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次世代への贈りもの
滋賀の文化政策 -1970年代から21世紀へ-
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2008年6月
- 書店発売日
- 2008年7月28日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2014年4月26日
紹介
滋賀県の文化行政・文化プロジェクトに長年関わってきた筆者が「卒業 論文」として書き下ろした滋賀の文化政策の記録と、エッセイ・寄稿等 をまとめた一冊。淡海・滋賀が誇る有形無形の文化を見直すとともに、次世代の地域の文化政策の担い手たちの参考資料としておすすめ。
目次
第1章:滋賀の文化政策をふりかえって:記録
第2章:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
第3章:文化政策とその時代 ーエッセイ・講演・寄稿文ー
*新聞連載エッセイ:
日経新聞「あすへの話題」京都新聞「」サンケイ新聞「産経 from」
*寄稿・講演・インタビュー
テーマ「まちづくりと文化」「女性・しごと」「文化施設」
前書きなど
はじめに
1970年代後半、「地方の時代」「文化の時代」と標榜され、全国の自治体、特に都道府県レベルで、「文化」が行政課題として取り上げられるようになりました。ここでの「文化行政」は、法律による規制も中央省庁からの補助制度による誘導もなく、「文化庁文化行政」という「狭義の文化行政」を超えた、自治体の地域づくりかかわる「広義の文化行政」でした。各自治体が独自の取り組みを展開した分野であり、地方分権時代の自治体政策を先駆するものであったといえます。
この時代、滋賀県は、いち早く文化行政に取り組んだ自治体のひとつとして全国的に知られていました。私はこの時期から約4半世紀の大半を滋賀県で文化行政にかかわってきた一人として、滋賀県の文化政策の取り組みを記録しておくことが務めであろうとかねがね思っていました。
2001年12月には「文化芸術振興基本法」が施行され、法律の内容については議論が残るとはいえ、文化芸術の意義や必要性が法律でうたわれることになりました。ところが、2003年6月の地方自治法の改定により「公の施設」に指定者管理制度が導入され、文化施設にも適用されることになりました。この指定管理者制度の導入状況を見ると、「文化芸術振興基本法」で定められた文化芸術の社会的意義や必要性はどうなってしまったのか?と疑問に思うことが多々あります。さらには、自治体文化政策は文化施設の使命をどのように位置づけてきたのか、そして、現在どのように位置づけているのか。これも疑問に思われます。
2000年4月に「地方分権一括法」が施行され、自治体が自ら政策形成をする時代に入っています。なかでも文化政策は自治体独自の政策としてスタートしたものであり、いたずらに国の定めた「指定管理者制度」に縛られることなく、また、「文化芸術振興基本法」の範疇に閉じこめられることなく、自治体の文化政策を構築していくべき時であると考えています。
今あらためて、文化政策の意義、文化芸術の意義、そして、それを支える「文化施設」の使命について、自治体の中で再認識をする必要があろう。そのときに過去の文化政策がどのような経過をたどってきたか、文化施設の設置目的は何だったかを振り返ることは、過去の投資を無駄にしないためにも必要なことであると。遅きに失した感もありますが、かねて考えていた務めを果たすためにこの記録集をつくりました。
この記録が、次世代の地域の文化政策の担い手たちの参考資料となれば幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。