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馬のいた風景
ユベオツの風に吹かれて
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年10月
- 書店発売日
- 2012年11月7日
- 登録日
- 2014年3月29日
- 最終更新日
- 2014年3月29日
目次
口絵
はじめに
第一章 仕事の仲間
第一節 馬橇と湯たんぽ
第二節 客土とマンボ名人
第三節 工場で 森で
第四節 ゴミとし尿収集
第二章 競馬と軍馬
第一節 江別競馬のはじまり
第二節 馬政計画のこと
第三節 戦争と軍馬
第四節 競馬から鍛錬会へ
第五節 帰らなかった馬たち
第三章 お祭りと供養
第一節 デンピン検査の話
第二節 村祭り 輓馬大会
第三節 馬の死と相互扶助
第四節 馬頭さま 観音さま
第五節 家畜屠場の話
第四章 俺にまかせろ 仕事師
第一節 こげた臭い 装蹄師
第二節 馬喰さん ご苦労さん
第三節 お忙しや 種付師
第四節 馬具屋さん がら職人
第五節 山四つ星 車橇職人
第六節 まちの獣医さん
第五章 いまも 街なかで
第一節 トラクターに逐われて
第二節 ポニーと息子たち
第三節 秋祭り 御輿渡御
第四節 乗馬で初詣
第五節 絵馬 美女の願い
あとがき
巻末資料
写真・図表一覧
参考文献
前書きなど
■あとがき
着想を得てから、もう六年になる。本書は題名が示すように、江別をおもな舞台として馬と人々の暮らしとの関わりについて書いた。取材を始めた頃、時折『ウマって、あの馬ですか?』と聞き返されたことがある。それも無理のない話だろう。今や街なかを歩いていて、馬をみかけることなど皆無に等しい。それは、競馬場や乗馬牧場など特別な場所でなければ見ることのできない、時間的にも空間的にも遠い存在となってしまった。
だが、時空をほんの少しさかのぼってみるだけで、どこにもかしこにも馬の姿とにおいがあった。そこでは人間同士にも義理人情の彩りがあり、ゆったりとした時の流れがある。おおらかで、のびのびとし、寛容の精神にあふれている。
(中略)
澄みわたった秋空の下、ゆったりと馬が草を食(は)む。そんな〈馬のいた風景〉に、せめて気持ちの持ちようだけでも戻れないものか。また、最近は食育ということばも耳にする。私たちの食生活は、生きとし生けるものの犠牲のうえに成り立っていることを噛みしめながら、感謝してゆっくりいただくのが食育の基本だと思う。家畜屠場の話はそんな気持ちも込めて書いた。
本書を読んで、何十年も頭の片隅にしまい忘れていた昔の記憶が呼び覚まされ、なつかしさとともに共感していただけたなら、幸いである。自身は、馬車追いと呼ばれた小運搬業の動静を盛り込めなかったことが心残りであるが、それはまた別の機会に譲ることとする。
(後略)
上記内容は本書刊行時のものです。