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古楽の終焉 ブルース・ヘインズ(著) - アルテスパブリッシング
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古楽の終焉 (コガクノシュウエン) HIP〈歴史的知識にもとづく演奏〉とはなにか (エイチアイピー レキシテキチシキニモトヅクエンソウトワナニカ)
原書: The End of Early Music: A Period Performer’s History of Music for the Twenty-First Century

芸術
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A5判
440ページ
並製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-86559-249-8   COPY
ISBN 13
9784865592498   COPY
ISBN 10h
4-86559-249-0   COPY
ISBN 10
4865592490   COPY
出版者記号
86559   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年4月20日
書店発売日
登録日
2022年3月1日
最終更新日
2022年4月3日
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書評掲載情報

2022-05-08 産經新聞  朝刊
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紹介

クラシック/古楽界に衝撃を与える問題の書、ついに邦訳なる!
ピリオド・アプローチはほんとうに正しいのか?
クラシック音楽に真の生命をあたえるものはなにか?!

過去の音楽をそっくり再現して、どうするのか?
なぜ儀式のように音楽を聴かなければならないのか?
原典至上主義?──それは「テクスト・フェティシズム」にすぎないのでは?
古楽が追求すべきオーセンティシティとはどこにあるのか?
そして、「HIP(歴史的知識にもとづく演奏)」とは何をめざすものなのか?──

フランス・ブリュッヘン率いる18世紀オーケストラなどでオーボエ奏者、リコーダー奏者として活躍したほか、楽器製作や音楽学研究の分野でも多大な実績を残し、2011年に惜しまれつつ世を去った著者が、2007年に発表したThe End of Early Music: A Period Performer’s History of Music for the Twenty-First Century(Oxford University Press)。
音楽史のとらえ方を根底から更新し、クラシック音楽家の意識変革をうながし、返す刀で「原典至上主義」に拘泥する古楽演奏にも疑問符を突きつけた同書は、発表と同時に大きな話題を巻き起こした。
「HIP(historically-inspired perfomance; historically-informed performance=歴史的知識にもとづく演奏)」と「修辞学的音楽(rhetorical music)」の理想を知り、楽譜に書かれた音楽をただ再現するだけでなく、生命力にあふれたパフォーマンスをおこなうために、すべての音楽家がひもとくべき書、ついに待望の完訳!

目次

  はしがき

  謝辞


 

  読譜力(リテラシー)

  ロマン派革命

  正典主義と古典主義

  進歩か適応か

  思わぬ発見をする才能(セレンディピティ)

  音楽修辞学

  意思の表明としての正統性

  “要注意”と見なされる正統さ

  古楽の終焉

  ミュージッキング

  用語と概念


I 演奏スタイル


 第1章 言い方が違えば、言うことが違う

  “流行とは、流行遅れになるもののこと”

  革新

  料理本を食べる

  クロノセントリズム(現代中心主義)──伝統としての音楽

  多元主義の台頭──時代に適した演奏スタイル


 第2章 足下にご用心──進行形のスタイル

  三つの抽象概念──ロマン派、モダン、ピリオド・スタイル

  ロマン派のスタイル──絶対性

  ロマン派演奏の真髄を遺す録音

  革命の予言者たち──ドルメッチとランドフスカ

  一九六〇年代のオーセンティシティ革命

  ピリオド楽器とロー・ピッチの到来──“奇妙で不揃いな色彩”

  連鎖反応

  指導者たちのスタイル──名前のないレトリック


 第3章 主流のスタイル──“腕はあるけど魂がない”

  モダニズムとモダン・スタイル

  ロマン派スタイルとモダン・スタイル、演奏習慣の比較

  ヴィブラート、音楽のメッセージ

  モダニズムの子供たち

  モダン・スタイルと比較したピリオド・スタイル

  クリック・トラック・バロック

  ストレート・スタイルとモダニズム

  退屈しないで、さあ!──ストレート・スタイルの説明


II どうロマン派的なのだろうか


 第4章 クラシック音楽、ざらついた感触の愛撫

  音楽の正典

  チャールズ・バーニーと音楽史事始め

  ロマン派はなぜ音楽を“古典(クラシック)”と呼んだのか

  コンサーヴァトリー(音楽学校)が保存(コンサーヴ)するものとは

  絶対音楽(自律の原理)

  パッヘルベルのカノンが、“カノン”になる

  オリジナリティと天才崇拝

  帰属性とデザイナー・ブランド

  再演に適うこと、儀式化としての演奏


 第5章 透明な演奏者

  作曲家の意図(“作曲者への忠誠”)

  楽曲とは何か

  ヴェルクトロイエ(Werktreue=原典に忠実であること)──音楽の原理主義的信仰

  原典至上主義とテクスト・フェティシズム

  アンタッチャビリティ(不可触性)

  “透明な”演奏者と“完全に忠実であること”

  ロマン派が発明した、解釈する指揮者

  マエストロのリハーサル


 第6章 変わりゆく意味合い、永続する記号

  変わりゆく意味合い、永続する記号

  記述的記譜と慣例的記譜

  不完全なスコア

  書かれた楽譜の口述的要素

  修辞学的音楽では基本骨子をのみ記譜

  暗黙の記譜

  ストレート・スタイルとよそよそしい“リハーサル”

