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内村剛介著作集 第5巻 内村 剛介(著) - 恵雅堂出版
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内村剛介著作集 第5巻 (ウチムラゴウスケチョサクシュウダイゴカン) 革命とフォークロア (カクメイトフォークロア)

全集
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発行:恵雅堂出版
A5判
縦195mm 横138mm 厚さ39mm
重さ 930g
613ページ
上製
定価 5,000円+税
ISBN
978-4-87430-045-9   COPY
ISBN 13
9784874300459   COPY
ISBN 10h
4-87430-045-6   COPY
ISBN 10
4874300456   COPY
出版者記号
87430   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年4月
書店発売日
登録日
2010年8月18日
最終更新日
2015年12月10日
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書評掲載情報

2011-07-24 読売新聞
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紹介

ロシアとは一個の「逆説」である。その象徴としてスターリンがある。……革命に突き進んだロシアの本質をフォークロアという視座から見据えたユニークなロシア・ソ連論。
●「ロシア文化」の文学的根拠としての「フォークロア」
スターリン・ラーゲリの囚人には、たとえ飢え切っても、労働の合間に詩を唄を口ずさんでいた詩人が存在した。このラーゲリ・フォークロアに関する親近から、著者のロシア文化への関心は口承芸術・フォークロアへの考究に赴く。このことは、たとえ飢えの極地にあったとしても真実を表現する、せざるを得ない存在ではないかという、著者固有の人間の誇りと言葉への確信にも通ずる。
●ロシアでは「馬鹿」が勝つ――逆説のロシア
著者によれば、ロシアを理解する鍵は「逆説(パラドックス)」にある。例えば、ロシアにおいては愚者が賢者に最終的に勝つ(イワンの馬鹿)。無知は力である(スターリン)=知は災いである(グリボエイドフ)。あるいは「逃亡こそ美徳」(コロレンコ)「弱き者こそ打て=ムジークを殴ればマッチを発明する」(ラーゲリ俚諺)など。この逆説のうちにロシアはその本質を顕す、と。
●ロシア・ナロードとは誰か
フォークロアの担い手としての「ロシア・ナロード」とは誰か。著者は、その本質は「ブラトノーイ=無頼=やくざ=マフィア」であり、そこを押さえることがロシアの運命を見究める上で重要であるという。本巻は、ロシア人の普通の佇まいから、ロシアやくざの動態までを視野におさめ、著者の肉眼を通した、聖から俗の極みに至るロシア及びロシア人論を収録する。
●ロシア革命&スターリニズムとは何であったか
20世紀にとってあのロシア革命とは何であったのか。革命の勝利は思想の中絶によってこそあがなわれたとする著者は、それが同時に「ユートピアへの磔刑」にほかならなかったことを示して、崩壊に向かうロシア・コムニズムの運命と20世紀の終末を重ね合わせる。

目次

  1

逆説のロシア
ことば・うた・民衆
チャストゥーシカのダイナミズム
ロシアに<ナショナルな>地霊―ゴーゴリとドストエフスキー
フォークロアと文学―さまがわりロシア文芸史
まじめなおふざけ―オクジャワのパロディと現代文学過程
ロシア・ナロードの名誉回復
ロシアは唄と涙に富む―ヴィソツキーの慟哭
邪宗門徒の不逞な<イコーナ>イメージ

関連書から―
井桁貞敏『ロシア民衆文学』/クラフツォフ編『口承文芸―ロシヤ』、プロップ『口承文芸と現実』 /クリュチェフスキー『ロシア史講話1』、石戸谷重郎『ロシアのホロープ』/斎藤君子編訳『イワン王子と火の鳥と灰色オオカミ―ロシアの昔ばなし』/斎藤君子編訳『シベリア民話集』

  2
ロシア風物誌(抄)
はじめに―ある・ぴい・あある/一人でも「隊」/赤の広場/左と右/インテリゲンチャ /ラーゲリ /パスポート現代史/レジャーは不自由? /鳥=人=自由 /国家浮気の説 /過疎 /プラン迂回術/商人 /ソビエトって? /詩人・運転手のはなし その一/詩人・運転手のはなし その二/ミューズとエロス /四畳半文芸 /ヌード・カクメイ /ユダヤ人/むすめさん /若い人/「タワリシチ」って「同志」のこと? /ラブファック /「らく」でない同音/茶/水・ウオッカ /<国技>床洗い /りんご/ロシアとフランスの仲

