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林業構造問題研究 餅田治之・遠藤日雄(編著) - 日本林業調査会
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林業構造問題研究 (リンギョウコウゾウモンダイケンキュウ)

自然科学
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A5判
262ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-88965-242-0   COPY
ISBN 13
9784889652420   COPY
ISBN 10h
4-88965-242-6   COPY
ISBN 10
4889652426   COPY
出版者記号
88965   COPY
Cコード
C0061  
0:一般 0:単行本 61:農林業
出版社在庫情報
絶版
初版年月日
2015年3月
書店発売日
登録日
2015年4月13日
最終更新日
2020年12月9日
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紹介

10名の研究者が日本林業の根本的な課題解決に迫る。

目次

はじめに 餅田治之 3

【第1章】遠藤日雄
近代化と日本の森林・林業・木材産業構造 11
はじめに 11
1.近代化論の系譜と近代化の再定義 13
2.基本法林政の近代化路線とその破綻(1960年~1970年代央) 18
3.上からの近代化政策=地域林業政策の登場(1970年代央~1990年) 20
4.上からの近代化政策の強化=流域管理システムの登場(1990年~2000年) 25
5.上からの近代化政策の後退=森林・林業基本法の登場(2000年~現在) 28
6.市場メカニズムに基づいた下からの木材産業近代化の展開 31
むすび―森林・林業・木材産業近代化の行方 45

【第2章】志賀和人
森林管理の基層理解と林政研究 55
1.現段階の森林管理問題と林政研究 55
2.森林管理論の研究対象と方法 61
3.森林管理の基層と長期持続性の構造転換 65
4.小括:森林管理の伝統と革新 75

【第3章】餅田治之
育林投資の新段階―TIMOおよびREITの現状とその世界史的意義について― 81
はじめに 81
1.アメリカで展開しているTIMOおよびREITの動き 82
2.TIMOやREITに投下される資本の経済学的な評価について 89
3.資本主義的機能資本としての育林資本 94
4.新たな育林資本の世界的展開とその成立条件 95
5.TIMO・REITによる林業投資の歴史的意味 98

【第4章】山田茂樹
1990年代以降のわが国林業構造の変貌 119
1.本章の課題 103
2.製材・加工事業体のビジネスモデルと林業構造 104
3.1990年代と2000年代の製材・加工業のビジネスモデルと林業構造 107
4.残された課題 112

【第5章】堀 靖人
林業における協業 119
1.問題の所在 119
2.林業生産とは 120
3.林業の協同のタイプ分けと森林管理における社会的分業 122
4.農業における協業(共同化)について 128
5.参考資料 132

【第6章】山本伸幸
「林業の構造矛盾」について―フィンランドの経験を手掛かりに― 141
1.「林業の構造矛盾」 141
2.二つの森林所有者共同組織 143
3.フィンランドの黎明と混沌 146
4.第二次大戦後の管理森林組合の展開 150
5.第二次大戦後のメッツァリートの展開 152
6.フィンランドの経験と「林業計画制度」 154

【第7章】岡 裕泰
持続可能な森林経営を導く木材価格決定や造林投資についての理論的検討 163
はじめに 163
1.価格と費用が所与でその変化が予見可能な場合の最適土地利用 167
2.資源利用の決定と均衡価格との相互作用 169
3.木材価格の決定 171
4.将来が不確実な現実の中での伐採・更新の判断 172
5.人工林配置調整過程における問題の検討 174

【第8章】藤掛一郎
育林経営による立木供給行動のモデル分析 177
はじめに 177
1.育林経営モデル 179
2.考察 189
3.結び 195

【第9章】大塚生美
人工林育成的林業の2000年代の局面―アメリカ・日本における既往研究からの考察― 199
はじめに 199
1.アメリカの新たな投資に関する我が国林政分野の先行研究 200
2.新たな森林投資に関するアメリカにおける研究の到達点 201
3.2000年代の人工林育成林業に影響した出来事―リーマンショックの影響― 210
おわりに 213

【第10章】加藤衛拡
検地帳に基づく壬申地券の発行とその役割―江戸・東京近郊山村を例に― 219
1.壬申地券研究の課題 219
2.埼玉県西南部における寛文検地と壬申地券の発行 224
3.上・下名栗村における寛文検地と帳面改め 227
4.上・下名栗村における壬申地券の発行 231
5.上名栗村における壬申地券に基づく租税徴収 238
6.壬申地券の発行と村請制 242

おわりに 遠藤日雄 251

執筆者一覧 259

前書きなど

●「はじめに」から
 平成22年から行われた森林・林業再生プランの論議では、林業構造に関する基本的な認識のないまま、「自給率50%、素材生産量4,000~5,000万m3」が前提とされてしまったために、林業のビジョンとしては重要な側面が抜け落ちた議論となってしまった。
 いまからおよそ50年前、林野庁は林業基本法の策定に向けて「林業基本問題調査会」をつくり、わが国林業が直面する基本的課題についてかなり徹底した検討を行った。それは日本林業を構造的に把握するわが国初の試みとなり、その構造論的な現状把握を基礎とした政策が基本法林政の骨格とされたのであった。これに対し、再生プランが議論された時、何が林業における基本的な課題なのか、必ずしも十分議論はなされなかった。私見によれば、再生プランが議論される以前、林野庁は平成18年から22年まで「新生産」の事業を展開しており、さらにそれ以前の3年間、いわゆる「新流通」の事業が実施されていた。これらの事業は、わが国の木材工業が国産材利用の復活を推し進め、結果的にわが国林業の構造を大きく変化させた事業であった。しかし、再生プランが議論された時、この二つの事業がわが国林業をどのように変えたのか、何を変えることができなかったのか、また変革の限界がどこにあったのか等について、十分に議論が行われ、認識が深められたとは思えない。極端なことを言えば、再生プランの議論では、日本林業に関する構造論的認識を十分深めないまま、数値目標に沿った政策手法を示したために、事の本質を突くことができなかったように思われるのである。その結果、人的資源の育成、生産面における新たな機械化、集約化を進めるための計画制度の改正や補助金支出方法の改正など、いわば技術的な側面についての対応策ばかりが、再生プランの骨子とされてしまったと言ってよい。
 以上のような構造問題に関する考察の欠如は、今日の政策樹立過程についてばかりでなく、近年の林業経済研究一般においても指摘できる。今日の研究は、どちらかと言えば「現象の把握」に重点が置かれ、その現象の背後にある意味とか論理性、あるいは現象を構築している関連要素の相互関係の考察といった側面には、関心が向きにくくなってきているように思われる。そのためにも構造論的認識が要請されるのである。

版元から一言

10名の研究者が日本林業の根本的な課題解決に迫る。

上記内容は本書刊行時のものです。