  様式対解釈

  「バッハと言ってテレマンを意味する」──ロマン派時代以前の作曲者の意図


III 時代錯誤とオーセンティシティ


 第7章 オリジナル耳

  様式とヴィンテージを比較する

  セコンダ・プラッティカ

  正統性運動の過去の実例

  贋作とピリオド演奏会の違い

  音楽史学とHIPはどう違うのか

  ロマン派とバロック期の聴衆を比較する

  ヴィクトリア朝の装いをしたピリオド演奏家たち


 第8章 過去をコピーするさまざまな方法

  エミュレーションとレプリカ──模倣にたいする二つのルネサンス的アプローチ

  エミュレーションの原則

  レプリカの原則

  正典主義的な体系での模倣

  スタイルのコピーと作品のコピー

  “亡霊に語りかけること”と作品コピー

  コンティキ号の観察

  歴史上“何が本当に起こったか”

  歴史の彼方──歴史的証拠の賞味期限

  アナクロニズムのどこが悪い


 第9章 表現手段はメッセージだ──ピリオド楽器

  楽器のトレード・オフ

  楽器が演奏スタイルにおよぼす影響

  秋のヴァイオリン

  ピリオド楽器──ハードウェアとソフトウェア

  製作家を比較する

  オリジナルの“粗”

  ルフェーヴル・チェンバロ──スタイル・コピーを超える

  もっと“根拠の正しいフェイク”を熱望する

  “壊れていないものを直すな”──触らぬ神にたたりなし


IV 何がバロック音楽を、“バロック”たらしめるのか


 第10章 バロック的表現とロマン派的表現を比較して

  修辞学──コミュニケーションを超えて

  もう一度、気持ちをこめて──アフェクション

  説得力──聴衆を味方に

  デクラメーション(劇的朗読)/エクスプレッション(表現)/フォーアトラーク(演奏)

  傾倒──“自身が燃えあがる”バロックの演奏家

  ロマン派の表現──“音の自叙伝”

  修辞学はロマン派に見捨てられた──“故障につき使用不可”の芸術

  美(=美学)に圧倒された修辞学


 第11章 虹と万華鏡──ロマン派とバロック期のフレージングを比較する

  フィギュールとジェスチャー

  旋律フィギュールの実例

  対フレーズとしてのジェスチャー

  意味の順序もしくは、階層──ジェスチャーとフレーズ

  インフレクション(抑揚)──個々の音作り


V “古”楽の終わり


 第12章 受動的と能動的なミュージッキング──見てないで自分を育め

  カヴァー・バンドの心理

  風の中で演奏すれば

  装飾(グレーシング)──作曲と演奏の境界

  即興演奏──演奏者の領域

  作曲上のスタイル・コピー

  ロール・オーヴァー・ベートーヴェン

  天才という障壁について考える

  現代のピリオド作曲を表す二例

  デザイナー・レーベル

  私たち自身の音楽


 第13章 終わりなき革命

  “愚者と狂者の音楽”──趣味が受け入れるものの限界

  モーツァルトから私たちの時代まで、途切れなかった演奏スタイルという幻想

  ベートーヴェン論争と宿命の証明

  “終わりなき革命”と変わりゆく趣味

  HIPはアンチ・クラシック

  デフォルト様式

  必要としての歴史家たち

  時の彼方を見ようとすること

  オーセンティシティの追求


  原注・訳注

  訳者あとがき

  参考文献一覧

  参考文献略号一覧

  人名索引

著者プロフィール

ブルース・ヘインズ  (ブルース ヘインズ)  (

1942年、アメリカ・ケンタッキー州生まれ。オーボエ奏者、リコーダー奏者、音楽学者。オランダ王立音楽院でフランス・ブリュッヘンに師事し卒業。演奏のかたわら、楽器製作、研究をおこない、1972年より同音楽院で教鞭をとる。バッハ教会カンタータ全曲録音シリーズ(テレフンケン、アーノンクール、レオンハルト指揮)や、18世紀オーケストラ(ブリュッヘン主宰)の演奏活動に参加した。1983年同音楽院を退職、新しくカナダ・モントリオール大学での研究活動に入り1995年にPh.Dを得る。特にオーボエの演奏法や歴史と、バロック時代のピッチについて多くの研究と著作を発表。同大学准教授として教鞭をとった。2011年没。

大竹 尚之  (オオタケ ナオユキ)  (

1945年生まれ。リコーダー奏者。オランダ王立音楽院でブリュヘン、ヘインズ、ヴィンガーデンに師事、同音楽院卒。バロック・オペラ、オラトリオ、カンタータなどで室内合奏団、合唱団と数多くの共演を重ねている。ルネサンス、バロック音楽の研究でも知られ、大学紀要(東京音楽大学)、雑誌への寄稿も多い。著書に『大竹尚之のリコーダー教本』(トヤマ出版)、訳書にハウヴェ『現代リコーダー教本』(ショットミュージック)、CD録音に『諧謔音楽シリーズ』『僕の好きな歌』『Jacob van Eyckの祈り』『hommage a Jacob van Eyck』などがある。元東京音楽大学講師。

上記内容は本書刊行時のものです。