おロシャ今昔物語(抄)
不倫市民権/監獄文化の粋/幕間 /ほめ言葉 /神聖な恥部 /「はばかり」でない便所/尻ぬぐい/続・尻ぬぐい/リメンバー・ハルビン/ロシア演歌/第二のニュルンベルグを/タブーの罵倒/マート・システム /書かれざる名と法/アジア蔑視/姉妹や哀れ /女囚オカダ/流罪・流刑囚人 /知り過ぎ /牢獄語解/自由は意思/頭の不自由な人 /疑わしきは罰す /共産(全体)主義/無倫理・亡国/翔んでる言葉/師弟問答 /若き鶯の歌/国家犯罪の歌/ウグイスの民俗/人牛肉/リクルート奴隷/革命有罪

  3
モスクワの子どもたち
ナロードの心性
保守する味・ロシア
柔らかい頑固
大地のアイデンティティ―「母なる大地」とは
秘密のパラドックス
私事の交流をいま―ソ連のもの思う人びとに寄せる

  4
やくざカクシン
マフィアの土壌・ロシア
ロシアの賢愚

  5
十月革命の残照―ドイッチャー『武装せる予言者』
大陸草原の思想―デスターリニゼーションの基点
敗者の弁証法
トロツキーと日本の風土
スターリニズムの原基―トロツキー『スターリン』
スターリンは<トロツキスト>である
ブレスト・リトフスクからクロンシュタットへ
革命家のカルチュアとはなにか
勝利は思想の中絶によってあがなわれた
現代文学と革命思想
〈カオ〉と〈顔〉の間
レーニン―暴力革命肯定のニヒリスト
ソビエト的人間と共産主義―現代の言語変質について

  6
万里の長城―民俗の深部
魯迅の復権は面白くない……
不信の時代のモニュメント
巴金の時間―負け方の研究
関連書から―
包若望『毛沢東の囚人』/劉漢太『中国的乞丐群落』

解説=内村剛介を読む 沼 野充 義
解題―陶山幾朗

表紙題字 麻田平蔵(哈爾濱学院24期)
カバーデザイン 飯島忠義

前書きなど

沼野充義「解説」より
内村剛介の独得の勁さを支える根源がいったい何だったかと考えると、最後に辿り着くのは、特定の哲学でもイデオロギーでもなくて、言葉そのものに対する強烈な感覚ではなかったかという気がします。内村剛介の場合、それは辞書をこつこつ引くことに終始する学者的な机上の作業ではなく、何かもっと生々しいもの、つまり生身の人間として同じく生身の人間が使うものと向き合い、ときに共感し、ときに格闘していくという過程において常に捉えられていました。その感覚が目指す先は、結局のところ民衆、ロシア語でいう「ナロード」であり、民衆的な言語の感覚に向き合おうとする姿勢こそがロシア文学者としての内村剛介の際立った点、つまり、他の研究者的あるいは文人的、または職業的な翻訳家としてのロシア文学者などとは違っている点であると思います。

版元から一言

――今なぜ「内村剛介」なのか――
●二十世紀末の崩壊劇――「ユートピア」の終焉
・ 21世紀も、はや7年を経過した。前世紀の末、東西ベルリンを隔てていた「壁」が落ち、続いて東西冷戦の雄・ソ連邦が崩壊するのを目の当たりにした私たちだったが、しかし、何事によらず物事を忘却しやすい現代人にとって、こんにちこの記憶もすでに遠のき始め、世界も時々刻々とその様相を変容しつつある――まるでつい最近まで「ソ連」という国家が地球上に存在してことなど無かったかのように。
・ 二十世紀の終わりに生起したこの崩壊劇の象徴する意味を、私たちは何故忘れてはならないか。それは、そこにこそ私たちが等しく生き、また拠らねばならぬ地球の運命が懸かっているからである、と内村剛介は主張する。そして、世紀の変わり目において、今、あらためてわれわれはあの出来事に集約される歴史的意味を反芻し、これを継承していかなければならない、と。
・ あのとき、果たして最終的に何が「崩壊」し、何が「終焉」したのか。かつては「希望の星」として謳われ、未来への進路を領導すると世界に喧伝された「ソ連という夢」の、その無惨な瓦解劇が意味したもの。その結末がわれわれに指し示していたものとは――二十世紀を言わば「マルクス主義の時代」と仮に呼ぶなら、それは、或る眩しさとともに世界を覆った変革の教義としてコミュニズムの退場であり、それによって夢見られていた「ユートピア神話」の最終的な終焉であった。
●デモスと権力を見据えた内村「ロシア-ソ連論」
・ 内村剛介は、かつてスターリンの獄にあり、その獄の底からソ連国家の仕組み、その社会の実態をつぶさに目撃した。以後、抑圧的国家支配とそれに抗する人間(デモス)たちの生とが醸す軋みという問題は、彼の終生の課題となるが、この短かからぬ幽閉の歳月は、同時に、内村剛介にとって「母なるロシア」の本質、その大地に満ちる豊饒さの秘密を垣間見るという稀有な体験でもあった。
・ この体験を基底に据えながら、ロシアの民俗と文化への接近と、ロシア文学への深い理解に裏打ちされた内村剛介のロシア論が生み出されていった。それは、言わば聖から俗の極みまでを包含した「逆説のロシア」像であり、いわゆる「スターリニズム」と呼ばれた政治支配の構造からは決して被い尽くせない、ロシア・ナロードたちの不逞な生きる意志を見据えた、独特の「ロシア-ソ連」原論であった。
●冷徹な認識から繰り出される〈ジャパン〉批判
・ しかしながら、内村剛介が最も執着したテーマとは、ほかならぬ日本であり、「日本とは何か」という課題であった。この、おのが日本という問題を解き、真に愛しうべき日本を奪還する方途において、内村剛介はやはりロシアに拘わらざるをえない。自身の苛酷なロシア体験こそ、「日本」に到達する方法であったからである。
・ すなわち、眼前の日本を〈ジャパン〉と呼び、あえてこれをいったん遠ざけながら、ロシアに拘り、そのロシア経由して日本に至らんとする。この至難な道を行く彼にとって、「ロシア-日本」という往還運動は必須の作業となったのである。「わたしが内村剛介の仕事に関心をもつのは、かれが穿ちつづけているロシヤ語の世界と民俗とが、結局、〈妣〉なる日本と、西欧なる日本との空隙を埋めるための模索にほかならないとおもえるからである。」(吉本隆明)

