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礒山雅随想集 神の降り立つ楽堂にて 礒山 雅(著) - アルテスパブリッシング
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礒山雅随想集 神の降り立つ楽堂にて (イソヤマタダシズイソウシュウ カミノオリタツガクドウニテ)

芸術
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四六判
336ページ
並製
価格 2,200円+税
ISBN
978-4-86559-229-0   COPY
ISBN 13
9784865592290   COPY
ISBN 10h
4-86559-229-6   COPY
ISBN 10
4865592296   COPY
出版者記号
86559   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年12月20日
書店発売日
登録日
2020年11月2日
最終更新日
2020年12月15日
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紹介

「住友生命いずみホール」開館から30年、音楽ディレクターとして演奏会企画を牽引。
ホール運営の現場に飛びこんだ世界的バッハ学者は、聴衆にどんな音楽体験を提供しようとしたのか──。
没後2年、初のエッセイ集でたどるコンサートホールと音楽学者の協働の軌跡。

「音楽に引き込まれ、全身耳になるような状態で没入したときの経験は、
 いつまでも心に残り、追憶されるだろう。
 そうした場を提供することにこそ、コンサートホールの役割がある」
 ──礒山 雅(1946–2018)

1990年4月、大阪に誕生したクラシック音楽専用ホール「いずみホール」(現・住友生命いずみホール)が、開館にあたって音楽面のトップとして招いたのは、コンサートの現場に精通したプロデューサーではなく、ひとりの音楽学者だった。

日本を代表する音楽学者でJ.S.バッハ研究の国際的権威として知られた礒山雅(元国立音楽大学招聘教授、日本音楽学会元会⻑)が、2018年不慮の事故により逝去するまで約30年間にわたって、音楽ディレクターとして展開したいずみホールとの協働は、コンサート・プロデュースとアカデミックな研究が切り結び、まったく新しい価値が生み出される音楽のフロンティアとなった。

本書は、礒山がいずみホールの情報誌『Jupiter』の巻頭に、創刊号から毎号したためた馥郁たる名文を集成したエッセイ集であると同時に、同誌編集長の森岡めぐみを中心に、住友生命いずみホールの協力により、礒山とホールとの協働を振り返り、「音楽学者がコンサートホールの音楽ディレクターをつとめ、演奏会をプロデュースする」という、これまで日本では例のなかった試みがどのように展開されたのか、立体的に浮かび上がらせた異色の書である。

礒山没後、2020年にまでわたる「礒山雅・いずみホール企画年表」も掲載。

目次

  はじめに

第1部 礒山雅といずみホールの三〇年

1 音楽学者のいるコンサートホール(森岡めぐみ)
◇礒山雅といずみホールの歴史
  “音楽の泉”を豊かに湧き出させたい
  女神とともに
◇ドラマトゥルクとしての音楽ディレクター
  わかりやすさ
  音楽の不思議
  字幕考
◇組織と音楽ディレクター、芸術性の独立
  金融危機
  定期演奏会めぐり
◇いずみホールの企画
  シリーズ企画をつくっていくこと
  企画の時代
  層の厚さ
◇いずみホールの聴衆

2 コンサートを創造する(住友生命いずみホール)
◇いずみホールとオルガン企画
◇心血注いだJ.S.バッハ作品企画
  いずみホールとBCJは、同い年
◇“リフキン方式”への傾倒
◇バッハ・アルヒーフ・ライプツィヒとの出会い
◇「バッハ・オルガン作品連続演奏会」がスタート
◇「バッハ・オルガン作品全曲演奏会」に挑む
◇演奏会はこのようにおこなわれた
◇最終回〈永遠への架け橋〉に到達する
◇シリーズ終了とその後

