ヒュブノス
アトロピン(瞳を開き女性を美しくする)→生命の糸を切るアトロポス
モルヒネ(強い鎮痛作用)→人の姿になって夢に現れるモルペウスス
アフロジシアカ(媚薬)→男を骨抜きにするアフロディテ
ミルラ(没薬・もつやく)→父親を愛したミュルラ(Myrrha)の悲劇
エオジン(色素)→暁の神エオス
第5章 細菌
プロテウス(変形菌)→変幻自在のプロテウス
おわりに
参考資料
前書きなど
はじめに
ギリシャ神話には、私たちにとって興味ある内容が豊富です。しかし、生活に直結しないこともあって、ギリシャ神話に関連する書籍を読んでも、その時は面白いと思ってもなかなか記憶にとどめることができません。長い間、何か良い方法がないかと考えてきました。
そのうちに、ギリシャ神話には医学・医療と関わりのあるエピソードが多いことが分かってきました。
例えば「蛇と杖」のシンボルマーク、これはどこにでも見られますが、何を意味しているのか、考えても分かりません。ギリシャ神話に由来するのですが、それを理解できている人はごく稀です。
そのほか、「身体の部位」「心理学用語」「病名や症状」「薬剤名」など、ギリシャ神話に由来して名付けられたものは多くあります。しかし、こうしたことを紹介している書物は、現在に至るまで不思議と見当たりません。
そこで、このような視点から神話に近づき、さらに派生するさまざまなことを含めて、まとめてみました。
なお本書は、医歯薬出版の月刊誌「臨床栄養」に2012年7月から2年間連載しましたが、紙数に限りがあったことから、加筆修正し、北海道医療新聞社の「週刊・北海道医療新聞」の特集号に改めて連載してきました。意外と評判がよく、多くの先生方から書籍にしてみたらどうかと勧められ、今回出版にこぎつけることになりました。
ギリシャ神話の舞台ははるか昔です。しかし神々の怒りや嫉妬は、現在の人々のそれと変わりありません。とても人間的で泥臭いのです。だからこそギリシャ神話は現代まで語り継がれてきたとも言えます。
きっと皆さんの共感を得られると思います。
上記内容は本書刊行時のものです。