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指揮者の使命
音楽はいかに解釈されるのか
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月25日
- 書店発売日
- 2019年9月25日
- 登録日
- 2019年7月30日
- 最終更新日
- 2019年9月26日
紹介
指揮者と指揮者をめざす方、そして音楽を愛する方に……
原題は「指揮者という職業」で、プロ向けの記述が多いものの、クラシック好きなら本書に込められた著者の思いを共有できる一書になっている。モーツァルテウム管弦楽団元首席指揮者のラルフ・ヴァイケルトが、アマチュア向けとしても著した。
冒頭に「この本は、音楽、すなわち私たち指揮者が“解釈”と呼んでいるものに近づくためのものです」とあるように、指揮者が音楽をどう「解釈」するかをテーマにしている。本書はまた、スコアの本でもある。著者にとってスコアは作曲家の魂を刻み込んだ「聖書」であり、スコアをどう解釈するかが指揮者の使命なのである。
スコアにどんなアプローチすればよいか、オペラはどのように指揮するのか、アンサンブルのバランスをどう保てばよいか、声と音響について知っておくべきこと、そしてどのようにしたら作品について理解し正しい指揮者になれるのか、が本書の説く内容である。
本文は、指揮者が備えるべき素質と教養から書き起こされる。専門教育はもちろん必要だが、なによりも経験から得るものの大きさと、経験を活かせる人間性を重要視する。すなわち「この職業においては、多くのことが、否ほとんど全てのことが学ぶことができ、学ぶことによってのみ身につけることができるのです」というのが、著者にとっての指揮者像であり、人間観である。師のスワロスキーが伝えた「我々は行間ではなく各行の中を読まなければならない」という言葉が著者の信奉するところである。
もちろん指揮技術についての専門的な記述も多いわけだが、名言や逸話が随所に挟み込まれているため、一般読者も退屈せずに読了できるかもしれない。たとえば、カルロス・クライバーがプローベの最中に携帯のコールが鳴り響き、彼は激怒したがそれは彼自身の携帯だったなどの逸話も数多く紹介されている。ヴァーグナー、シュトラウスやモーツァルトなど作曲家に対する著者の思いも率直に吐露され、オペラの指揮についても多くの紙幅が割かれ、著者のオペラに対する愛情のほどもよく伝わってくる。
目次
Ⅰ.専門教育と活動
指揮者になるための条件
指揮は修得するもの
カペルマイスター
命を吹き込む
Ⅱ.スコアへのアプローチ
アプローチの方法
形式とテンポ
テンポと拍子
スコアの不可侵性
アーティキュレイションと強弱
リハーサルにおける細部の打合せ
Ⅲ.オペラの指揮とコンサートの指揮
歌劇場とコンサートホール
指揮のテクニック
自己理解
Ⅳ.声と楽器
手本は声
カンタービレとベルカント
アンサンブル
Ⅴ.空間と編成
コンサートホール
オーケストラの配置と編成
デュナーミク
暗譜して指揮すること
Ⅵ.歴史と現在
いまどきの指揮者
レパートリー
専門性
Ⅶ.リハーサルと本番
準備
予測不能なこと
*参考文献一覧、著者略歴、ディスコグラフィー、音楽用語解説、人名・作品名索引
上記内容は本書刊行時のものです。