第2部 そこには音楽の神様が──礒山雅エッセイ集

◇甦る最期のきらめき
  楽才、ふたたび燃え上がり
  心はずみ、次々に《舞曲》
  《魔笛》で人間性の理想歌う
  不遇の大作《皇帝ティトの慈悲》
  明暗の両極行き来し《レクイエム》
  一二月五日、永遠への旅立ち
    *
 ウィーン音楽の本当の味わいを──室内楽中心のフェスティバルで
    *
◇ひとしずくの音
  耳を澄ますこと
  リラックスしよう
  わがままな音楽の聴き方を
  ひどいのなんのって!
    *
◇新・ひとしずくの音
  リラックスして「耳を澄ます」
  われわれのオペラを
  コンクール考
  字幕の効用
  音楽は若さを保つ
  宗教的心情
    *
◇新世紀へのバッハ
  伝記の始まり
  目を酷使して
  BWV番号について
  「包容力」の秘密
  バッハはどんな演奏をしていたか
  「バッハの受容」──どう受け入れられてきたか
  二つの受難曲
  卓越したデザイン──ゴルトベルク変奏曲
    *
 一〇周年記念 一〇年の人生を生きてきたいずみホール
    *
  「声」の芸術の極致──モテット
  《無伴奏チェロ組曲》立体的で奥行きのある世界
  ジャズになったバッハ
  生涯の総仕上げ──《ロ短調ミサ曲》
    *
◇メイキング・オブ・新世紀のバッハ
  四人で歌うカンタータ 「~精選~バッハ/カンタータへの招待」
  カンタータ・シリーズVol.1の勝負は、第140番
  カンタータ・シリーズVol.1を終えて──
  齢を重ねてますます燃えさかる、バッハの実験精神!
  「カンタータへの招待Vol.2」の曲目が決まりました
  感動の声たくさん──立川と松本での「四人カンタータ」
  カンタータを聴く上で、歌詞はたいへん重要です
  成果充分。「四人カンタータ」の面白さに深入りしそうです
  バッハの柔軟性
  いずみホールとBCJは、同い年
  速報! 二〇〇四年秋の大企画
  世俗カンタータ二曲を、たっぷりとお楽しみください
  バッハのカンタータの最高傑作は何か
  「1パート一人」説の生みの親・ジョシュア・リフキンさんが来日
  バッハのカンタータ、オリジナル・パート譜を発見
  カンタータゆかりの地を訪ねました
  ジョシュア・リフキン氏を迎えて記者発表を行いました
  「結婚カンタータ」復元作業の、どこがむずかしいか
  幻の結婚カンタータ復元コンサートの成果
  バッハ演奏は量より質へ──「リフキン説」を検証する
  カンタータ演奏の実践から研究へ
  ふるさとに帰る
    *
◇音楽は語る
  ワイマールで発見された、バッハの未知の名曲アリア
  演奏に最善を尽くし、心を傾ける。そこには、音楽の神様が……
  モーツァルト:交響曲第41番ハ長調《ジュピター》K551
  音量主義を排する
  自分で考える
  名曲とは
  心に出会う旅
  もったいない
  ライプツィヒ‼
  みんなが主役
  弦楽四重奏への波
  世代のこと
  アンコール
    *
 原典にふさわしい演奏──グループ間の対話
    *
  喜劇と悲劇
  集中へのこだわり
  時間と音楽
  読み直す醍醐味
  名指揮者ランキング
    *
 二〇周年挨拶 筋の通った企画を貫きたい、という思いでやってきました
    *
  年齢
  早朝のバロック
  午後二時からの歌謡曲
  バッハの主張
  新しいものとの出会い
  高齢化を歓迎しつつ
  記憶
  「最終回」
  拍手
  楽興の時
  初めての人
  モーツァルトの愛
  背後から響く音楽
  作品の「顔」
  美談はいらない
  日本大好き
  悲観と楽観
  温故知新
  名曲
  昔といま
    *
 晩年の名曲は失意のうちに生み出されたのか?──モーツァルト・シリーズ最終年を迎えて
    *
  七年目
  歴史への想像力
  連帯の課題
  世代交代
  YouTubeの時代
  選び抜かれた音
  ホールを奏でる
  拍手再考
  勝負曲
  ウィーン流
  死と再生
    *
 光まばゆい《聖母マリアの夕べの祈り》──マリア崇敬の一大記念碑 その魅力に迫る

