版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
現代産業論 十名 直喜(著) - 水曜社
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:
注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

取引取次:
ト・日     書店
直接取引:あり
返品の考え方: 随時返品入帖可。返品了解書=佐藤了解済

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

現代産業論 (ゲンダイサンギョウロン) ものづくりを活かす企業・社会・地域 (モノヅクリヲイカスキギョウシャカイチイキ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:水曜社
A5判
208ページ
並製
価格 2,700円+税
ISBN
978-4-88065-436-2   COPY
ISBN 13
9784880654362   COPY
ISBN 10h
4-88065-436-1   COPY
ISBN 10
4880654361   COPY
出版者記号
88065   COPY
Cコード
C0060  
0:一般 0:単行本 60:産業総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年11月
書店発売日
登録日
2017年10月30日
最終更新日
2017年11月27日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

産業とは、ものやサービスを生産するための活動であり、ものづくり・ひとづくり・まちづくりにまたがる活動といえる。生産活動の多くを担うのが企業組織であり、ひとづくり・まちづくりと深く関わるのが社会組織や地域組織である。これら3者が、相互の強みや特徴を学び合い生かし合う三位一体的な関係へ、どう転換していくかが問われている。

 産業は、これまで機能的・技術的価値(実用性・利便性)に重きが置かれてきた。一方、人々が職場や生活の場で織りなす働き方や生き方、培われた熟練・独創・技巧などの技や文化など、体得した無形のもの、いわば産業の文化的側面そして文化的価値(芸術性、信頼性)の比重が急速に高まってきている。この両者を包括することにより、現実に根ざした奥深く多様な現代産業の実像を捉えることができる。

 本書は、ものづくり産業を軸に、企業・社会・地域にまたがる複眼的視点から、持続可能な等身大の循環型産業・地域づくりという、21世紀の課題に応える現代産業論を提示する。

目次

まえがき
序章 ものづくりへの新たな眼差しと現代産業論アプローチ
1 ものづくりへの注目と再評価
2「ものづくり=製造」論の歴史的背景
3 農山村地域のなりわいとしての「ものづくり」と柔らかな捉え方
4 ものづくりを活かす企業・社会・地域
 4.1 ものづくりを捉え直す
 4.2 日本発のオリジナルな「ものづくり」概念
 4.3 自然・産業・地域の再生課題に応える「ものづくり経済学」
 4.4 ひと・まち・ものづくりの三位一体による「等身大」の産業・地域づくり
5 経済学における産業論の系譜
 5.1 産業研究における2つの流れ
 5.2 産業の構造的・類型的把握と現代産業論への視座
6 日本産業研究の変遷
 6.1 戦前から高度成長に至る産業研究の流れ
 6.2 重化学工業研究と産業組織論
 6.3 ものづくり産業研究の新たな課題と視点
7 日本における現代産業論の到達点と課題
 7.1 個別産業研究と産業論との関係
 7.2 現代産業論の輩出と長期「迷走」トンネル
 7.3 現代産業論の再生に向けて
6 本書の構成─産業研究のわが歩みと試み

第1章 オリジナルな分析手法と個別産業論
1 現場(当事者)視点からの鉄鋼産業論─産業システム・アプローチ
 1.1 製鉄所現場からの眼差しと各分野研究
 1.2「 日本型フレキシビリティ」論 ─日本企業の経営・生産システムへの新たな視点とアプローチ
 1.3 日本鉄鋼産業分析の独自な体系化─産業システム・アプローチ
 1.4 グローバル産業・大企業体制への産業システム・アプローチ
2 第三者視点からの陶磁器産業論─「型」論による個別産業分析
 2.1 研究対象の転換と「型」論の視点
  1▶個別産業分析における対象と手法の転換
  2▶地域密着型産業・経営へのシステム・アプローチ
  3▶「型」産業論への新たなアプローチ
  4▶個別産業論としての展開─複眼的なアプローチ
  5▶複合型産業論としてのものづくり経済学・産業システム論
  6▶「型」産業論としての共通性─陶磁器産業と鉄鋼産業
2.2 現代産業論への「技術と文化」アプローチ
  1▶現代産業への新たな視点
  2▶現代産業論の3つの視点とものづくり
  3▶「型」の技術と文化
  4▶技術と文化、機能性と芸術性の融合
  5▶瀬戸ノベルティ産業の発展・衰退に学ぶ再生への視点

