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オーストリア辺境の旅
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2010年7月
- 書店発売日
- 2010年8月9日
- 登録日
- 2010年7月24日
- 最終更新日
- 2023年8月4日
紹介
朝比奈隆率いる大阪フィルハーモニー交響楽団、初の欧州公演の記録「聖フロリアンの鐘」。名演ブルックナー交響曲第7番の誕生秘話が新訂版で甦る。また、モーツァルトやベートーヴェンの遺跡ほか、中世ヨーロッパの面影を残すオーストリア辺境の歴史遺産を訪ねる。
電子書籍版も発売中。詳しくは各電子書籍サイト(Amazon、honto、楽天kobo等)でご覧ください。
目次
■第一部 聖フロリアンの鐘(新訂)
1 一通の航空便/遙かなるヨーロッパ/ふくらむ期待
2 プランはできた/暗雲・石油危機/矢は放たる
3 指揮者造反/八方ふさがり/ブルックナーに賭ける
4 五人の音楽ファン/頼みの綱も/あと三〇〇〇万円!
5 募金をしよう/拡がる善意の波/曙光
6 悲劇の前兆/予算は承認されたが/沈黙のトランペット
7 ヨーロッパ下検分/中傷─李下に冠を正さず/競艇が助け舟
8 出発/微笑むレマン湖/スケルツォ
9 聖フロリアン修道院/エピローグ
■第二部 ウィーンの森の奥の物語
プロローグ
1 北の森の大作曲家たち
モーツァルトの遺跡捏造/ベートーヴェン遺書の家の疑問
ワインの町の謎の家/死の前年も北の森へ
2 森と石と豪族と
ヴァルトフィアテルとワインフィアテル/森の奥から海の幸、石の幸
ウィーンのセレブ憧れの貴石/異端者の町と城/ローゼンブルク城の惨劇
難攻不落の二城砦/霧雨に煙る亡命者の町/ゲマインデからマルクトへ
3 プランガー探訪
晒しの刑罰/その起源 大樹信仰の名残りか/裁判権のシンボル
ドイツ語圏最大のプランガー/騎士か死刑執行人か
さまざまな付属物/二時間晒された無実の娘/絞首台も残っている
4 勝者の驕り、敗者の悲惨
メーレンの十字架/処刑農民の石像
前書きなど
新訂版「聖フロリアンの鐘」では原著(第一法規版)に掲載されていた前書と後書、各国の批評、約三〇〇〇人の募金協力者名簿を削除した。主観を排除し、このような事実が実際にあった記録だけを残せばよいと考えたのである。この市民運動は今や忘れられているが、この頃幼児だった人が二〇一〇年には大阪府の知事である。楽壇の関係者もすっかり変わり、主要な登場人物の朝比奈隆、クロッペンシュタイン、野口幸助、橋本孝の諸氏を始め、報道関係者、募金協力者の多くが故人となった。
写真や取材に協力してくださった方の氏名は、原著を参照してほしい。小野寺昭爾氏と筆者のもとに本書に関する資料の大半は保管されている。
第二部の「ウィーンの森の奥の物語」は、大作曲家の話から始まりますが、一転して、少し暗いテーマの「敗者の歴史」になります。読者の方には異和感があったかも知れません。私事ですが高齢になって難聴が進んだので、あまり音楽を聞かないようになりました。かねがね一生涯、音楽の分野だけで終わってしまうのもつまらないと思っていましたから、オーストリアの辺境の地に残る中世の遺跡を探すことに興味を覚えました。余生のホビーですが、これもやはり若いときの聖フロリアン修道院での経験が影響していると思います。大学を辞めてからは毎年ウィーンの森の奥を訪ねて、旅先で得た資料と写真を寄せ集めてみました。私家版として制作した二〇〇三年の「ベートーヴェンの住居」と二〇〇五年の「プランガー探訪」を一部補筆して組み込んであります。
第一部は私の最初の出版であり、第二部はたぶん最終作になるでしょう。
オーストリアの辺境の地が舞台であることが、両者に共通しています。
版元から一言
第一部は復刊が待たれていた名ルポ「聖フロリアンの鐘」新訂版。第二部ではウィーンの森の奥を訪ね、知られざる中世ヨーロッパの歴史をひもとく。毎日新聞論説委員、大阪芸術大学教授を歴任した著者のライフワーク。
上記内容は本書刊行時のものです。