おわりに

◇礒山雅・いずみホール企画年表 1990‒2020年度

前書きなど

はじめに

 日本を代表する音楽学者でJ.S.バッハ研究の権威として知られた礒山雅氏は、2018年2月に不慮の事故により逝去しました。71歳でした。礒山氏は大阪のクラシック音楽ホール、いずみホール(2020年4月より住友生命いずみホールに改称)の音楽ディレクター職を、40代であった開館の1990年4月より亡くなるまで務め、ホールとの協働作業は約30年にわたりました。
 本書は、音楽学者である礒山氏が、いずみホールの情報誌『Jupiter』(隔月刊)のために執筆したエッセイや論考をまとめたものです。
 礒山氏は1990年3月発行の『Jupiter』創刊号から、遺稿が掲載された169号(2018年3月発行)にいたるまで、ほぼ全号に寄稿しました。エッセイ連載が中心でしたが、コンサートで特集したモーツァルトやJ.S.バッハなどについての論考も書き下ろしました。これらは『Jupiter』が小冊子であるため長文ではありません。しかし音楽ファンにとって示唆に富む記述が光っています。ホール・プロデュースの経験を積み上げていく中での思考の変遷も、そこから読み取ることができます。
 本書に収録するにあたり、エッセイからは主として音楽にかかわるものを選びました。論考とともに、原則として掲載順にまとめています。
 加えてホール・スタッフの側から第1部として「1 音楽学者のいるコンサートホール」「2 コンサートを創造する」という二つの章を添えました。これにより、「音楽学者が長期にわたりコンサートホールをプロデュースする」という日本では例のなかった試みを、立体的に捉えられるよう構成しました。
 巻末には礒山氏がとくに力をいれた企画一覧を掲載しました。多岐にわたった氏の関心の広さと実践を、この記録からうかがい知っていただけることでしょう。

著者プロフィール

礒山 雅  (イソヤマ タダシ)  (

1946年、東京都に生まれる。長野県に育ち、松本深志高校を卒業。その後、東京大学文学部および同大学院修士・博士課程で美学芸術学を学ぶ。1982~84年、ミュンヘン大学へ留学。
国立音楽大学教授、同音楽研究所所長、同招聘教授、大阪音楽大学客員教授などを務める。日本音楽学会会長、サントリー芸術財団理事などを歴任。毎日新聞に長年にわたり音楽批評を執筆。
1990年から、いずみホール(現・住友生命いずみホール)音楽ディレクターを務める。2011年には大阪市市民表彰を受ける。
2018年2月22日、逝去。
没後、論文「J.S.バッハの《ヨハネ受難曲》──その前提、環境、変遷とメッセージ」で博士号を授与される(国際基督教大学)。また同じく没後に、第31回(2018年度)ミュージック・ペンクラブ音楽賞(研究・評論部門)を受賞。
著書に、『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』(東京書籍/講談社学術文庫、第1回辻荘一賞)、『モーツァルトあるいは翼を得た時間』(東京書籍/講談社学術文庫)、『バロック音楽』(NHKブックス/ちくま学芸文庫)、『J.S.バッハ』(講談社現代新書)、『マタイ受難曲』(東京書籍/ちくま学芸文庫、第9回京都音楽賞研究評論部門賞)、『バッハ事典』(共編著、東京書籍)、CDブック『バッハ/カンタータの森を歩む』1~3(東京書籍)、『教養としてのバッハ』(共編著、アルテスパブリッシング)、『ヨハネ受難曲』(筑摩書房)、訳書にトン・コープマンほか『バッハ=カンタータの世界』I~III(監訳、東京書籍)、ニール・ザスロウ『モーツァルトのシンフォニー』(共訳、東京書籍)、クリストフ・ヴォルフ『バッハ ロ短調ミサ曲』(春秋社)、同『モーツァルト最後の四年』(春秋社)他多数がある。

森岡 めぐみ  (モリオカ メグミ)  (編著

1989年、いずみホール(現・住友生命いずみホール)開館準備室に入り、広報、事業制作、資金調達などをはじめホール業務全般にわたり従事。ホール情報誌『Jupiter』編集長、経営戦略調査担当。共著に日本クラシック音楽事業協会編『クラシック・コンサート制作の基礎知識』(ヤマハミュージックメディア)がある。大阪日日新聞にコラムを連載(2013~15年、2018年2月・9月)。大学や各種文化団体の研修会で講師を務める。日本音楽芸術マネジメント学会理事。

上記内容は本書刊行時のものです。