著者プロフィール

内村 剛介  (ウチムラ ゴウスケ)  (

評論家、ロシア文学者。一九二〇年、栃木県生まれ(本名、内藤操)。一九三四年、渡満。一九四三年、満洲国立大学哈爾濱学院を卒業。同年、関東軍に徴用され、敗戦とともにソ連に抑留される。以後、十一年間をソ連内の監獄・ラーゲリで過ごし、一九五六年末、最後の帰還船で帰国する。帰国後、商社に勤務する傍ら文筆活動を精力的に展開し、わが国の論壇、ロシア文学界に大きな影響を与える。著書に『生き急ぐ―スターリン獄の日本人』、『呪縛の構造』、『わが思念を去らぬもの』、『ソルジェニツィン・ノート』、『流亡と自存』、『信の飢餓』、『失語と断念』、『ロシア無頼』、『わが身を吹き抜けたロシア革命』など多数。また訳書にトロツキー『文学と革命』、『エセーニン詩集』などがある。一九七三年から七八年まで北海道大学教授、一九七八年から九〇年まで上智大学教授などを勤める。
二〇〇九年一月死去(享年八十八)。

陶山 幾朗  (スヤマ イクロウ)  (

一九四〇年、愛知県生まれ。一九六五年、早稲田大学第一文学部を卒業。著書に『シベリアの思想家――内村剛介とソルジェニーツィン』、共著に『越境する視線―とらえ直すアジア・太平洋』、『内村剛介ロングインタビュー 生き急ぎ、感じせく―私の二十世紀』。『内村剛介著作集』(全7巻)編集構成。現在、雑誌『VAV(ばぶ)』主宰。

追記

関連項目 ロシア こと ば 民衆 チャストゥーシカ ダイナミズム ゴーゴリ ドスト エフスキー フォークロア 文学 ロシア文芸 オクジャワ パロディ ナロード ヴィソツキー 邪宗門徒 イコーナ 井桁貞敏 ロシア民衆 文学 クラフツォフ 口承文芸 プロップ クリュチェフスキー ロシア史 石戸谷重郎 ホロープ 斎藤君子 イワン王子 火の鳥 灰色オオカミ ロシアの昔ばなし シベリア民話集 ロシア風物誌 赤の広場 インテリゲンチャ ラーゲリ ソビエト 詩人 ミューズ エロス 四畳半文芸 ユダヤ人 タワリシチ 同志 ラブファック ウオッカ おロシャ 今昔物語 監獄文化 ハルビン ロシア演歌 タブー マート・システム 女囚 流罪 流刑囚人 牢獄 共産主義 亡国 国家犯罪 人牛肉 リクルート奴隷 革命 有罪 モスクワ ナロード 母なる大地 パラドックス やくざ マフィア 十月革命 ドイッチャー 大陸草原 デスターリニゼーション 弁証法 トロツキー 日本の風土 スターリニズム トロツキー スターリン トロツキスト ブレスト・リトフスク クロンシュタット 革命家 カルチュア 現代文学 革命思想 レーニン 暴力革命 ニヒリスト ソビエト的人間 万里の長城 魯迅 モニュメント 巴金 包若望 毛沢東 囚人 劉漢太 中国的乞丐群落 内村剛介 沼野充義 陶山幾朗 麻田平蔵 哈爾濱学院 飯島忠

上記内容は本書刊行時のものです。