第2章 ものづくり経済学の創造と現代産業論
  ─個別化から普遍化への展開
1 ものづくり経済学へのアプローチ
 1.1 個別産業モデルから現代産業論への普遍化の課題
 1.2 有形・無形の概念と視点への注目
 1.3 「型」論の創造的展開─体系化への道を拓く
 1.4 ものづくり経済学と現代産業論への視座
  1▶現代産業論としての新たな展開
  2▶十名[2012.7]にみる3つのねらい
  3▶2つの基本視点
  4▶システム・アプローチの洗練化
2 ものづくり経済学の基本概念
 2.1 「型」とは何か
  1▶「型」論が担う現代的意味
  2▶「型」の文化と思想
  3▶「型」とは何か
 2.2 技術とは何か
  1▶技術をどう捉えるか
  2▶技術としての「手段や方法」
  3▶技術と「型」の比較視点
 2.3 「型」とものづくり
  1▶有形の「型」とものづくり
  2▶無形の「型」とものづくり─3Dプリンター出現の意味
 2.4 ものづくりとは何か─自然・人間観とものづくりの本質をふまえて
  1▶「ものづくり」にみる多様な含意と歴史的視座
  2▶伝統的な自然・人間観と最新研究の共鳴─ものづくりへの視座
  3▶ものづくりの本質と定義

第3章 ものづくりの核心と技能・サービス
  ─ものづくり経済学の深化・発展
1 ものづくりの核心と多様な見方
 1.1 知識社会における「ものづくり」への視座
 1.2 ものづくりと人間労働の経済学
 1.3 ものづくりと創造性─人間と自然の働きへの経済学的アプローチ
 1.4 ものづくりの核心は何か─「設計」と「転写」を問い直す
2 ものづくりと技能
 2.1 ものづくりの技能と現場
  1▶ものづくりと技能
  2▶現場と現場主義
  3▶「現地・現場・現物」へのシステムアプローチ
 2.2 技能継承の伝統と革新
  1▶現実空間と電子空間のあり方
  2▶技能継承の伝統的な手法
  3▶職人的技能と人間発達
  4▶現代の熟練と創造性
  5▶技能継承の困難化
  6▶技能継承の新たな試み
3 ものづくりとサービス
 3.1 サービスとは何か─技術・財との関係
 3.2 ものと機能・文化(意味)
 3.3 ものとサービスの融合

第4章 ひと・まち・ものづくり産業システムと人間らしさ
  ─現代産業への新たな視座
1 現代産業を捉え直す
 1.1 生業と職業への視座
 1.2 これまでの産業論の特徴と課題
 1.3「生業を生む力量」への産業論的視座
 1.4「わざ」と技能を生かす
2 ひと・まち・ものづくりの三位一体化
 2.1 産業への機能的・文化的アプローチ
 2.2 まちづくりとものづくりを有機的につなぐ
 2.3 産業・地域・労働の文化的創造─工場空間から社会空間への展開
 2.4 もの・サービスと地域・産業モデルの体系的把握
3 産業・技術の高度化・システム化が問いかける人間の存在意味
 3.1 分離・分化から人間主体の再結合・融合化へ
 3.2 工場・産業の発展と変容─過去・現在・未来
 3.3 技術の高度化・システム化と人間離れ
 3 4 人工知能の進化が問いかける人間の存在意味

第5章 持続可能な循環型産業システムと環境文化革命─日本型モデルの創造に向けて
1 環境文化革命と人間志向型技術進歩へのパラダイム・政策シフト
 1.1 人間らしい創造性と環境文化革命
 1.2 生命地域産業を軸とする「森と海の環境国家」創造に向けて
 1.3 技術進歩のあり方と人間発達
 1.4 持続可能な地域づくりと相互支援ネットワーク
2 持続可能な循環型産業システム─地域・産業・生命・時間への人類史的視座
 2.1 人類史的なマクロ視点と現場に根ざした等身大の視点
 2.2 持続可能な社会への人類史的眼差し
 2.3 定常指向と三位一体の地域・産業システム
 2.4 循環型産業システムと金融循環のあり方
 2.5「時間」価値をめぐる評価と政策
 2.6“Time is Money”から“Time is Life”へ─生命の生産と再生産への歴史的視座
3 ひと・まち・ものづくり産業システムと日本型モデル
 3.1 生業によるひと・まち・ものづくり
 3.2 ひと・まち・ものづくりの日本型モデル
 3.3 21世紀型「地域創生」のあり方─水平型の循環システムづくり
 3.4 産業システムの日本型モデル

第6章 知的職人による等身大の産業・地域づくり
1 等身大の循環型産業・地域づくり
 1.1 「等身大のシステム」づくり
 1.2 ひと・まち・ものづくりを担う組織の役割と課題─企業組織と社会・地域組織にみる相克から共鳴関係への歴史的視座
  1▶企業組織と社会・地域組織
  2▶情報革命と社会・地域組織の充実が促す企業組織の変革
2 グローバル経営に揺れる企業城下町のヨコ型ネットワークづくり
 2.1 ひたち地域の産業・歴史・文化
 2.2 ひたち地域のものづくりとグローバル化
  1▶日立グループのものづくりと企業文化
  2▶日立製作所にみるグローバル経営の加速化
  3▶グローバル化に揺れる企業城下町
 2.3 企業城下町からの転換に向けてのヨコ型ネットワークづくり
  1▶県北・ひたち地域への視座
  2▶ひたち地域にみるクリエイティブ中小企業
  3▶「ひたちなかテクノセンター」にみる公的支援ネットワーク
  4▶日立OBによる企業・技術支援ネットワーク
 2.4 企業城下町から新産業創造都市へ
3 中小企業と工業高校の連携が生み出すダイナミズム─ものづくりとひとづくりの「再発見」
 3.1 初等・中等教育における技術教育の課題
 3.2 工業高校の技術教育にみる「ものづくり」評価
 3.3 工業高校の衰退と専門性の揺らぎ
 3.4 東京発の中小企業(製造業)と工業高校の連携
 3.5 「 ものづくり基盤技術振興基本法」の成立とその背景
 3.6 工業教育における「ものづくり」の再評価と受容・浸透過程
 3.7 ものづくりとひとづくり・まちづくり
4 中小企業・行政・住民の協働による住工共生型ひと・まち・ものづくり
 4.1 東大阪モデルにみる中小企業主導のヨコ型ネットワーク
 4.2 東大阪のものづくりとフレキシブル分業システム
  1▶中小企業のヨコ型ネットワーク
  2▶東大阪におけるものづくり産業振興の経緯
 4.3 市民・企業・行政連携の住工共生型ひと・まち・ものづくり
  1▶住工共生と中小企業振興の一体的展開
  2▶住工共生のまちづくり条例
  3▶中小企業振興条例
  4▶住民主導のまちづくり─高井田まちづくり協議会などの取り組み
 4.4 未来を切り拓くひと・まち・ものづくりの創意的展開
5 固有の風土・産業・文化を活かした6 次産業経営型ひと・まち・ものづくり─周防大島の創意的挑戦
 5.1 離島再生に向けた「よそ者・ばか者・若者」の挑戦
 5.2 6次産業経営と地域おこし
  1▶瀬戸内ジャムガーデンの魅力とその秘訣
  2▶農家の知恵を活かした多品種少量の手づくり経営
  3▶瀬戸内ジャムガーデンの経営理念と今後の目標
 5.3 移住・定住に向けた行政の働きかけと創意工夫
  1▶定住促進協議会の発足と対外企画(移住フェア・半島ツアー等)
  2▶空き家バンクの活用
  3▶「職」の開拓と検証
  4▶移住・定住促進の仕掛け人にみる思いと創意
 5.4 移住者たちの起業と地域おこし
  1▶「うみとそらのたまご舎」にみる循環型農業の経営と新たな道
  2▶元番組制作者による島のアピールと「不耕起」農法
  3▶島のひと・ものをつなぐ軽トラ「走る魚市」
 5.4 21世紀をリードする循環型産業・地域づくり
6 知的職人による等身大のシステムづくり
 6.1 地域の誇り・アイデンティティを磨く域外交流と域内循環
 6.2 知的職人による循環型産業・地域づくり

終章 21世紀ものづくりシステムへの創造的挑戦─日本学術会議報告書[2008]をふまえて
1 はじめに
2 日本学術会議報告書[2008]の意義
 2.1「ものづくり」の定義と役割の明確化
 2.2「ものづくり科学」と「人工科学」の提唱
3 日本学術会議報告書[2008]の論点と課題
 3.1「ものづくり」とは何か
 3.2「ものづくり」の定義をめぐる行政への忖度
 3.3 問われる日本「ものつくり」伝統の軽視
 3.4 社会科学的な「生産」概念の欠落
 3.5 日本の伝統的な知見が反映されていない「有形」・「無形」概念
4 自然と人工の融合をめざす「21世紀ものづくり」の発展に向けて
 4.1 「 人工」・「人工物」把握で問われる地球的自然観
 4.2 より包括的な「ものづくり科学」さらには「融合科学」への発展
5 おわりに─循環型ものづくり理論と政策への社会科学的視座
 5.1 循環型地球資源観と「ものづくり」「ひとづくり」
 5.2 生命・ものづくり、自然・人工・人間の知性を問い直す
 5.3 ものづくり経済学と現代産業論の発展に向けて

あとがき

参考文献一覧
索引

著者プロフィール

十名 直喜  (トナ ナオキ)  (

1948年生まれ。名古屋学院大学教授。(株)神戸鉄鋼所勤務を経て、1992年名古屋学院大学経済学部助教授、1994年に京都大学博士(経済学)、1997年に名古屋学院大学経済学部・大学院経済経営研究科教授。2015年4月より名古屋学院大学現代社会学部および大学院経済経営研究科教授。

上記内容は本書刊行時のものです。